サピエンス全史の虚構についておもうこと
梅雨が8月にきている感じですね。こんにちは、水上裕介です。
サピエンス全史を読んで感銘を受けたので、感想を書きたいと思います。
■3つの革命
本書では、「認知革命」、「農業革命」、「科学革命」の3つの革命が現代の人類を形成するまでに起こった大きな革命であったと整理されています。本書を読む前に私が知っていた革命といえば、19世紀の産業革命くらいでしたが、本書でいうところの「科学革命」の一部に属するものです。
さて、「認知革命」ですが、みなさまや私の起源である現人類としての成り立ちが、今から7万年を起点に論じられています。そもそも、私は歴史や世界史にほとんど興味がなかったので、中学校や高校で記憶した程度の歴史観しかないのですが、本書はそんな人をも夢中にさせる楽しさや納得感が得られる素晴らしい本でした。
■認知革命
7万年前に起こったとされる「認知革命」における「虚構」というワードが衝撃的でした。我々の起源であるホモ・サピエンスが共通的に信じることができるものが「虚構」と本書では説明されており、現代においても「虚構」は至るところに存在します。もっとも身近なものが「お金」です。
1万円という紙を1万円の価値があると信じる経済システム自体が「虚構」だというのです。確かに、1万円札自体の製造原価は30円程度と言われていますが、1万円の価値があると信じることができていますよね。なぜなんでしょうか。
1万円の価値自体は、物々交換から貨幣の製造、金本位制などを通した経済流通の効率的な仕組みが必要だからと考えますが、認知革命の本質はそこではありません。
7万年前を起源として、「虚構」を構築する術をホモ・サピエンスが獲得し、「サピエンス同士が協力関係」を構築することが可能となり、ネアンデルタール人などの我々の同種と信じられてきた人類や、サピエンスにとって脅威をもつ生き物を滅ぼし、地球を支配し始めた革命が認知革命です。
■エンジニア現場での認知革命
エンジニアとして仕事をしているとプロジェクト計画書や要件定義書などの「虚構」を信じて、チームのメンバが一丸となってシステムを構築するというプロセスは、よく目にします。
7年前の「虚構」は、サピエンスが生き残るために必要だったものだったと推察します。
現代のエンジニアがかかわる「虚構」も同様に我々が意味があると信じるものを作り、よりサピエンスが快適に生き残るために存在していると感じます。
マネジメント視点になりますが、より意味深い「虚構」を顧客と創造できることがシステムインテグレーションという世界のゴールであり、それをエンジニアも具体的に考え、より意味ある「虚構」を構築することが求められているのではないかと感じる日々です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
まったく著者との関係はありませんが、サピエンス全史が面白いと感じてもらえたら何よりです。次回は、たぶん、「農業革命」、「科学革命」について考えたいと思います。