インターンシップで未来のIT業界を考える
こちら福島県はかなり肌寒くなってきました。すでにコタツなどの暖房はかかせません。コタツって不思議な魔力がありますよね!? そう、誰もが経験したことがある「あまりの心地よさに眠くなる」ということです。今日はこれをやる! と決めてコタツで勉強などしていると、いつの間にか朝になることもしばしば……。
お勧めの勉強方法としては、暑い夏は夜は早く寝て、朝早く起きて気分よく勉強をするようにします。福島県の冬も朝は窓が凍るくらい冷えます。よって布団からそうそう出られません。夜なら日中の暖が残っていますから、眠くなる前に集中して勉強しましょう。
さて、今回の記事は就職活動の前段階である「インターンシップ」について書きたいと思います。
■インターンシップとは?
インターンシップとは、学生が一定期間企業等の中で研修生として働き、自分の将来に関連のある就業体験を行える制度です。
学生にとってさまざまなメリットがあります。
- 希望する職業や業界の雰囲気を実際に肌で感じ取れる
- 社会人としての心構を学べる
- 就職活動の際に役立つ情報(アドバイス)が得られる
ここに挙げたのはあくまで一例であり、学生にとってとても有意義でメリットがある制度だと感じています。
企業からすればどういったメリットがあるのでしょうか。
- 企業の社風・業務内容などを知ってもらえることで認知度が高まる。
- 学校との情報交流を図ることができる
- 将来的な人材確保に繋がる
これも一例ですが、長期的に見ればかなりのメリットが期待できます。
この記事を書こうと思ったのは、読んてくれた学生の方、企業の方に積極的にこの制度を利用して欲しいと思っているからです。
僕は現在、社内の技術教育担当として新入社員やインターンシップなどを担当していますが、今年は中学生・高校生・大学生と3回のインターンシップを担当しました。それぞれ内容もさまざまでしたが、その中でも今回は中学生のインターンシップを担当した実際の体験談や感じたことを書きたいと思います。
■中学生編
人数:3名(女子)
期間:3日間(1日3時間程度)
ポイントは1日3時間程度という短い時間でシステム開発の仕事をいかに体験してもらえるかということです。また、事前に学生の詳しい情報は解りませんので未経験者を想定しました。
中学生にとってどういった内容が必要かと考え出した答えは次の通りです。
- 実際にシステム開発という仕事を体験する
- ITを知ってもらい、その仕事に就きたいと思ってもらえるような内容にする
- 簡単なプログラム作成を通して、このシステム開発(プログラム)って楽しいと感じれるような内容にする
もちろん、いきなりプログラムが作れるはずもないので、サンプルコードを用意し自分達でカスタマイズしてもらうようにしました。
■カリキュラム
1日目 自分でペイントツールでイラストを書く。
2日目 作成した絵がアニメーションする。
3日目 作成した絵と会話するプログラムを作る。
■インターンシップ1日目
インターンシップ初日、初めての場であり中学生も緊張していたと思います。この段階で自ら質問することはこの段階では当然難しいので、こちらから積極的に声をかけたり場を和ませるような明るい雰囲気を作るよう努力しました。
最初に、中学生に対してITをどの位知っているのかを聞いてみました。結果は福島県がそうなのか解りませんが、予想していたよりITというものを知らないことが解りました。知らないというよりは“意識”をしていなかったというのが正しいでしょう。まだ、携帯電話も自分のパソコンも持っていませんでした。
わたしたちの生活で、電気・ガス・水道と同じくITはなくてはならないものになってるはず。だから当然ITのイメージもあるものと思っていましたが、逆で一般の認知度は電気や水道などと違いまだまだ低いと実感しました。そこでまず、携帯電話やコンビニで買い物する場合やインターネットや携帯電話など実例を多く話しました。
次回の反省点として、銀行やコンビニのATMの話をしたところ、あまり理解してもらえませんでした。当たり前ですよね中学生でお金を引き落とせるはずもありません。
この段階で少しづつではありますがIT業界の仕事のイメージが沸き、身近に感じてくれたと思っています。
また、なぜIT業界の企業をインターンシップに選んだのかと質問すると、1人、将来ITエンジニアを目指したいという学生がいました。嬉しい一言です! どうすれば将来エンジニアになれるかをアドバイスできました。中学生の段階でやりたい職業を見つけ目指すというのは大切なことなのかもしれません。自分がやりたい職業についた人は将来のその業界をずっと支えてくれるでしょう。
本題であるペイントツールで素材作りを始めます。テーマは架空の動物というお題で作成していただきました。実際に作業に入ると、操作もスムーズで何を書こうかな? などあまり迷いもせずどんどん作っていきました。発想力もありとても良いもの時間内に完成しました。どうやら学校でもペイントツールは使っているようです。
ここで感じたこと、僕の中学生の頃はどうだったのか覚えてはいませんが、中学生は迷いがなく発想力が素晴らしい!
■インターンシップ2日目
いよいよプログラミングです。まずは画面を作るところから始めました。1日目に作成した画像を画面に貼り付けたり、ボタンを作成したりと進めていきます。課題は動くプログラミングで、ボタンをクリックすると徐々に消えていって、ランダムに違う場所から現れるというお題です。
こちらが用意したサンプルプログラムを見ながら作っていきます。まだまだキーボードの入力もぎこちなさがあります。3時間という時間はプログラムの入力だけであっという間に過ぎていきました。
入力には苦労しましたが、完成し動いているしている自分のイラストを見て、みんな喜んでいました。それまで緊張で硬かった表情もあきらかに良い方向に変わりました。プログラムが出来たときの喜びや感動はエンジニアにとって今も昔も一番大切ですね。そんな中学生の楽しそうにしている姿が忘れられません。
■インターンシップ3日目
いよいよ最終日です。だいぶ打ち解けてきて表情も柔らかくなりました。
課題は会話するプログラムです。質問に対して答えを返すというもので、質問内容や回答などはそれぞれに決めてもらいました。まずはサンプルプログラムをベースに作成して動作を確認し、次に自分のオリジナリティを出していくという形で進めていきました。
2日目同様、1つひとつ自分が考えプログラムを作成し、動作が加わるのを体感して楽しそうにしています。そんな姿を見ているだけで幸せな気持ちになります。
完成した後、システム開発(プログラム)はどうでしたか? と質問しました。そして全員から「楽しかった」という声を聞くことができました。やはりこの気持ちこそがIT業界を盛り上げ支えていく原点ですね。
最後にみんなで記念撮影をしました。数年後、立派に成長して同じ職場で働ける日がくるかもしれません。福島県や日本のITを支えるように人になって戻ってきて欲しいと願うばかりです。後日、お礼の手紙が届きインターンシップを担当して本当に良かったと感じました。
■僕たちが感じたこと
学生はIT業界の将来を担う、ダイヤの原石である。
現在のIT業界において、本当にこの職業で仕事をしたくて入社してきた人はそれほどいないのではないかと感じています。また、世の中にITが浸透し、それを作っている人々の苦労や仕組みなどをあまり意識することもなく、1つひとつのことに対する感動も薄くなってきているのではないでしょうか。
日本のIT業界から世界に通用にするエンジニアを生み出すには、まずはIT業界に飛び込んでくる学生を増やす必要があります。そのためにも学生のうちから、「ITに興味をもち、その仕事をやってみたい!」と思ってもらえるような取り組みが必要です。それがインターンシップ真の価値であると感じましたし、IT業界の将来を支える良い仕組みであると思います。
国や企業は大学だけでなく、高校や中学まで広く目を向け、ITの教育に取り組んで行くべきです。その成果は数年後に必ず返ってきますし、IT業界の未来を明るくしてくれるでしょう。インターンシップを通して、僕自身もそういった活動をやっていきたいと強く思うようになりました。
この記事を読み就職活動を行う前段階である、インターンシップの重要性が伝わっていただければ嬉しいです。
■最後に
インターンシップの中で心に残ったことが1つありました。
一番好きな食べ物の話をしたときに、「お母さんの作ったハンバーグ」と言った学生がいました。
この言葉を聴いたとき、気持ちが晴れた気がしました。思っていても、大人ってそうそういえませんよね! 中学生のように純粋な気持ちを持ち続けなければと考えさせられたインターンシップです。
コメント
第3バイオリン
大久保さん
こんばんは、第3バイオリンです。
私の会社にもインターンシップ制度はありますが、対象は大学生以上です。
中学生のインターンシップというのは初めて聞きました。
>プログラムが出来たときの喜びや感動はエンジニアにとって今も昔も一番大切ですね。
わかります、私もそうです!
私はかつてプログラマとして挫折した過去がありますが
今でもテスト用のツールのスクリプトをカスタマイズしてうまく動いたときは
笑いが止まらないくらい嬉しい、楽しい気分になります。
(周りの人は私の挙動を怪しんでいるかも・・・)
私はプログラマにはなれませんでしたが、過去の経験は確実に今の私の
もとになっていると感じています。
インターンシップを受けた学生さんたちにとっても、大久保さんの会社で
経験したことが、未来の彼女たちをつくるもとになると思います。
>一番好きな食べ物の話をしたときに、「お母さんの作ったハンバーグ」と言った学生がいました。
わー、いいですね。
中学生というと反抗期の真っ只中でひねくれてるイメージありましたが
(私がそうだったわけではないのですが・・・たぶん)
こういう話を聞くとホッとしますね。
コラムを読んで、大久保さんが学生さんたちを見守る「やさしいお兄さん」みたいでいいなあと感じました。
学生さんたちは大久保さんのことを絶対忘れないと思いますよ。
第3バイオリンさんコメントありがとうございます!!
今年は中学生・高校生・大学生とインターンシップを行ないましたが、やはり若い世代に対して、IT教育を行なう大切さと可能性をひしひしと感じました。
僕も人に教えるという機会に恵まれているのは幸せなことだと思います。
自分の考えを具現化することができるIT業界ってほんと楽しいですよね。