エンジニアだから、と気負う必要は全くナシ
僕の就職時期(20年前)は、日本ではバブルがはじけそうな時で、オッサンどもからは、やれ「新人類」だの「芸術家タイプ」だの「液晶テレビ型」だの、好きなことを言われましたが、結局僕もそれ相応の年齢になったら、新しい人材が「新人類」に見えてしまう、ただそれだけのことでしょう。むしろ、進化し続けるのが人類です。若さは武器です、胸を張りましょう。
ワークライフバランスについて:仕事(残業)と私生活の両立はうまくいっているか、うまくいく方法
まず、最初が肝心なので、あらかじめ終バスの時間をメモしておいて、そこから逆算して「夜は何時までしか無理です」ということを上司と取り決めておくこと。そうでなければ、際限なく仕事を押しつけられます。病気になるまで……。
デスマーチ・プロジェクトについて:経験はあるか、どれくらいの頻度であるのか、経験談など
プログラム系のデスマーチは経験無いのですが、SFみたいな無理のある仕様書、プロジェクトを平気で持ってくる営業部門の人間はいます。逆にこちらが教育するつもりで接するといいでしょう。毎日寝不足でノイローゼなどの病気にならないためにも……。
ブラック企業について:ブラック企業に在籍していたことがあるか、周りや自分の経験談、ブラック企業の見分け方など
まず、会社名に社長の苗字や、その略が記されている会社はまず間違いなくワンマン=ブラック企業です。次いで、2代目社長はダメです。世間の風を吸って生きて来ていないためです。人の痛みも分かりません。さらに、1.5次情報(某おおきな掲示板)に当たってみてどうかということも会社選びの参考になります。また、入社したはいいけども、社長の机しかないような会社は、いわば人材ブローカーなので、注意が必要です。
学生時代に学んだこと(プログラミングやロジック)は役に立つか
論理的思考は無駄にはなりません。とはいえ、今現在の技術水準で定年まで食えるかというとそれは無理な話で、常に新しい言語のキャッチアップをする必要があります。情報インフラにしても、仮想化などの新しい知識をキャッチアップしなければならないのと同様です。また「大学を出た」ということは、あなた自身の実力もありますが、あなたがたの親御さんに感謝を忘れないようにしましょう。
学生時代に「これをやっておけばなあ」と思ったこと
勉強です。大学卒の資格です。しかも、理工系の大学です。これがあるのとないのでは大違い。あと、我慢してでも首都圏に住み続けていたらなあ、という、地の利ということも痛感しています。仮に同じことを、近畿でやるのと、首都圏でやるのとでは、断然首都圏が求人の量も質も違うし、勉強会の数も、セミナーの数も違うからです。
人と話すのが苦手な自分でも、エンジニアをやれるか
人と話すのが苦手……それは論外でしょう。コミュニケーションスキルは高い方がいいです。しかし、コミュニケーションスキルだけあっても、口先三寸という感じでいやらしいので、中庸です。バランス良くです。飛び抜けて人より上手にしゃべろうとか思わなくていいので、要は伝われば良いのです。徐々に慣れて行けば良いのであって、いきなり世間擦れする必要もないのです。現に、訥々としたエンジニアさんも多くおられます。
目指すところは「職人」だ
企業に勤めていても、僕たちは何らかの形で「職人」になって行きます。いや、むしろ、職人気質をつけていって欲しいのです。「自分は、仕事を、正確に、しかも速くやってこそ職人」と胸を張って言える職人気質が必要です。この場合、趣味でプログラムなどをしているのではないのです。僕たちは「職人」なのです。そして、30歳ぐらいまでに、これぞ自分のコア・コンピテンツ(主要な製造技術)だ、といえる一本筋が通ったナレッジとスキルとキャリアが必要になってきます。若い頃の転職は「異業種に飛び込める柔軟性がある」として評価されますが、時を経るとともに「すぐ辞めやすい人間だ」と評価されてしまいますので、ご注意を。
趣味を仕事にするか否か
趣味(好きなこと)を仕事にするのは苦痛です。できれば、学生のうちから、違う趣味、多様な生き方を身につけておくことが必要です。中には、趣味=プログラミングな人もいますが、できれば、趣味は仕事に結びつかない方が、精神衛生的にも大丈夫だと思います。明けても暮れてもコンピュータ、では長続きしません。あと、アルコールとたばこは控えめに。人生がダメになりますから……。
(今後も不定期に、思索と模索は続く……)
コメント
インドリ
はじめまして田所さん。
ほとんどの部分同感なのですが、
>趣味(好きなこと)を仕事にするのは苦痛です
だけは異論があります。
私は運悪くブラック企業ばかりに遭遇してきましたので、餓死を意識し、自殺衝動に駆られる状態にまで追い込まれました。
毎日食事に困り、気がつけば高いところから飛び降りようとしていたりする状態です。
しかし、情報処理技術に対する情熱で自殺衝動を抑え込み、今なんとか生きています。
その実体験から私は思うのですが、どんな職業でも好きでもないのに続けられる程甘くはないのではないでしょうか?
これからの時代、仕事を極めるつもりがない人に仕事が回ってこない時代になると私は思います。
※ツテ・カネ・コネは除きます
インドリさん、初めまして。
僕は、何事も全力で、で来たので、おかげで神経を害することになりました。そしてほぼすべてがブラック企業でした。
インドリさんの場合は、情報技術をモチベーションに何とか死なずに済んでいるようですね。もし、どうしてもきつかったら、僕同様、メンタルクリニックを受診されるよう、お勧めします。
仕事を極めようとするつもりがない人には、仕事が回ってこない、まさに同感ですよ。お互い頑張りましょうね。コラム読んでいただき、ありがとうございます。
CMP
田所さん、こんにちは。
私も一箇所気になるところがあります。
>趣味(好きなこと)を仕事にするのは苦痛です
好きなものだからこそ、歯止めが利かず病気になるまで(人によってはなっても)がんばってしまうのだと思います。
でも、そこまで好きになれないと「職人」にはなれないとも思うのです。
なので私から見たら、田所さんの主張は矛盾しているように感じます。
でも、多趣味推奨は同意です。
好きなものの一つが、たまたま仕事だった(になった)くらいがちょうどいいと思います。
CMPさん、こんにちは。田所稲造です。
あのですね、僕は15歳からずーっとパソコンばかりやってきたわけですよ。で、限界が見えてきたんですね。CAD、DTP、情報インフラ……。続ければ続けるほど神経を害する結果になってきました。(何個か前のコラム「傷ついた翼」ご参照)僕の場合、神経に来ているんで、趣味は趣味で置いておいて、何か別の就業を考えています(というか、考える年齢に来ています)。
情報マネジメントとか、管理する側に回れればいいのですが、なかなか易々と採用してもらえません。
若いうちは必要ですよ。好きなことを仕事にして、得手に帆を上げて頑張るというのは、僕もそうでしたし、次に続く若者にもそうあって欲しいとは思います。
ただ、人間40歳近くになると、どうも根気が続かない。頭痛がしたりする。そういうわけですね。ではでは。