シンガポールでアジアのエンジニアと一緒にソフトウエア開発をして日々感じること、アジャイル開発、.NET、SaaS、 Cloud computing について書きます。

僕の転職、シンガポール編 前編

»

 これを読んでいる人で、僕が日本の某コンピュータソフト開発の雑誌に書いていた記事を読んだ人もいるかもしれない。1ページの記事で、書店での立ち読みで十分に読める内容だっただけに、立ち読みで読んだ人も多いかもしれない。雑誌に記事を書くことになったのは、このエンジニアライフの私のコラムが雑誌の記者の目に留まり、執筆依頼があったからだ。4カ月に渡っての連載で、当初の予定では最後の4回目は、僕自身のシンガポールでの転職の話を書くつもりだったが、僕の転職が記事の締め切りに間に合わず、結局、別の日本人が、シンガポールで仕事を探した話を取材して書いた。

 しかし、今回、私も一応大学を終えて、仕事を見付けて再びITエンジニアとして働き始められたので、自分のことを書かないのは、申し訳ないので、ここで自分のことを書くことにする。このコラムでは、企業名その他はすべて隠すが、金額は一部公開する。雑誌に書いた記事は、『日本人ITエンジニアよ、こっちの水は甘いぞ』という内容だったので、私の記事を読んで、真剣にシンガポールで仕事を探すことを考えている人もいるかもしれないが、ここに書く内容は、それに水を差すことになるかもしれない。

 シンガポールで仕事を探し始めたのは、大学の後期の試験、つまり最後の試験が終わり、後は論文提出のみとなった時点からで、5月の中旬ぐらいだった。シンガポール人の日本人のためのWeb雑誌として、メジャーなものが2つ、シンガポールお役立ちWebAsiaXあり、それらに日本人向け、およびJapanese speaker向けの仕事の募集広告のサイトがある。5月中旬に、そのうちの1つにITエンジニア募集の広告があり、それに応募したのが最初だった。

 このサイトの求人広告のリストを見ると分かるが、広告を出しているのは、ほぼ日系の転職エージェントだけ。つまり、募集広告のどれかに応募するということは、それは自動的にその日系エージェントと仕事を見付ける契約を交わすことになる。とにかく、ある募集広告に募集して、ある日系エージェントを経由してレジメつまり職務経歴書を送った。

 書類選考は通り、Skypeを使った面接となった。その企業、広告業務を、世界に進出している日系企業に提供することを主業務とする会社で、最近シンガポールに進出することを決め、シンガポール勤務のITエンジニアを探していたのだ。しかし、まだシンガポールには人がおらず、東京本社からの面接となった。

 結局不採用になったが、説明された不採用の理由は、“over qualified”。私のような、年寄りエンジニアを断る理由として、日系企業に限らず、よく使われる理由だ。私のレベルのエンジニアに見合う仕事がないということ。確かに、シンガポールで行うと想定される仕事は、東京で開発されているシステムを東南アジアに進出している日系の顧客向けにカスタマイズするような内容で、そのカスタマイズも、それほど難しい作業と思えず、面接でも明らかにover qualified だと感じただけに、これも仕方がないことだろう。

 5、6月の時点では、私は、大学に提出するべき論文のための卒業研究にいそしんでいたので、利用するエージェントは1社に絞り、ゆっくりと仕事を探した。その次に、同じエージェントから紹介されたところが、ある日系大企業のメーカーの東南アジア地域を統括するITマネージャーの仕事だった。

 エージェントから話を聞いた瞬間に、私には難しい仕事だと感じた。多分、求められている人は、日本の大企業、それもメーカーで社内SEを経験したことのあるような人だろう。つまり、私のようなSIとは逆の立場の、開発を発注する側の仕事。ITの知識や、ソフトウェアを開発するためのプロジェクトマネジメントの経験だけでは、難しいだろう。

 しかし、職務経歴書を送ったところ、面接に至り、駄目もとで面接。結局、不採用だった。この種の仕事、普通に考えたら現地採用ではなく、日本からの駐在員が行うのが普通とも思えるだけに、その後、現地採用で人が見つかったのか、それとも、結局見付からず、駐在員で対応することになったのか、興味深い。

 7月になった時点で、私の仕事探しにも火が付き。Web上の募集サイトで見付けた目ぼしい募集に片端からレジメを送り始めた。片端というやり方だが、日本で転職をしたことのある人が聞くと、そんなことをすると、応募したところ、書類選考中のところ、ごっちゃになり、訳が分からなくなるのでは? と心配になる人もいるだろう。私も、最初は結果が分かってから次の企業に応募する方法を取ろうと思った。

 ところが、それはこの国ではできない。なぜなら、ほとんどの企業は、書類選考の不合格を通知してこないからだ。ここら辺りが、日本の転職と違う。結果をいつまで待てばいいのか分からない応募では、シーケンシャルな応募は不可能だ。そして、いったん、前の応募の結果を待たずに、次の応募を送るようになると、それは、だんだんエスカレートして、最後には『片端』になってしまう。

 さらに、日本の転職広告Webサイトを見ると、動画を載せ、写真を載せ、社長の文章を載せ、そこで働く社員の文章を載せと、社内の様子が分かるように凝った広告が多い。ところが、こちらの広告は、基本的にスペックだけ。どういう職種の募集で、給与が『これこれ』と、味もそっけもない。何も考えずに、職種が合う募集に片端から応募することに拍車が掛かる。

 また、同じ企業が、週に1度ぐらいの頻度で何度も広告を載せてくることも多いので、どの企業が応募済みで、結果待ちなのかどうかも分からなくなってくる。とにかく、毎日、広告を見て、新しく追加されている広告に、以前応募したか否かなど考えずレジメを送り続けることになる。どうも、この国ではこのやり方が一般的なようだ。

 さて、このやり方で求職者が募集に応募して来る国で、企業の側はどういう状態になっているかは予想が付くだろう。そう、毎日、多数届くレジュメ、中には、毎日同じものを、送ってくる輩もいるだろう。その中から、面接する人を選ぶ。レジュメの中身をいちいち読んでいる暇などない。とにかく、目立つレジュメを見付けて面接する。みたいなことになっているに違いない。

 結果、レジュメはパッと見で目立たなくてはならないことになる。有名企業の名前があったり、何かの難しい資格があったり。さて、ものすごく長くなってしまったので、この続きは、次回に続くことにする。終わる前に、その片っ端から、レジュメを送るために使った求人サイトをリストする。

Comment(1)

コメント

山本保男

すっげー内容がないカス記事。時間が無駄になったわ

コメントを投稿する