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ワークライフバランスの大敵、「残業」について考える

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 先日、日本経済新聞に、ある企業が長時間労働の抑制を目的に、本社ビルの照明を午後10時以降は強制的に消灯するようにした、という記事が掲載されていました。

 この「強制消灯」。

 社員が再点灯しても10分後に強制的に消灯する。消灯しないエリアを1カ所設けて必要な仕事はそこでする、残業する場合は事前申請を義務づけるなどの徹底ぶり。

 ワークライフバランスの確立を狙ったこの施策の導入後、月間の時間外労働時間が前年同月比で(1人当たり?)2時間削減されたそうです。

■「お付き合い残業」に巻き込まれていないか?

 仕事と生活の調和を図ろうとするとき、ポイントとなるのが「残業時間」。

 ここまで徹底した対応を行う企業であれば、何の気兼ねもなくすぱっと仕事を終えて帰宅することができます。一方で、職場の上司や同僚がなかなか帰宅しないために、帰りづらくて、本来はその日にやらなくてもよい仕事をだらだらとしているような状況が続いているケースもあると思います。私はこれを「お付き合い残業」と名付けています。

 「お付き合い残業」が深刻なのは、最初から残業することを前提に仕事をしているため、正規の就業時間の業務効率が下がり、その日の課題がさらに積み上がり、結局残業が増えるという負の連鎖に陥ってしまうことにあります。

 私の元へ転職の相談にいらっしゃるITエンジニアの中でも、「長時間労働に限界を感じた」ことが転職理由になっているケースがよくあります。

 もちろん、企業の構造上(過度なオーバーワークとなるプロジェクトばかり)、体質上(長時間の残業で生活費を確保しなければならない)、思想上(残業は美徳という誤った文化)の問題で、転職しなければ状況が改善しないケースもあります。しかし、「お付き合い残業」の悪循環を自ら断ち切れない方が多くいらっしゃるのが現状です。

 過去には「3K」――「きつい、厳しい、帰れない」「帰れない、帰れない、帰れない」――などと、イメージの悪いレッテルを張られていたIT業界でも、徐々に残業時間の削減や、女性でも働きやすい環境の整備に取り組むなど、ワークライフバランスを意識している企業が増えてきたように感じています。

 もちろん、「『お付き合い残業』に巻き込まれない」という意思がなければ、環境が改善されても、同じように長時間労働に悩む可能性が高くなってしまうことはいうまでもありません。

■キーワードは「準備」「周知」「勇気」

 以前、業務がハードなことで有名な企業でプロジェクトリーダーとして活躍しつつ、小さなお子さんの育児もしっかりとされている方の転職のお手伝いをさせていただいたことがあります。

 「両立は大変だったのでは……」との私の質問に対して、その方は「両立のコツは、いかに残業をしないで定時で帰宅するかだった」と教えてくださいました。

 残業せずに定時で帰宅するための心得。それは「準備」「周知」「勇気」という3つのキーワードだというのです。

 まずは自分自身が完遂しなければならない業務を事前にしっかりとピックアップ。本当にその日にしなければいけないものだけを、就業時間内に集中して、効率的に一気に終了させてしまうこと。これが「準備」。

 次に、上司や同僚に対して、今日中にサポートが必要な業務がないかどうかを確認。これによって、周囲に今日やらなければならない業務が終了していることを暗にほのめかす。これが「周知」。

 そして、業務終了の定時になったら、周囲が忙しい様子でも、ぱっと立ち上がる。明るい声で「お疲れ様です! お先に失礼します!」と挨拶をして、後ろを振り返ることなくオフィスを出る。これが「勇気」。

 なるほど。これなら角が立たない。そして肝心なのは、一歩踏み出す勇気なのだと感じました。

 仕事と生活のバランスを大切にしたいと考えているのに、長時間労働が負担になっている方がいたら、まずは「お付き合い残業」に巻き込まれていないかをチェックしてみてください。

 もし、お付き合い残業に巻き込まれていたら、人生をより充実したものにするために、「勇気ある一歩」を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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