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第3回:データの民主化と責任のある人工知能(AI)との関係性~カナダ~

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カナダは、近年、データの民主化の文脈で、特に公共部門におけるデジタル技術の導入と自動化された意思決定プロセスの進展に重点を置いている。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、デジタル化の進展が一時的に停滞したものの、現在はその回復とさらなる推進が進んでいる。この取り組みの肝は、公共部門における自動化された意思決定システムの導入だ。これにより、効率的で透明性の高い行政サービスの提供が可能になっている。

例えば、連邦レベルの行政機関では、アルゴリズム影響評価(Algorithmic Impact Assessment 以下;AIA)を実施し、法令順守(コンプライアンス)を確保しながら自動化された意思決定プロセスを導入している。また、あわせてAIAのツールも、AIサプライヤーに対して、2019年にカナダ政府によってリリースされ、"責任あるAI"の原則を実践に移す最初の試みの一つとして注目されている。このツールはオープンソースのオンラインアンケートプラットフォームとして提供され、AIガバナンスに関する議論に介入する戦略的な機会と見なされている。また、AIAツールの使用を探求するための「AIAハッカソン」ワークショップシリーズなど、批判的なガイドや共同プロジェクトが含まれており、カナダ政府によるツールの使用と、より広範なAIガバナンスの文脈におけるその潜在的な役割を探るために設計、展開されている。

また、例えば、移民、難民、市民権カナダ(IRCC)による「カナダ国内の労働許可申請の自動トリアージと肯定的な資格決定」プロジェクトでは、高等教育機関卒業後労働許可(Post Graduate Work PermitPGWP)および他のカナダ国内の労働許可申請の資格評価を効率化するため、意思決定者が申請をより効率的な処理ができるようAIAを使用している。

このプロジェクトは、自動化された意思決定システムの影響を評価し、効率的なプロセスの実現を目指している。移民の多いカナダらしい事例と言えよう。AIAは、AIの民主的なガバナンスに向けた重要なステップであり、AIの設計と使用における倫理的かつ責任あるアプローチを実現するための基礎を提供している。社会的データの扱い方の、一つの新しい視点だ。

■参照:

ICR InfoComニューズレター

カナダ、欧米におけるAI規制法案の動向からみるAIガバナンス | InfoComニューズレター (icr.co.jp)

Government of Canada - Algorithmic Impact Assessment tool-

Algorithmic Impact Assessment Tool - Canada.ca

Concordia University - Spectrum Research Tepository

Hacking AI Governance: Exploring the Democratic Potential of Canada's Algorithmic Impact Assessment - Spectrum: Concordia University Research Repository

Government of Canada -Algorithmic Impact Assessment - Automated Triage and Positive Eligibility Determinations of In-Canada Work Permit Applications

Algorithmic Impact Assessment - Automated Triage and Positive Eligibility Determinations of In-Canada Work Permit Applications - Open Government Portal

トロント留学センター

ポスグラ(PGWP-Post Graduate Work Permit)について | トロント留学センター (toronto-ryugaku.com)

富士通総研

カナダと英国の取り組みから学ぶ日本の行政機関向けAI規制フレームワークの在り方 (下) : 富士通総研 (fujitsu.com)

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