振り向けば、そこに恩師はいる。
■一人で育ったと思っている君へ
IT業界は厳しい。わからない事があっても突き進んでいかなくてはならない事もある。常に最新の技術を追い続けるのも大変だ。
そうやって、困難を乗り越えて技術を身に付けてきた人も多いと思う。しかし、振り返れば多くの人に助けられて育ってきてるんじゃないだろうか。
■はじめからプロの仕事ができる人はいない
誰しも、はじめからプロレベルの実力を持ち備えてなんていない。また、一度も失敗せずに百戦錬磨で仕事してる人もそうそういない。成功すれば成功したなりに、失敗したら失敗したなりに誰かの力は借りてきたはずだ。
直接、教えてくれたりしなくても、適切な仕事を振ったり、猶予を与えてくれたり、そういう事はあったはずだ。育てるといっても、そんな直接的なものばかりでもない。ある時は誰かの書いたドキュメントや本、形を変えて、不器用なお叱りだったりする事もある。
意外にやってきたと思ってる大半の事は、誰かの落とした目印をたどっていただけかもしれない。そして、苦労といううれしくない形で与えられるので、気づくのは難しいのかもしれない。
■苦労したと思うより、恵まれたと思ってもいいんじゃないか
昔、おしんというドラマがあった。恵まれない状況で頑張った。そういう少女の物語だ。結末はどうなったか覚えていない。きっと、おしんのような気持ちで頑張った人も多いかもしれない。
そういう時期も必要かもしれない。でも、今の時代、望まなくても苦労はやってくる。苦労を苦労と受け取らないような工夫が必要だと思う。その工夫の一つが、恵まれている。と思う事。平たく言えば、感謝といえる。
■一週間を振り返ってみて、何度、感謝というのをしたろうか
自分のした仕事を振り返る人は多い。また、自分の技術を見直す人も多い。が、感謝という形で見直す人は少ない。感謝といっても、そんなハートフルなものじゃ無くていい。技術者特有の淡々と流すような感謝で十分だ。
仕事や技術を振り返るとき、”良い”とか”悪い”で判断すると思う。それをやらずに、事実として一旦、全て肯定してみる。これが感謝だ。最初はえらくぎこちないが、続けていくと巷でいわれているそれっぽくなってくる。
■肯定する事から見えるもの
感謝を通じて肯定する事。なんか、ほんわかとした感じを出すためにやるわけではない。肯定することで、理解できる事や気づく事が多いからだ。実際、精神的に豊かな状態の方が発想は多く浮かぶ。それが、ダイレクトに技術の向上に繋がる事だってある。
私はここでコラムを書いているが、かなり育てられた感がある。否定も肯定もせずに淡々と記事を載せ続けてきてくれたおかげで、自分の考えを文章で表現できるようになった。
良い悪いでなく、肯定をしてみる事で私が見えた事。それは、「振り向けば、そこに恩師がいる」という事だ。少しの視点を変えるだけで、世界は変わって見える。そういうこともあり得るという事です。