さよならXP
ついに今日、WindowsXPのサポートが終了した。
しかしまぁ、たかがパソコンOSのサポートが終了するからといって、テレビのニュースにまでなるなんて世の中も変わったものだ。
ところでこのWindowsXPというOS。これほど長い間ユーザーに利用されてきたのだから、OSとして大成功だった......といえるだろうか?
■製品やサービスの一生
我々エンジニアは日々、新しい製品やサービスを世に送り出している。そして、それらの製品やサービスにも、やはり寿命というものがある。我々は、それらについて、それこそ揺りかごから墓場まで面倒を見る必要があるわけだ。
たとえば業務用パッケージを考えてみよう。通常は売り切りではなく年間保守契約などを別途結んで、何年にも渡ってエンドユーザーとの関係が継続する。WindowsなどのOSや、バックエンドで利用しているDBMSなどのライフサイクルと合わせて、保守の計画を立てなければならないし、セキュリティ的な欠陥が見つかれば、迅速な対応が求められる。
さらには最近ではスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを活用するエンドユーザーも増えてきている。そういったデバイスや利用シナリオの多様化にも対応が必要だ。
このように、ひとつの製品やサービスが誕生してからその役割を終えるまでの間に、世界は絶えず変化を続ける。そんな荒波に揉まれながら、成長し、年老い、やがて静かにその役割を終える日が訪れるのだ。
■『お家の繁栄』こそが成功のバロメーター
製品やサービスは通常その役割を終えるにあたって、バージョンアップというカタチで子孫を残す。子は親の遺伝子を受け継ぎながら、時代のトレンドに合わせて特徴や性格を変えていく。
親の評判がよく、世代交代がうまく行って子孫がより一層繁栄すれば(売れれば)、それは成功といえるだろう。
しかし、どんなに親の評判がよくても、子孫の評判が悪ければ、世代交代は進まない。それは『お家』全体で考えるなら、没落の始まりと見ることもできるわけだ。
つまり、エンドユーザーがその子孫を引き続き選んでくれるかどうか。そこが問題となる。失敗ならばすぐに分かる。しかし成功かどうかは、世代交代の時を迎えてはじめて分かるものなのだ。
■没落を避けるために
我々は、現在リリース中のバージョンをしっかりとメンテナンスし続けることも大切だが、製品やサービスの家系を絶やさないために、『次のバージョンへの円滑な世代交代』という重要なテーマについても考え続ける必要がある。目先の、現行バージョンの改善ばかりに気を取られずに、未来に渡る製品ファミリーのストーリーを描くことが重要なのだ。
曾孫であるWindows8も8.1へとアップデートされる今になってようやく現役引退となったWindowsXPには、以前わたしもずいぶんとお世話になった。今夜は、心からねぎらいの言葉をかけつつ、グラスを傾けたい。(あぁ、たまにはXPの子孫の顔を見るために、Windowsマシンの電源も入れてみるか......)