筆者は1970年生まれ。先輩から、情報技術者を目指す若い方へ生きてゆくためのコラムです。

仰げば尊し

»

 前述のネットワークサーバーを、千葉県立千葉工業高等学校 情報技術科に正式に贈呈した。なぜならば、母校ということもあるけれど、これを家庭で作動させると、電気量メーターがぐるぐる回り、危うくサーキットブレーカーが落ちそうになるのだった。さて、どうしたものか、と考え、引き取りをお願いしたのが、情報技術科専用の「情報棟」を持つ母校だった。

 前述→ http://el.jibun.atmarkit.co.jp/tadokoro/2009/01/asianux-road-sh.html

■仰げば尊し

 とても個性的な学校に、とても個性的な僕。修学旅行のアルバムに、まるでビル・ゲイツや、ハリーポッターみたいに写っている、色白眼鏡の少年が僕だ。マラソン大会に出れば、喘息を起こして車で保険医に連れて行かれ、点滴注射とネブライザー(吸入器)を受ける始末。けれども、同学年のボスには、柔道で絶対に倒されなかったのが自慢だ。

 ここ20年間の技術力を支えてきたのも、この高校での学習の成果(プラス、職業訓練校)なので、非常に感謝している。再三再四、学年主任から「お前ら、これは飯のタネですよ」と言われ続けたためだ。飯のタネ。プログラム職種には就かなかったものの、FORTRAN77、COBOL80、ANSI C、論理回路などを勉強させてもらった。もしこの高校に行かなかったら、ただのパソコンおたくにとどまっていただろう。ここでは、パソコンにとどまらない、幅の広いものの見方を植え付けられた、そんな3年間だった。

■ヒビスコールSHも同時に進呈

 情報技術科1学年で、複数名、インフルエンザ患者が出たためだ。幸いにも、彼らは復調して、現在出席している模様。ヒビスコールSHは、病院で幅広く使われている手指消毒液だ。ギフトにも手頃な価格帯だったので、ささやかな1個ではあるものの、別便で進呈した。なぜならば、3学年の夏休み、僕はマイコプラズマ肺炎(重積性気管支肺炎)で、国立病院機構千葉病院(当時の国立千葉病院)に入院した経験があったからだ。なので、何が何でも病気は避けなければならない。病気の重症化は避けなければならない。そう思った。

■工業高校のメリット

 普通科より早く最新技術をキャッチアップできるということに尽きる。すでに15歳でプログラミングの基礎を学ぶことができる。また、数学力が鍛えられるということ。ロジカルシンキングを求められるということだ。しかし、女子が少ないことは、紛れもない事実(苦笑)。出会いを期待したければ、普通科に行った方が遙かにマシ。しかしながら、技術と学問を究めようとするならば、工業高校は職務に密着した高校。しかも、職場では即戦力として扱われるので、不景気でも新卒求人は引く手あまただ。即、現金が欲しければ、こんな近道はない。事実、今回贈呈したネットワークサーバーは、3学年の実習に使われるとのこと。高校3年にして、既にLinux使いになれる。それも工業高校の魅力だ。

■理不尽なキレ方をされて登校拒否に

 昭和も末期。当時の館山出身のW先生が、後ろで授業中にしゃべっている奴と誤認して「コンピュータを学ぶと言うことは、そんな生やさしい物じゃないんだ!!」と僕にキレた。ああ、そう。僕としては生やさしい物だとは1ミクロンも思わなかったのだけど、先生がそう思うなら仕方がないか。と思って、僕は自宅に絶賛引きこもり状態になった。本当は、誰が悪いのだろう。いったい、誰が悪いのだろう……。あれからの僕は、コンプレックスを抱えたまま社会人になり、阪神大震災の前後1両年を、働きながら神戸市長田区の通信制高校で学んだ。些細な一言が、とんでもなく生徒の人生を誤らせる。先生が発する言葉は、それだけ重い。

(これからも不定期に、思索と模索は続く……)

Comment(0)