LE社のエンジニアたちの風がふくまま気の向くまま本音コラム

消えゆく? Unix/Linux の文字

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 世間様に恥じないLinuxサーバのスペシャリストを目指している、(株)リーディング・エッジ社の池田と申します。「Linux」「サーバ」という2つのキーワードを念頭に、業界に関わり続けてきました。今後、Linuxや業務について思うところを、つれづれなるままに書かせていただきます。

■ 表舞台から消えていく、Unix/Linux の文字

 最近、周囲から「Unix/Linux」の文字が消えていく場面を目にします。国内のLinux展示会イベントとして有名だった「Linux World Expo」 が「OpenSource World」(※1)に名称変更しました。一方、Unix誕生40周年を向かえると共に四半世紀続いた「UNIX magazine」が最終号を迎えました。Linux雑誌については、2005年頃から何誌か姿を消していきました。この頃からLinuxの名を冠して誌名を変えることなく残っているのは「日経Linux」1誌のみだと思います。

 こういう現象を目にするたびに、Unix/Linuxで業界に関わってきた自分としては、時代に取り残されたような不安を感じることがあります。

■ 「Unix/Linux」 から「オープンソース」へ

 かつて「UNIX USER」 (※2)が「オープンソースマガジン」と誌名を変更したように、展示会「Linux World Expo」は「OpenSource World」に変わりました。「Linux」という名称は厳密にはLinuxカーネルのみを指し、その上で動作する多数のオープンソースソフトウェアの集合体を含めたものが「Linux OS」なので、その意味では「オープンソース」という命名はマッチしていると思います。

 オープンソース界のフラグシップは依然としてLinuxだと思っており、かつ思い出もあるイベントだったので、名前は変わってほしくありませんでした。しかし、昨年「Linux World Expo/Tokyo 2008」に参加した感触では、そうも言ってられない状況を実感しました。

Linux World Expo/Tokyo 2000 との比較

 2000年に開催された「Linux World Expo/Tokyo 2000」(※3)では、国内外を合わせ出展社85社と大規模でしたが、「Linux World Expo/Tokyo 2008」は国内27社のみでした。残念ながら2008年は2000年に比べるとその規模はかなり小さくなってしまいました。 この縮小は前向きにとらえると、サーバや組込み用途でLinuxが普及し、要素技術の1つとして十分に「枯れてきた」ことの現れだと思います。しかし、企業が枯れた技術に特別な興味を示すことはそうありませんので、縮小は必然でした。

 現在ではLinuxに限らずあらゆるオープンソースを活用してチャンスを探ろうという動きが活発になり、それゆえの「OpenSource World」ということなのでしょう。

 「Linux World Expo/Tokyo 2000」には、展示企業も参加者もLinuxに大きな期待と関心を寄せる人々が多数集まり、活気に満ちていました。わたしとしても念願のLinuxで仕事ができると確信し始めた、人生屈指のワクワクした時期だと記憶しています(結局その後数年の業務はUnixだったのですが)。

■ 夢はかなったのか?

 サーバや組込み用途で普及するほかにも、デスクトップの完成度も高まり、家電にまで搭載されて、わたしたちの生活に根付きはじめています。このような現象は2000年当時にLinuxに関わった人々が夢のように語っていたことの1つだったと思いますので、その意味では夢の一部はかなったのではないでしょうか。

 表舞台でLinuxそのものがクローズアップされる機会は減りましたが、今後もカーネルは進化し続け、活用例(※4)が増えることは確実であり期待は尽きません。

 Linux がここまで普及したことは、これらの開発や発展に関わってきた多くの方々の努力と貢献のおかげであり、あらためて感謝したいと思います。

【注釈】

※1OpenSource World 2009」は200971日(水)、2日(木)東京国際フォーラムにて開催。「Linux World Expo/Tokyo」が前身。

※2UNIX USER(ソフトバンク クリエイティブ)200511月「オープンソースマガジン」に誌名を変更後、200612月休刊。

※3 「Linux World Expo/Tokyo 2000」は2000年51112日、東京ビックサイトにて開催。サブタイトルは「ビジネス市場へ拡大するLinux潮流」。

※4 最近の主な活用例
  Amazon EC2、Google Chrome OS、 Android、chumby、SheevaPlug、VAIO type p のインスタントモード など。

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