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健康について第47回 組織と健康

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 お世話になります。龍澤と申します。

 第43回はじめ、何度か書かせていただいているとおり、システムエンジニアが健康を取り戻すことにより、この業界の生産性を底上げすることが可能である、ただ健康になりさえすればよいのだ、という思想をベースにこの連載を続けさせていただいております。

 先日、致知(私が定期購読している雑誌です)の中に参考になる記述がありましたので、引用させていただきたいと思います(私が気になったところだけピックアップしております)。

「自己改革の6つのキーワード」
大谷將夫(タカラ物流システム社長)
※『致知』2012年4月号

実際320人の社員がいても、戦力的には7掛けくらいで見ていましたよ。つまり224人。でもね、もし彼らがやる気になって普通の人の1.2倍働くようになったら384人分の戦力になるでしょ。そうしたら同じ人員のはずが、モチベーションが上がっただけで新規に160人採用したのと同じことになる。だからいかに社員を元気にさせることが重要かってことですね。1人を単に1人と勘定しているようでは、本当の会社の実力というものは見えてきません。

 この業界において現有戦力を健康的にする方向性に集中投資すれば、中途採用に注力しなくてもいいのです。新しい戦力は、リスクが大きい。能力があるからといって現行の組織にシナジー効果を与えるかどうかは、入ってみなければ分からない。戦力は足し算ではないのです。

 性格が悪くてスキルとプライドの高い人間を採用したばかりに、組織がぐだぐだになってしまうことは往々にしてあります(多くの方が、苦い体験をされていることと思います)。

 具体的な方向性としては、まず、この業界のすべてのエンジニアを定時で帰す(あるいは、夜間勤務の方もいると思うので、160h/Monthぐらいの稼働に抑える)ことが実現できたら、どうなると思いますか? おそらくほとんどの方にagreeいただけると思いますが、エンジニアを強制的にそのぐらいの稼働時間に抑えることができるのであればこの業界は良い方向に循環が始まると思います。

 今までだらだらとやっていた残業はすべてムダだったと皆が思い知ることでしょう。

 おおよそ、3つの効果が期待できるのですね。ムダな仕事をシェイプするのと、皆がやっきになって仕事することにより時間あたりの生産性が上がるのと、それと、皆さんの頭がリフレッシュされてますます仕事の効率が上がるということ。

 以前より書いてきましたが、早く上がれるのであれば絶対に仕事を引きずらないことです。そして眠ること。

 また、我々の真骨頂である障害対応(「トラブル・シューティング」)において、日頃ムダな仕事をシェイプしておけば、対応の「瞬発力」が期待できます。つまり、ダウン時間が少なくなることうけあいです。

 管理職が、なにがなんでも強制的にメンバーを帰す(イコール、健康にする)という覚悟、気構えが必要なのです。「帰ってもいいよ、でも自分の仕事は終わらせろよ!」とメンバーを常に軽く脅している管理職は、最低の部類だと思いますね(あえてキツい言い方をしています)。これは実は一種のパワハラなのです。

 上層部も、それによる定量的評価を眼前に見せられれば、変わってくると思うのですが。

 非常に大事なことは、管理職はメンバーに、リモートで仕事をさせないこと。家でメールチェックさせないこと。「完全にリフレッシュすることを命令する」のです。

 これは余談ですが、休むこと、帰ることを強制して強制して、それでもこっそり隠れてメンバーが仕事をしているのが垣間見えたならば、それこそがその本人にとってやりたい仕事なのでしょうし、「本当の仕事」なのだと思います。メンバーがプロフェッショナルに近づいている証拠です。

 ムダな仕事についてですが、今までけっこう長い期間この業界をみてきて思うのは、「内部プレゼン工数」「内部稟議作成工数」「内部調整工数」がかかりすぎじゃないかな、と思います。隣の部署に説明する資料(パワポ)に丸1日とかかけてみたり……。

 トヨタ方式(?たぶん)で、未来の議事メモを書いておけばいいのですよ。パワポなんていらないのです。未来の議事メモ=アジェンダなのですから。未来の議事メモをスクリーンに映して議事進行していけばよいのです。そして、会議が終わったら即、関係者に送付してしまいましょう。会議後にだらだらと、思い出しながら議事録をつくるのはホント大変ですし、多くの方がそういう仕事を先送りするので事実がどんどん忘れられていきます。

 それに、ワードで書く必要など皆無。テキストファイルでよいのです。

 それともう1つ、これは一見、逆行するように思えるかもしれませんが、チーム内のブレストの時間を異常と思えるぐらい設定したほうがよいのです。1日中チームでブレストしていればいいのです。ただし、1~2人、能力のあるワーカーをアサインしておきます。ブレストの結果をかたちにする人を決めておく。理想論ばかり語って「さて、誰がやるの?」で皆がフリーズする(逃げ腰になる)ような不毛な組織は、ダメです。「やる人」(オールラウンドプレーヤー)をトップダウンで決めておくこと。

 また、「やる人」からの他メンバーへの作業指示(ヘルプ依頼)はマネージャの威光の元、最優先で納期までに作業しなければなりません。(というルールを決めておくということ また、「やる人」は、作業レベルまで分解して他メンバーに指示をする必要がある)

 Mtgスペースなんていらないんです。会議室が空いてなくたっていいんです。ひとつのシマで、PCとにらめっこするのはやめて、リーダーが率先してディスカッションを促すんです。「どうなってる?」「どうする?」「どうすればいい?」と。(※ただし、リーダーは聞き役に徹すること!)

 PCに向かってるから不健康になるのですよ。常にディスカッションしていればストレス発散になりますし、夜の部(居酒屋)もほとんど不要になりますし、ネガティブな他人の悪口がメッセンジャーなどで組織内で飛び交うこともないでしょう。仕事するふりして為替をチェックする方も減るでしょう。管理職の方は、そんなことをするヒマを与えないことです。しゃべらせること。常に「自分はこう思います。なぜなら~」とミニ・プレゼンをさせてあげること。

 と、いろいろ書いてきましたが、ここまで読んで「分かるんだけど……ウチの組織じゃ無理」とか「言いたいこと好き放題書きやがって 理想論ばかりいいやがって」とか、ネガティブな思考に支配された方は、不健康です

 明日から何か、少しでもやってみよう! と思っていただけたら私にとって望外の喜びですし、そういう方は健康です

 つまり、私の文章は、とある人が健康か不健康かのリトマス試験紙になりうるということです。

 本日も読んでいただきありがとうございました。

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