「結婚」って転職活動に不利なんですか!?
いよいよ今年も、残すところ数週間。
私は今年、およそ300名以上のITエンジニアやWebクリエイターの方々の転職活動をお手伝いさせていただきましたが、実はそのうち9割が「女性」なんです。
■結婚は転職の足かせ?
女性のITエンジニアとの面談の中で、「結婚していることは転職活動に影響するのでしょうか?」とよくご質問いただきます。
性別を限らず結婚は、ご夫婦が共有する時間の確保のために、ワークライフバランスについて考える良い転機になると、私はポジティブに考えています。
ところが女性の中には、結婚をしていると家事や出産などによって業務に影響が出る可能性があるという考えから、企業が女性を積極的に採用しないのではないかと不安に感じている方が多くいらっしゃいます。
以前、転職活動のお手伝いをさせていただいた江本さん(仮名)もその1人でした。
中堅規模のシステム開発会社に入社して4年目のITエンジニアである彼女は、大学時代まで筋金入りの自称「ITオンチ」でしたが、先輩からの誘いでなんとなく飛び込んだITの世界にはまり、いまでは難しい技術雑誌にも目を通すようなITエンジニアに大変身! 将来はそんな雑誌から執筆を依頼されるようなエンジニアになりたいと夢見ていました。
「大規模なプロジェクトで実績をつくる」という目標をかなえるため、漠然と転職を考えていたころ、恋人から正式にプロポーズをされ、結婚に向けて準備を着々と進めていた江本さん。
そんなころ、江本さんの会社の社長が親睦会の席で、中途採用者の面接に来た女性を「結婚している」という理由で見送りにしたと話しているのを聞き、大きな不安を抱えてしまうことになったのです。
不安を抱えながらの転職活動。
「結婚のことを聞かれたらどうしよう」と落ち着かない気持ちで臨む面接では自分をアピールできず、残念な結果が続き、「転職でのキャリアアップはあきらめて、現在の会社で細々と仕事を続けることが女性エンジニアの幸せなのかも」と、無理やり自分を納得させようとしていました。
■「重荷」を「武器」に変える
江本さんが面談にお越しになった時、それまでの転職活動の経緯を聞き、私は最初にこう伝えました。
「もし日本中の企業が、社長さんと同じことを考えていることが判明したら、そのときは転職をあきらめましょう」
私は、男女を問わず優秀なITエンジニアを確保することが、システム開発会社がこれからの厳しい競争を勝ち抜くためには不可欠であると考えています。
「育児休業の期間延長」「短時間勤務制度」「フレックスタイム制」「裁量労働制」などの導入で柔軟に勤務時間をコントロールできるようにするなど、結婚している女性を意識した企業が増えてきたことも、優秀な人材の確保に必死になっている表れだと思います。
積極的に女性の活躍の場を増やし、女性が働きやすいことをアピールしている企業さえあることをお伝えすると、江本さんは「女性であることは、むしろ個性や武器でもあるんですね」と安心された様子でした。
私との面談を終え、「重荷」を「武器」へと変換させた江本さんのその後の転職活動は、まさに順調そのもの。最終的には、優秀な技術者が多数在籍することで非常に高い評価はあるものの、女性を採用した実績のほとんどない企業へ「女性エンジニアのトップランナー」を目指して転進されました。
もちろん結婚に対して、ネガティブな考えの経営者がまったくいないとは言えません。
一方で結婚が、他人との共同生活で人間としての幅を広げる大切なイベントだと考えている経営者も数多くいらっしゃいます。出産や育児に対しても同様です。
「結婚が転職に不利か?」から、「仕事と結婚生活、両方を大切にできる会社はあるか?」に質問が変われば、それに対しては間違いなく「Yes!」とお答えできると思っています。
今回ご紹介したエピソード、詳細をご覧になりたい方は、@IT自分戦略研究所の下記の記事をご参照ください。