LE社のエンジニアたちの風がふくまま気の向くまま本音コラム

なぜ国産Android製品は最新バージョンではないのか?

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 株式会社リーディング・エッジ社でAndroidの開発を行なっている山本昭弘です。私はAndroid1.5(cupcake)の頃から現在までAndroidの開発をおこなっており、その際に、日々感じている事を書きます。

■日本のAndroidは海外に比べてバージョンが古い

 日本のAndroidは海外に比べてバージョンが古いものが多いです。

 国内に流通・販売しているAndroid端末の中で、最新バージョンのOSを採用しているAndroid端末は残念ながら国産ではありません。これは、日本のエンジニアが怠けているからではなく、海外企業との仕事のやり方に大きな違いがあるからです。

 たくさんの要因がありますが、要因の1つは日本の「バグ0」と言う風習です。私は自社で勤務したことはほぼなく、20社近く国内企業に常駐していますが、どこに入っても品質は「バグ0」です。初めにお話ししますが、バグ0というのはとてもすばらしいことだと思います。それに関して否定的な意見ではありません。今日の日本の技術が賛美されているのは、この風習なおかげだと思います。

 ですが、今までの携帯電話でもバグ0はかなりの工数がかかります。それがAndroidのようなスマートフォンだとなお更です。おかげさまで、Androidプロジェクトはスケジュールが遅れることが当たり前になってきています。

■日本の文化

 バグは、致命的なものやUIが著しく悪くなるものは早急に対応する必要があります。しかし、かなりどうでもいいものが多いのも事実です。皆さんはソフトウェアがバージョンアップして、「これは何が変わったのだろうか?」と思うことはないですか?

 それは、かなりどうでもいい内容のバグが改修されたときです。そんなバグの改修でも、かなりの工数(予算)がかかっています。「こんなのユーザーは気がつかないよ!」と愚痴りながらバグ改修をすることも多々あります。海外の企業は、バグの優先度が低いものは後日のアップデートか改修しないと言う対応をとり、出荷します。

■企業のグローバル化

 今、日本の企業はグローバル化を求められています。理由は、産業構造が変化しているからです。グローバル化とは「海外の市場に打って出ること」とか、「海外に投資すること」と言うだけではなく、海外企業が「なぜここまで早く出荷できるか」を研究し、国内企業は過去の成功体験にしばられず、新しいことに挑戦することだと、私は考えます。

 

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