シンガポールでアジアのエンジニアと一緒にソフトウエア開発をして日々感じること、アジャイル開発、.NET、SaaS、 Cloud computing について書きます。

米国一流大学に留学する日本人が最近減ったらしい

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 最近の記事によると、ハーバード大学に今年入学した日本人がたったの5人だったらしい。かつてはアジアからの留学生のほとんどを独占していた日本人が今や、中国や韓国そしてたった500万人程度の人口のシンガポールにまで圧倒的に大差をつけられて、入学者が減っている。確かに、これは異常なことで、なんとかするべきだと思う。

 小生、別に大学入学適齢期の子供がいるわけでもなく、教育関係者でもない。さらに経済学者でもないし、政治家でもないので、なぜそうなってしまったのか、分からない。しかし、最近TOEFLを受けて、米国の一流大学に入学するためには、そのTOEFLでどのぐらいの成績をとらなければならないかが分かり、それがどんなに難しいことか良く分かり、もしやと思う推定を書いてみる。

 私が思うに、米国一流大学への日本人入学者が少なくなった要因の1つに、TOEFLによる英語能力評価の方法が厳しすぎるからではないかと思う。特に、2005年から導入されたIBT(Internet Base Test)で追加されたSpeakingの能力。これは、普通、と言うか日本の一流大学に入学できる学力を持つ日本の優秀な高校生にとっても、明らかに難しすぎると思う。

 私自身の高校時代の英語の授業。そして大学入学試験の英語で試験される能力を考えてみた。結論は、そこでいくら優秀だとしても、それだけで、TOEFLで高得点は絶対取れないと言う事だ。しかし、そういう日本の優秀な高校生がTOEFLで高得点を取るために何が必要かと言えば、ほんの短い期間のTOEFLに合わせた特訓だと思う。

 小生、実は大学に入学直後、一年生の夏休みの合宿を最後に辞めてしまったが、ESSに所属していたことがある。そこで、一緒にESSに入った同級生の英語力の急速な伸びを観てきた。残念ながら私自身は、語学の適性がそれほどないのか、急速に伸びることはなかったが、伸びるやつの伸び方は凄まじかった。ESSに入ったばかりのころは、たどたどしく、ほとんど日本語のような単調な英語で自己紹介していた同級生が、夏休みの合宿で行ったディベートで、堂々と『日本における原子力発電の是非』について、相手の論理に的確にカウンターアタックする論理をきれいなアメリカ英語で話していた。多分、彼のレベルなら、TOEFLのSpeakingでの30点満点中、ほぼ満点を取れるのだろう。

 たどたどしかったころのSpeakingは30点満点中15点もとれれば良い方だったところが、たった3カ月のESSでの特訓で30点に上げることができるのが、優秀な学生と言うことだ。3カ月程度の特訓でTOEFLで高得点を取れて、米国の一流大学に入学できるのに、それを諦めて、日本の一流大学に入学する日本の優秀な学生。どこかもったいない気がする。

 受験を前にした日本の優秀な高校生。日本の一流大学の入学試験は非常に難しい。その勉強をしながら、TOEFLに合わせた英語の特訓をするのは、あまりに過酷だ。結局、米国一流大学の道は諦めるのだろう。実際、日本の一流大学は、世界でもそれなりに一流 だということがその決断の後押しをする。東大や京大などはノーベル学者をかなりの数排出している世界一級の大学だ。また日本の企業に就職するなら、やはりまだ日本の一流大学だろう。

 しかし、成績優秀で東大や京大に進学しようと考えている高校生のみなさん。これからは、世界のどこでも活躍できることが、エリートの条件だと思う。日本の大企業の中で出世してもたかが知れている。やはり、目標は大きく持って、世界の一流企業の幹部になれるような道を模索するべきだと思う。その為に米国の一流大学に進学することが一番の近道だ。その為に、3カ月程度の英語の特訓するのは、決して無駄ではないと思う。幸い、最近は日本にいても、またESSなどのクラブに入らずとも英語、特にSpeakingやListeningの特訓ができる環境が整ってきている。

 例えば、Listeningなら、今やListeningの材料はインターネットに山のようにある。PodcastsでNative 同士の世間話程度の英語からサイエンスや経済他の専門的内容の議論を聞ける。iTuneUでは、米国、英国の大学の授業がまるまる聴講できる。

 Speakingも、フィリピン人の講師を相手にスカイプを使って英語の特訓をするRare Jobなどがある。これなど、毎月の高校生の小遣い程度で毎日約一時間マンツーマンで特訓を受けられる。

 こういう環境。私が高校生の時、Listeningの材料を求めて、短波ラジオを購入してBBCVOAを聞いていたり、Speakingの機会を求めて近所のモルモン教会の英会話学校に行って、危うく教科されかかったことなどを考えると夢のようだ。

 最後に、中国人や韓国人の米国一流大学への入学者が多いことに関して。両国の高校生が、自分の国の一流大学に進学するか米国の一流大学に進学するかの選択を迫られた時、世界レベルの一流大学を国内に持たない両国の高校生は、迷うこと無く米国の一流大学進学にになると思う。そんなことを考えると、両国からの入学者と日本からの入学者の数自体を比較するのはあまり意味が無い気がする。

 また、シンガポールの高校生にとっては、米国の大学は全然留学でないだろう。英語で授業を受け、日頃友達と英語でコミュニケーションしているシンガポールの高校生。留学の範疇から外しても良いかもしれない。ただし、500万人の人口。しかも、日本より少子化が進んだこの国からハーバードへの進学者が約100人。日本の20倍。中国や韓国の半分。これはまた別の意味ですごいことかもしれない。

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