吉政創成 代表取締役、PHP試験、Rails試験ビジネスOSSコンソーシアム・ジャパン主宰

先日のRails技術者認定ベータ試験を振り返って

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 皆さま、こんにちは。Rails技術者認定試験運営委員会の吉政です。

 @ITとアールラーニングで行っている「Rails技術者認定試験」のベータ試験を行いましたので、この場で報告します。

 Rails技術者認定試験は、試験問題の品質を向上するために、本試験の前にベータ試験(無料)を運営する方式を採用しています。ちなみに、ベータ試験は本試験よりも問題の品質が低いことから、本番試験よりも難易度が高いです。よって、同委員会ではベータ試験に合格した受験者を本認定としています。次回以降もベータ試験を開催していきますので、興味がある方はぜひご応募ください(応募数が多い場合は抽選になります)。

 Rails技術者認定試験のベータ試験に関することや、今後の情報は公式Twitter(http://twitter.com/railscp/)をフォローください。

 ちなみに、2月24日に2次ベータ試験を行います。その結果は追って報告しますが、今回は1次ベータ試験についてご報告します。

ベータ試験・受験データ

  • 名称:Rails 3 技術者認定ブロンズ・ベータ試験
  • 種別:ブロンズ試験:Ruby on Railsの基本知識を問う試験(ベータ試験)
  • 実施日程:2011年1月19日(水)、21日(金)
  • 目的:Rails3技術者認定ブロンズ試験の品質向上
  • 対応バージョン:Rails 3.0
  • 受験料金:無料
  • 試験会場:アイティメディア 会議室
  • 出席人数:48名

 当日は高い出席率で、48名が出席しました。感覚値ですが、以前のRails関連のセミナーと比較して、スーツ率が高くなったようです。以前、筆者がLinuxの日本の創生期時代にLinuxビジネスに携わった時もそうでした。イベントでもスーツの人が増え始め、今後の普及に懐疑的な意見を持った人や、前向きな意見を持った人が混在する状況が、Linuxの時と非常に似ています。その後、Linuxが大きく普及しました。RubyやRailsも、まさにこれから普及を始めていく感じがします。個人的に、今後がとても楽しみです。

■受験者属性

  • プログラミング歴:9.4年(平均)
  • Rails歴:1.7年(平均)
  • 年齢分布:
    20代未満 0人/20代 18人/30代 22人/40代 6人/50代以上 1人
  • 立場:
    IT会社勤務 40人/フリーランス(IT) 6人/非IT系会社 1人/学生 1人

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保有資格

 プログラミング歴9.7年、Rails歴1.7年。そして会場を見渡すと、コミュニティによく顔を出している方がちらほら見受けられ、それなりに実戦経験がある方々が参加しました。保有資格の分布を見ると、1位が圧倒的にRuby技術者認定試験、次にJava系といった感じで、わりと想像どおりの状況だったと思います。やはり言語系の資格保有者の受験が多いようです。

 続いて、試験結果です。

■試験結果

  • 受験者数:48名(1名 棄権)
  • 合格者数:6名
  • 合格率:12.5%
  • 正答率:52%

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正答率分布

 合格率は12.5%と、非常に低い結果となりました。これは、出題傾向などの情報がなく、受験勉強をしない受験者がほとんどであることが、表面的には大きな原因となっています。

 実際の原因としては、「ブロンズ試験」というゴールド、シルバーの下位資格のベータ試験であるという前提に対して、実際の出題レベルがシルバーレベルであったためだと感じています。

 受験者から見れば、ブロンズなので準備をしないで受験したのに、出題がシルバーレベルだった……という感じでしょうか。しかしながら、正答率が50%~70%の問題が多いため、正答率が低かった問題を修正すれば、合格率は改善すると考えています。現在、正答率が30%以下の問題を中心に、精査をしています。この後、2次ベータで再度調整をすることで、難易度を調整できると考えています。

 また、上記のグラフがキレイな正規分布になっていないことに注目しました。母数が少ないので一概には言えないかもしれませんが、現状のRuby on Railsの市場をよく表しているように思えます。

 現状でも、できる方と現在修行中の方がいますが、中堅どころの方が他の技術と比べて少し少ないように感じています。これは、技術が浸透し始めた時によく起こる状況だと筆者は考えています。修行中のエンジニアがさらに経験を積み、技術力を向上させることで、市場はもっと大きくなっていくと思います。今後が期待できます。

 Rails技術者認定試験はこれから、Ruby on Railsの技術の取得を考えている人にとっての「1つの指針」となることを目指しています。これから! という方にぜひ受験いただきたいです。

 最後に、細かいアンケートの結果について触れてみます。

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 合格率にも表れているとおり、「難しい!」という評価が多かったですが、それ以外は良い評価だったと感じています。

 個人的には、4割近い人が会社の意向で受験している点です。冒頭にもあるとおり、いよいよRubyやRailsの普及期が近くなってきたような気がしてなりません。

 OSSの場合、コミュニティとビジネスの両輪が大きくならないと、絶対に普及しないと思います。なぜなら、IT系社会人が費やす時間の大半は「仕事」であり、OSSはビジネス面では弱い部分があるため、コミュニティの力がなくては花開かないためです。変な言い方になりますが、コミュニティがコアで、ビジネスが周りを包み込むような、そんな市場構成が一番いいバランスだと思っています。

 これから普及期を迎えるRuby on Railsは恐らく、市場環境が変化・拡大していくと思います。その拡大の際に、1つの学習指標として本試験を利用していただければと思いますし、実際にそのような試験にしていきたいと考えております。

 なお、ご不明な点やご意見はコメントいただく、もしくはこちらのページにある連絡先から申し付けていただければと思います。

 また、本報告書の原文をご入り用の方は、上記よりお申し付けください。追って、送付いたします。

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