データ量が増えると大変だよね!
システム部員を悩ますものの1つに、「データ量の増大」がある。いくら最近のストレージ容量は大幅に増大しているといえども、データ量が大きくなるとバックアップ時間が長時間になったり、パフォーマンスにも影響を与えたりする。
また、バックアップ時間が長いということは、深刻な障害が起きて全データのリストア復旧が必要になると、徹夜で作業を行わなければならない。
データ量を減らすには、もちろん消してしまうのが一番いい。しかし、ユーザーに消せといっても「大事なデータを消すとは何事だ!」と怒られてしまう。
増大するデータを抑止するためのソリューションとして、アーカイブシステムが提案されている。これは古いデータをサーバ本体から追い出して、DVDチェンジャなどに格納する技術である。データベースのトランザクションデータ量の肥大を防ぐ方法としては有効であるが、必ずしもすべてのデータに対して有効とは思えない。
■時系列のデータ、改変不可のデータ
[データベースのトランザクションデータやメールの送受信データが該当する]
これについては、古いデータをサーバ本体から追い出し、DVDなどのメディアに移動し、必要なときメディアから検索して読み出せれば十分である。
■階層型のデータ
[フォルダ構造のファイルサーバが該当する]
古いファイルを更新日時を基準にしてアーカイブしてしまうことにより、ユーザーに不都合を与えかねない。フォルダ単位で、古いファイルから新しいファイルまで一覧できることに利便性があるからだ。これが、いつの間にか古いファイルが別のところにアーカイブされていたら、不便だろう。アーカイブされたファイルの代わりにショートカットを置くことにより、自動的にDVDのメディアを参照しにいくようなシステムがあるかもしれない。しかし、アーカイブされてしまったファイルの文書はもう追加更新できないのだ。
ファイルサーバはフォルダを階層的に自由に組めることで利便性があるが、部署内で利用する前にどのような文書をどのフォルダの下に置くのか規則を定めないと、後々になって整理できなくなる。整理したフォルダ階層になっていて、ある程度年月がたったら、部署責任者が消す判断をするのが適切な処理である。
俗に言う「個人用フォルダ」は、業務上の情報共有という観点から作らないのが理想とされているが、実際問題、わたしは必要だし、多くの企業ユーザーはなければ困るという人が多いと思う。わたしはファイルサーバ上に個人用フォルダを作り、ダウンロードした調査資料や重要なメール、下書き文書、メモなどを大量に溜め込んでいる。
■ファイルサーバ遠隔地同期とテープバックアップ
近年WANのネットワーク大域が増大したために、テープバックアップを取らずに、ファイルサーバを拠点Aと遠く離れた拠点Bに置き、2つのファイルサーバを同期させてテープバックアップをやめることが提案されている。しかし以下の点でテープバックアップは必要である。
■人為的なミスでデータを削除した場合、同期された2つのサーバともデータが消失する
■サーバダウンによるデータ損傷のダメージが大きい場合、WANで遠隔地サーバから同期をかけて復元するよりもテープからリストアを行ったほうが早く復元できる
前者の場合は、シャドウコピーのような機能でファイルの履歴管理を実現できる。後者は、最悪の場合のもっとも恐ろしい障害であり、そのことを想定するとどうしてもテープによるバックアップ、リストアは止めるわけにはいかない。
■お蔵入りサーバ
わたしは、ファイルサーバとは別に「お蔵入りサーバ」を作ることを提唱する。個人用フォルダにはあまり参照されないファイルが多数存在する。それらをお蔵入りサーバに保存してファイルサーバから削除してまうのだ。
お蔵入りサーバは、遠隔地にも配置して同期させる。ただし、テープバックアップはしない。あまり参照されない文書は、障害が起きても急いでリストアする必要がないからだ。
ファイルサーバ本体には、あくまで頻繁に参照されるファイルだけを保存するというルールになるので、テープバックアップ対象になるデータ量が減り、システム管理は楽になるであろう。