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健康について第48 回 「現役感」 (2)

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 お世話になります。龍澤と申します。

 第45回にて、以下のように書きました。

私はとある時期から「健康を取り戻したい」と強く考えるようになったのですが、その理由は「現役に戻りたいから」だったのだなあ、ということをやっと理解しました。

健康を取り戻したからといって、「バリバリな仕事」にふたたびアサインされるかどうかは分からないけど、まずは健康を取り戻さないことにははじまらない。身体的に、若い人たちと同じか、それに近いスタートラインに立たないと、若い人たちと競争させてもらうことすら、できない。

 つまりこのまま、我々の前の世代を踏襲して、同じパターンで老いていってはダメなのだと。我々の世代がパイオニアになって、「現役感」を取り戻し、この国のエンジニアリングの層を厚くしていかなければならない。

 オーバーにいえば、そういう使命感を持たなければならないと思っています。そして、そのために微力ながら私個人がやれることは何か? いかにして周りを共振させていけるか? をここ数年少しずつ考えてきました。

 自分が動かず周りを動かすのではなく、自分が動いて周りを共振させるのです。

 良くも悪くも、私は企業に属さないIT土方として現場にへばりついてずっとやってきたので、ずっと「現役感」を持たざるをえなかった、というのもありますが……やっとその経験が「武器」となるときがきたかもしれない、と淡い妄想をしています。

 ところで……私個人的なことを申し上げますと、ここ数年の肉体改造、生活習慣改造により、おかげさまで「健康」を取り戻すことができたと思っています! (自信あり)

 肉体年齢的にはやっと、実年齢とオーバーラップしてきた感じです。

※そして余談になりますが、仕事の合間にかなりの量の本を読みました。

 さて、これからどうしましょうか? といったところです。「どうしましょうか? 」といっても、不安でオロオロしているわけではありません。むしろ逆で、ワクワクしています。

 この勢いでますます良き仕事に恵まれたら幸甚です(今いただいている仕事にももちろん満足していますが、「もっと、もっと! 」という向上心は常に持ち続けていたいものですね)。

 例えばですが何かことを起こすとしたら、我々世代が中心となって会社でも立ち上げるとか……今のSI業界に風穴を開けて、ブレイクスルーになってゆかなければならない。たとえばトレンドを追わない枯れたSI、枯れているが故に障害を起こさない、ダウンタイムがないというビジネスモデル。ディスクの重厚長大(「ペタ」なんてあたりまえ)からの脱却。「軽さ」の追求。「クラウド」という名の(単なる)ブラックボックスから大切なデータをサルベージする。日本人を「画面漬け」から救出し、幸せにするという逆転の発想。

 などなど、ニッチなところに食い込んでいく。おそらく私が知らないだけで、そういう会社は全国にいくらでもあるのだと思います。

 そして、夢は大きく! 最終的には世界を変えてゆくつもりで。システムのCharacterの標準が英語なのはまぁ今さら仕方がないですが、この英語圏が常にリードしてきた潮流を、なんとか変えられないものだろうか、という思いは常にあります。

 ここで無理やり、前回までしつこく書いていた「マッチョとプロポーション抜群」の話とつなげてゆきますが…もう我々はこの業界における「マッチョ」ではないのです。

 ま、いってみればシルバー人材といったところですかね! (最初は、そういうところから、徐々に、メインストリームへ)

 ビジネス・シーン全体でみれば、まずます定年後のヒマしている人たちの叡智を求める風潮が出てきたように思います。年輩の方々が求められているフィールドは、たとえばビル掃除で活躍されているような典型的な「シルバー」ではなくなってきている。知的業務のフィールドにぽっかりと「ナレッジ」がなくなっているという事実があって、その原因が、年寄りが根こそぎ「退職」という形でもっていってしまっているということに、ようやくこの国は気付き、そして、あせっている感じがしますね。たとえば、定年の年齢延長という動きに如実にあらわれています。

 そして、アドバイザーや嘱託といったサブのかたちではなく、本当の「現場復帰」が求められています。

 なぜ昔はこのようなことが起こらなかったか? といえばそれは、昔は今より仕事が簡単だったのです。「簡単」が語弊があるのだとすれば、ビジネス・シーンそのものが今とは比較にならないぐらいシンプルであったと。昔は今よりシンプルな仕事を今よりも大人数をかけてやることができていたのです。だから60歳ぐらいで定年しても問題はなかったのです。

 この業界に引きつけて考えると、我々世代が「管理職へ昇進」等の理由(現場から離れる)で根こそぎナレッジ(あるいは「暗黙知」)を現場からはぎとろうとしている。

 そこには、悪意も何もないのです。それはただの「慣例」にすぎません。

 キーマンが抜けると現場の生産性がいったん下がり、それにより発生するいくつかの修羅場の中で逞しく若手が成長し(健康を犠牲にして! )、そしてまた加齢等の理由により抜けて生産性が落ち…というサイクルをこの業界は当たり前のように繰り返してきました。そして、いまだに懲りていません。

 なぜ懲りないかというと、優秀な若手が「育ってしまう」からです。その事実に、現場が甘えているのです。そして実は、若手が「育ってしまう」過程でかなり消耗してしまっているのです。だから現場から早いうちに退場せざるを得なくなる。その事実を見てみぬふりをしている人たちがいます。

 多くの人が知らんぷりしていますが、これは、大問題です。

 でも……現場に引き継げといわれても、引き継げないもの(暗黙知)があるのです。というかそういうのばっかりなんですよね、この業界は。

 メンバーが抜けることにより生産性の上下動を繰り返しているということは、結局は「現場力」は現状維持より上にはいきません。それを不可避と考えずに、ナレッジや暗黙知といった類を抱えている人材をいつまでも現場に残しておけばよいのです。ただし、以前も書きましたが、現場に残ることを自他ともに望んでいる場合のみです。誰も望んでいない、人望のない年寄りが現場に残ると、あれやこれや口出しばかりしていてメンバーを疲弊させます。

 この業界では、スキルのトレンドはどんどん移ろっていき、もはやキャッチアップする気も失せつつありますが、現場というのは実はトレンドにはそれほど左右されません。つまり、現場のナレッジは移ろうのではなく蓄積されるものなので、容易に陳腐化はしないのです。上っ面のスキルだけ「流行」に乗って「集めた」だけのSEが、次のトレンドがきたときにまったく太刀打ちできなくて路頭に迷う、ということが、この業界では往々にしてありますが、「現場力」を持っている人はそうはならない。

 今運用保守やSIの現場に不足しているのは、「あの人に聞けば現場のことをなんでも知っている」という「主」(ヌシ)ではないかと思います。トレンドを追っかける若手は足りていますし、そういう人たちは実は「駒」であって代替可能なのですよね。そして、「駒」が育って「主」になる前にどこかにいってしまう。

 「主」の存在を上層部が嫌がるというのも、あるでしょうね。「目の上のたんこぶ」になることもあるでしょうし。でもそんなことはどうでもよくて、全体最適というか、組織全体として生産性を最大にするためにどう人を配置するか、を、上層部は考えていかなければなりません。好き嫌いではないのです(そういう「懐の深い」上層部が少なくなっているのはまた別の、そしてさらに深刻な問題なのですが…今回は触れません)。

 それともう1つ、現場に「主」として残る現場リーダが、尊敬される土壌が必要ですね(そして、金銭的にも見合った報酬を! )。

 ところで……実をいうとそれほど心配はしていないのです。若い人たちも能力はありますので現状維持はできるでしょう。国際競争力も、今まで以上は期待できないにせよ、ある程度は保持し続けるでしょう。さらに若い優秀な世代も続々登場するでしょう。でもそれはただの「慣性」であって、いずれ先細りになるような気はしてします。

 私が考えているのはこの業界のパワーの「現状維持」ではないので…前にも書きましたが「技術立国」として世界と伍するために業界のパワーをUPするには具体的にどうするか、ということです。という意味で、若い世代と我々および我々より上の世代ががっちりスクラムを組む必要があるのです。

 本日も読んでいただき、ありがとうございました。

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