就業(現場)力向上カリキュラム - ビジネススキル編(1)
前回は、就業(現場)力向上カリキュラムを提案する背景についてお伝えしました。
今回は、ビジネススキルの具体的な中身を中心にお伝えします。
■ビジネススキルとテクニカルスキル
ビジネススキルにもいろいろな定義があると思いますが、私の考えるビジネススキルは、「お客様の課題を整理できる能力」です。
そして、テクニカルスキルは、「お客様の課題を解決する技術を選定できる能力」です。
2つのスキルがバランスよくあって、初めて高スキルな人材であると考えています。
■ビジネススキル(お客様の課題を整理できる能力)
前回のコラムで就職支援の内容として、以下の順に整理すると良いとお伝えしました。
- 現場を知ること
- 自分を知ること
- スキルを高めること
現場を知ることに必要不可欠なスキルが、ビジネススキル(お客様の課題を整理できる能力)です。
一般に就職活動中の学生の「現場を知る」機会は、インターンシップや企業訪問などになると思います。そのときの視点として、学生はお客様であるような感覚があるかもしれません。しかし、学生(自分)がお客様ではなく、現場(企業)をお客様と認識することが重要です。
そのような認識を俯瞰的に理解する際に使えるツールが4W1Hです。よく使われるフレームワークである5W1Hが一般的ですが、就職活動においてはWhereを除いた4W1Hを提案します。
■4W(Why/Who/When/What)1H(How)とは
5W1Hにおいて、あまり優先度(何から整理するべきか)について語られることが少ないと感じています。
4W1Hでは、表記順の通りの優先度(Why→Who→When→What→How)で考えることが重要であると考えています。
■Whyを掘り下げる
まず、なぜ(Why)その企業に就社したいのか。
例えば、
- 自分のスキルがその企業でビジネスレベルで活かせる(やれることがある)と考えたから
- 自分がやりたいことがその企業で実現できると考えたから
- その企業に自分の生活の保証(主に金銭面)をしてほしいから
などが考えられます。
まず、3番目のような発想は、お客様(企業)は絶対に求めていないため、発想の転換をお勧めします。
ここでのポイントは、「やれること」と「やりたいこと」を区別することです。
お客様(企業)の課題を整理(解決)することを念頭に置くと、「やれること」を中心に考えることが重要であると考えています。
志や夢をもって「やりたいこと」に執着していくことも大事だと思います。しかし、ビジネスの現場に適合していない「やりたいこと」というのは、「本当にやりたいこと」なのかどうなのか、かなり疑問に思います。
そのやりたいことが本当に「やりたいこと」であるのかの精査の場として、インターンシップなどの活用が有効だと思いますが、「やりたいこと」を中心に据えてしまうとビジネス現場で求められることとのギャップがどうしても生じます。
そもそも本当の意味での「やりたいこと」というのは、「やれること」を客観的に評価してもらった結果を受けて「生まれてくるもの」というのが私の考えです。
そのため、ここでのWhyの結論としては、
「自分のスキルがその企業でビジネスレベルで活かせる(やれることがある)のか」
に集中することに決めます。
■Whoを掘り下げる
次に、誰(Who)のためにその企業に就社したいのか。
多くは「自分のため」であると思います。しかし、その発想は「やりたいこと」を中心に据えていることと同じです。「やれること」を中心に据えた場合、「お客様(企業)のため」になります。
そうした場合、
- 自分が企業に提供(貢献)できることは何か
- その企業は最終的に自分に対して何を求めているのか
- 各採用フェーズ(エントリーシート/面談等)の担当者に何を求められているのか
など、お客様の課題に通じる問題を認識することができます。
上記の
- 自分が企業に提供(貢献)できることは何か
- その企業は最終的に自分に対して何を求めているのか
については、「自分の強み」が「企業の求めること」にマッチするかを分析することが解決の糸ぐちです。これは、ビジネスマンである以上、ずっと答えを追求していくテーマなので、中長期のスパンでコツコツと成果を出していくことが重要です。
上記の
- 各採用フェーズ(エントリーシート/面談等)の担当者に何を求められているのか
については、基本的に今現在しか必要としないことです。
短期で必要なこと、中長期で必要なことを切り分けることも大事です。Whenに通じることです。
短期の視点について、例えば、エントリーシートの書き方に関しては、これまでお伝えしてきたWhyとWhoを理解することで「お客様(企業)に求められる」エントリーシートを作成することができます。
面談においては、場数が必要な面がかなりあるので、優先度の低い企業から面談を受けることで「求められること」を具体的に整理してから望むのがいいでしょう。
IT業界向けの具体的なエントリーシートや面談対策指導などは、水上ソフトウェアエンジニアリングまでご一報ください。
■Whenを掘り下げる
次に、いつ(When)までにその企業への就社を決めたいのか。
就職活動においては、「自分を売る時期」を整理するために行うと有効です。例えば、ある資格があると有利なお客様(企業)であれば、資格取得の期限と募集期限を見極める必要があります。自分を知ることに通じますが、その点については今後のコラムで説明します。
要するに、その「期限」次第で実行するタスク(What)を変える必要が出てくるということです。タスクを定義する前提となるため、この段階で整理することが重要です。
■What(タスク)を掘り下げる
これまでWhyとWho、Whenの視点でタスク(お客様に貢献できること)の前提事項を整理してきました。
中長期では、
- 自分のスキルがその企業でビジネスレベルで活かせる(やれることがある)のか
- 自分が企業に提供(貢献)できることは何か
- その企業は最終的に自分に対して何を求めているのか
短期では、
- 各採用フェーズ(エントリーシート/面談等)の担当者に何を求められているのか
となります。
タスクは階層構造となり、そのタスクを実現するための手段(How)と紐付けていくことになります。その階層構造を構築してメンテナンスしていくことが、「タスクが管理できている」状態といえます。
■次回予告
最後までお読みいただきありがとうございます。次回は、タスクの階層構造の構築/メンテナンス方法について、お伝えします。
Twitterのフォローよろしければお願いします。