ゾーホージャパン社のZohoサービスの開発現場で繰り広げられる、インド人エンジニアと日本人エンジニアによる共同作業が映し出すIT業界での新しい働き方について紹介する。

カンファレンスの活用法

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●カンファレンス会場、見てかないのー?

 Zoho事業の清水と申します。下の名前がタミル語で「おばさん」という名前なので、代わりにCEOから「モナ」というくすぐったいニックネームをいただいた、入社3年目でチーム最年長社員です。

 IT業界経験2年強のひよっこ社員が、マーケティング修行のため米国本社への出張時に、現地のカンファレンスに参加したときのお話です。

 やはり、日本よりITの技術も市場成熟度も数段進んでいる米国ですが、やはり現地に来て完全な英語圏に入り込むとその勢いを肌で感じることができます。弊社開発センターのあるインドに比べると、ITトレンドがより人々の生活や感覚に浸透していて身近に感じると思います。
日本国内ではまだ認知度の低い弊社の「Zoho(ゾーホー)」も、米国では「Google Apps」に並ぶ2大ウェブアプリとして評価されています。

 その人気を支えているのが、弊社のZohoエバンジェリストのRajuさんです。CEOとならびメディア露出の多い方で、そのマーケティング手腕は日本法人のひよっこたちが尊敬するところであります。今回は、この師匠の出張にお供させてもらって、毎年ボストンで開催される「Enterprise2.0」カンファレンスに参加しました。

まず驚いたのは、我が師匠、カンファレンス会場に来たのに人が集まる会場にはまったく興味がありません。数日間の滞在期間のほとんどを会場裏のメディアルームで過ごしたのでした。

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●会場の裏で地道な布教活動?

 そう、今回の出張目的は、メディアアプローチ。ブース出展もセッションへの参加も必要なし、メディアルームが戦場なのです。

 朝から夕方まで会場が開いている間中、毎日5~6人のプレスやブロガーやアナリストによるインタビューがびっしりと予定されていました。個室で形式ばった質問回答のやり取りではなく、メディアルームのテーブルの一角や、時にはロビーのソファーに腰掛けて、歓談のような気軽さで、Zohoサービスや最新ニュースを紹介したり、以前からの知り合いと現状報告や情報交換を行ったりしていました。

 このようなメディアアプローチは、ブースやセミナーで不特定多数のリードにサービスを紹介するよりも、情報配信を目的としている相手なので、サービスやニュースの価値を認めてもらえば効果的に情報を広めてくれることになります。

 また、ここ米国ではブログが熱い!

 大手の情報サイトよりも、最新の情報を(時にはリークですが)ブロガーが先に配信し注目を集めることは稀ではありません。企業は、そのような強力なブロガーを味方にしたいと思っています。ただ、広報する側も、地道な人間関係構築が必要です。

 やはり、基本的なところで1対1で情報提供すること、サービスを売り込むことって大事だなと感じました。顔を合わせることで信頼も得られるし、相手の知識や興味に合わせて、必要な情報をより詳しく説明することができます。IT業界にいると、人間よりもPCとにらめっこしている時間が多くなりがちですが、さすがコミュニケーションの国、技術の発展の上にも人間(人のつながり)を感じます。

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●同業者同士の情報交換が一番の勉強会

 滞在2日目でやっと会場を訪れる時間がありました。

 イベントでのブース出展は費用が高く、費用対効果があまり期待できないとするIT企業が増えています。このカンファレンスのパビリオンも、年々規模が小さくなっているそうです。でも来場者は会場規模に比べて多いように見えました。なぜでしょう?

 会場で見かける人の多くは、Enterprise向けのサービスやインフラを提供する企業。つまり、提供者側でした。そこら中で、エンジニアやマーケティング担当やCEOたちが、ライバル企業も何も関係なしに、フレンドリーに情報交換しています。我が師匠も、多種多様の企業に知り合いがいるらしく、たくさんの人と会話して、中にはZoholics!(Zohoの熱狂的なファンという意味の造語)もいました。セッションやセミナーだけでなく、このような生の情報交換がきっと一番有意義で、役に立つような気がします。

 ところで会場は、まるでGeekオフ会でした。ほとんどの人がMacBook ProとiPhoneを抱え、日本の女子高生も顔負けで写メを撮ってる人が多くいました。送信先はメール相手ではなくて、Twitter。一体、1日に何回近況をつぶやいているのでしょう??

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●参加するだけじゃ意味がない、Give&Take

 日本でのカンファレンスやセミナー参加の経験も少ないわたしには、一概には言えないかも知れませんが、今回の出張体験はカンファレンス本体自身への参加時間は少ないにもかかわらず、とても興味深く新鮮で、わくわくする体験でした。

 インタビュワーは皆とても勉強熱心で活動的だったのが印象的ですし、会場への来場者も1人1人のモチベーションが非常に高く、発信する情報の多いこと!

 誰もが自身の提供するサービスや技術に自身を持ち、また同時に、新しい情報を吸収しようという勢いを感じました。やはり、勉強をしに行くのに受身では駄目なのですね。忘れがちなあるべき姿勢を再確認しました。

 今後は師匠を見習って、日本での一方的なプレスリリース配信だけではなく、顔の見えるブログやTwitterをはじめ、カンファレンスやイベントやショーなどあらゆる場を積極的に活用して、日本でのZohoの認知度向上に励みたいと思います! 定期的に開催しているZoholics!(ユーザオフ会)も継続していきたいです! ……でもまずは、地道な布教活動からということで、身近な親戚にでも紹介してまわろうかと思います……違うか?

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