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目標設定について考えてみる

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 こんにちわ、サトマモです。1月から新しいプロジェクトに参画し、バタバタと過ごしてきたのですが、少し余裕が出てきました。そこで先日、延ばし延ばしになっていた目標設定について、マネージャと話し合う機会を設けることができて、ほっと一息。

 ……はて?

 よくよく考えてみると、目標設定はキャリア開発において極めて重要な割合を占めている一方で、真面目に取り組む人が少ないのではないかと感じ、今回の題材に選定しました。

 みなさんは仕事における目標設定をどのように実施していますか? というか、やっていますか?

目標設定って、面倒くさい?

 多くの企業では、日々の仕事に追われてしまい、公式に目標を設定するという機会が少ないのではないでしょうか。これは僕の勝手な想像ではありますが、他業種・他社の友人と会話していると、そんなふうな印象を感じています。

 もちろん、インフォーマル(非公式)なメンタリングというか、会話の機会というのは存在するでしょう。ランチ、飲み会、仕事中のちょっとした会話など、さまざまな場面を活用していると思います。ただし、そういう思いつきかつ断片的な対話では、全体感を網羅した目標設定が難しいため、偏った目標ばかり設定してしまい、昇進や成長に必要な目標が設定されない、なんてことになりがちです。

 例えば、開発スキル向上ばかりを設定してしまい、リーダーとしてのスキル強化が疎かになってしまったり、プロジェクトや周囲の人の都合に振り回されて、キャリア構築に悩んでしまう、であるとか。

 さらに言えば、面と向かって目標設定なんて畏まらなくても……なんて感じている上司・先輩方もいるかもしれないですね。

 僕自身は、目標設定というのはキャリア育成に役立つという漠然としたうれしさがあるだけではなく、プロジェクトにおいて自身の活動をコントロールするための重要な取り組みだと認識しており、面倒くさいどころか、けっこうな時間を割いています。

 また、目標設定を通じた対話による副次的な効果もあります。経験上、マネージャとのコミュニケーションが良好になり、仕事自体がやりやすくなることが多いのです。それだけでも、取り組む価値はあると思いますので、忙しいエンジニアの皆さんにもぜひトライしていただければ。

 参考までに、エンジニア時代の僕のエピソードを紹介しましょう。

 プロジェクト参画時の目標設定ミーティングで、「ホスト上のプログラミング、アセンブラやCOBOLにも興味がある」と伝えていたところ、思わぬ開発メンバー不足に陥った際に、「サトマモくん、やってみる?」とチャレンジの機会を与えてもらうことができました。小さな開発ではありましたが、無事にやり遂げ、プラスアルファの貢献となりました。

 その手のエピソードは他にもたくさんあるのですが、いずれもきちんと希望を伝えていたからこそチャンスがめぐってきたというのは間違いありません。

 一方で、目標設定をしなかったプロジェクトでは、やりたいことと振られる仕事、期待する仕事のフィット感、納得感が少なく、モチベーションが上がらない……その結果、良いパフォーマンスが出せなかった、ということもあります。これは一概に目標設定が原因とは言えないのですが、けっこう大きな影響があったのでは、と個人的には感じています。

プロジェクト型ワークの弊害

 長く職場や役割が固定されている場合には、上司や先輩も長い付き合いとなり、ある程度長い目で育成・評価することが可能です。

 しかしながら、エンジニアやコンサルタントの方々は、プロジェクトが変われば環境がガラっと変わり、チームもリセットという場合が多いと思います。こういうプロジェクト先の上司はジョブ・マネージャ、というように呼ばれ、会社の部署の上司とは異なるものの育成や評価に対して大きな役割を負うことにます。よくある話ですが、クライアント先で仕事をする僕らにとっては、自社部署がバーチャル組織のように感じることも、多々あるでしょう。会社側からすれば、そんな職場環境のなかで、どのように社員の帰属意識を醸成するか、という課題と常時対峙することになります。

 一方で、従業員サイドでは中長期に渡る継続的な教育・評価が受けられないため、キャリア育成や自己実現に取り組みにくい、というのが多くの企業・現場が抱える頭の痛い問題の一つでしょう。

評価制度に目標設定を組み込む

 これらの問題に特効薬はないものの、評価制度にプロジェクト毎の目標設定を組み込むことで、緩和を試みている企業もあります。

 僕は米国系の外資企業しか職場経験がないのですが、アメリカでは地理的に離れた場所で仕事をすることも多いためか、プロジェクト参画時に新しい上長と目標設定について話し合う場が制度として規定されていたりします。もちろん、自己表現・自己主張がはっきりしていて、評価についてシビアという文化も影響しているのでしょう。

 さて、では目標設定してみましょう、となった際に「モジュール設計からテストまでを独力で完了できるようになる」、「XXXという資格を10月までに取得する」といった具体的な目標を策定する前に、ちょっと考えておくべきことがあります。それは何かというと、前提と期待の理解です。確認すべきは主に下記の3点だと考えています。

  • プロジェクト背景・文脈
  • 自分が果たすべき、もしくは期待される役割・ゴール
  • 自分自身のキャリアプランと役割をどのように結びつける、バランスするか

 まず第一に、プロジェクトの置かれている状況を正確に把握します。火を噴いているところなのか、進捗は順調だけど他に問題があるのか、何が困り事、制約、前提なのか…などなど。プロジェクトの文脈によって、設定できる・すべき目標も当然変わってくるからです。

 次に、プロジェクトの背景・状況から、上司が自分に期待する働きを正しく理解しましょう。ここがずれていたり、期待を無視してしまっては、上司から見るとまったく使えない部下になってしまいます。この期待値は最低現クリアするハードルとして、目標設定に組み込まれるべきなのです。

 3点目に、そんな背景や期待を受けて、自分が達成したい目標やキャリアプランと、どのように整合をとるかを考えます。ここが一番の調整どころで、研修プランややりたい仕事などをとことん話し合いましょう。

 ここまでやってから、細かい目標をターゲットを明確にして設定していくことが理想的ではないかと考えています。加えて言うと、目標設定といえば、気をつけるべきはSMARTという観点ですね。測定可能、というのは特に大事です。

まとめ

 このような取り組みを実施することで、自分は何がしたいのか、いま何をすべきなのかを考える機会が生まれるため、プロジェクトでの貢献や自身のキャリア開発の観点からも、非常に効果的な取り組みといえるのではないでしょうか。会社で制度化されていなくても、是非参考にしていただければと思います。

 また、双方向の取り組みですので、上司・先輩方の協力も必須! リーダー、マネージャの皆さんにも、部下の育成に積極的に取り組んでいただきたいと願っています。

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