IT業界から飛び出した「心優しき男たち」
世の中、いろいろな伝説を残している人物が多い。
ページの関係ですべてを網羅できそうもありませんが、今回はIT業界から飛び出した「心優しき男たち」について書いてみたい。
カオス度:3
クライム度:3
(筆者の独断と偏見によるものです)
※これ以降の文章には非常に生々しい描写が含まれております。ご自身の適切な判断が必要です。
■山川氏(仮名)
ある日、銀行から出ると、錆び付いた自転車に空き缶をいっぱいに載せて押している若い男性が目に留まった。
むっ、どこかで見たことがある顔だ。
よーく見ると 昔一緒に仕事をしていた山川さんではないか……と思い、声をかけてみる。
朝之丞 「もしかして、山川さんですか? どうしたんですか? そんな格好で……」
山川さんは吐き捨てるように、
山川さん 「見ての通りのプー太郎(ホームレス)ですよ」
わたしは一瞬取り乱したが、
朝之丞 「だって、○ーム○ルパーの資格を取って、その道に行くって会社を辞めたじゃないですか」
山川さん 「ありゃ、嘘です。離婚問題でムシャクシャしてたんで、会社を辞める理由に言っただけです」
朝之丞 「離婚したんですか?」
山川さん 「まぁ、いろいろあって結局そうなったわけですよ」
どのくらいホームレスをしているのかは知らないが、一緒に仕事をしていたころと比べて随分と物言いがぶっきらぼうになっている。心が荒れているんだろう。
野暮なことも尋ねてみた。
朝之丞 「今どこに住んでいるんですか?」
山川さん 「○○島の近くですよ、ビニールテントみたいなもの張ってね」
ふっと気がつくと、通行人の目がこちらを向いているの気がついた。
最後に、財布に1万円札しかなかったが彼の右手に押し込んで別れました。
■竹田氏(仮名)
これも銀行から出て、携帯電話で電話をかけていたときの話だ。
未入金があったので、催促の電話をしていると、浅黒いイケメンがこちらをじっと見つめているのに気がついた。
電話が終わると、その男性が声をかけてきた。
竹田さん 「朝之丞さん、景気悪い話ですね~」
朝之丞 「えっ? えっ?」
一瞬思い出せなかったのだが、その男性から名乗ってくれた。
竹田さん 「昔一緒に仕事した竹田ですよ」
朝之丞 「おおっ、どうしたの男前になって」
竹田さん 「ええっ、まぁ、今、○石のブ○ーカーやっているんです」
改めて竹田さんを見ると、なんか高そうなスーツ、高そうな靴、でかいバック、そして男前度が上がった右ほほの傷(以前はなかった)など、どう見てもそれっぽい。
(筆者注)それっぽいとは、健全なお店の張り紙にある「一見してそれとわかるお方の入店をお断りします」そのまま。そんな感じのオーラが出ている。
■傾向と対策
タイトルを“IT業界から飛び出した「心優しき男たち」”としましたが、なぜかというと、一緒に仕事をしていたときは
- 遅刻、早退、欠勤などほとんどなかった
- 職務に忠実で、かつ、率先して改善提案などを行っていた
- リーダーとして統率力もあった
などなど、非常に真面目であったことが印象に残ってます。
本当は、心優しかったんじゃないかと思い付けたタイトルです。
IT業界は、調査解析にしてもデバッグパターン抽出にしても「特に細やかな気配りが必要」なのは読者の皆様がよくご存じの通り。実際、山川さん竹田さん共に気配り心配りが上手だった。
しかし、山川さんは面接のときに「プー太郎やりたいです」などと言って度肝を抜いていたし、竹田さんについては、内緒で○石のブ○ーカーのサイドビジネスをやっていたなど下地があった。
むしろ、望んでいた道に行けたので本望かも知れません。
否、むしろ反面教師として捉えていただきたいのです。全くの妄想は別としても「人間はやはり考えている方向に行く」ようです。
わたしの知り合いで元暴走族がおりますが、その彼が「若いころヤンチャくれて弾けてないと、年食ってから出るんだよね」とよく言ってます。彼らはそうではないことを願ってやみません。
竹田さんが最後に言った、
「そろそろ朝之丞さんもIT業界、足洗ったほうがいいんじゃないですか」
という言葉、心にぐさりと刺さりました。
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