言語の歴史は人類の歴史。そして人類はコンピュータを言語で動かすようになった。

とあるデグレ防止会議の話を聞いて「無理だろ」と思った話

»

ITの業務をする上で、成果物の管理というのは大事です。では、実際の現場では成果物をどのように管理しているでしょうか。こういう話が会議で持ち上がると、誰が更新するか、ダブルチェックが必要だとか、原始的な手法ばかり出てきます。きちんと技術をベースに回っているような会社では、Gitなどのバージョン管理システムが活用されています。ITの現場といえど、そういうものにお金をかけたくないという意図なのか、学習するのが億劫なのか、目検や注意力に頼る人が多いように思います。成果物を管理する「手段」が検討されないため、いつまでも同じ失敗を繰り返すことになります。

ITの現場でよく「現行踏襲」という言葉を聞くと思います。前のプロジェクトの成果物をそのまま使用して、手間を省こうとする手法です。その現行踏襲というのは、プロジェクトの成果物だけではなく、管理方法にもよく適用されています。IT業界にきてぼちぼち長くなりますが、成果物の管理を10年前と同じやり方法を踏襲している現場がほとんどです。むしろ、現行の手法が完成されているので、変えないことが美徳とさえ思われているようです。IT系の仕事をしているなら、ツールでチェックするなりソリューションを導入するなりして対処してはどうかと思います。ダブルチェックやレビューにかかる工数も馬鹿になりません。

そういう現状に憤りを感じたので、最近、Excelファイルをコピーして自動編集してデータを最適化するツールを自分で作りました。現場で導入してみたのですが、効果てきめんでした。毎日、二時間かけて行っている資料のチェックが五分で済むようになりました。浮いた時間で、資料を確認しているふりをして自動化の勉強をしています。ツールの内容は、クソでかいExcelの管理表をCSVに変換して、マトリクス構造になっている部分をリスト形式に変換するだけのものです。これを一日一回実行して履歴を記録します。その履歴を元に、差分で更新データを確認します。これだけで、息を切らせて二時間かけていた仕事が、オフィスグリコをむさぼりながら五分でやる仕事にまで省力化できました。

ちなみにこのツールは現場の人に存在は伝えています。しかし、誰も興味を示しません。理由は簡単です。労力の計算ができないからです。私のツールは、現行のデータの構造をいじっている以外に何もしていません。現場の人には、「元の管理表にデータがあるから、こんなものを使っても何も変わらない!」と指摘されました。実際、スクリプトでデータの構造を変えて、さらにそのデータにフィルタをかけて確認をしています。現場の人からみれば、二つ手間が増えている「効率の悪い作業」です。「元からデータがあるんだから、それを見ればすむだろ!」と一蹴されただけです。でも、作業時間が二時間が五分に短縮できています。それに関しては、誰もノータッチです。

同じデータでも、まとめ方一つで作業効率や視認性は大きく変わります。特に、差分を的確に把握することは重要です。差分を的確に把握するための仕組みを持たないプロジェクトでは、デグレに対して打てる手段はありません。よく、「WinMerge(差分抽出するツール)を使って差分を見れば簡単じゃないか」という意見も聞きますが、差分は目視できても無意味です。比べる対象も複数バージョンで、一対一とも限りません。そうなると、Excelでフィルタやソートをかけられる型式で出力しなければ意味を成しません。人の労力ばかりに頼らず、Iツールでも作るなりソリューションを導入するなり、ITの力をもっと利用すべきかと思いました。

Comment(3)

コメント

おたみ

結局のところツールの有用性は使う側の知識/能力によって変わるのでしょう。

とりあえず、興味を示さない人は相手にしない方が得策です。

とある歌の歌詞にもあります。


「燃える奴に水をかけるな、燃えない奴に時間をかけるな」


こんなスタンスでいいんじゃないでしょうか?

匿名

みんなそこまで「頭がよくない」のですよ。
めんどくさがってるように見えるけど理解ができないのです。
IT現場によくいるIT工員の類ばかりなのでしょうね。

社内えすいー

「数学は面白い。ほんのちょっとのことを理解すればこんなにたくさんのことができるようになるから。」昔通ってた塾の先生が言っていました。
「原理を理解しろ。そして何をしたいかを明確にしろ。そうすればやるべきことは自ずと見えてくる。」上司によく言われました。


物事を深く理解すれば色んな選択肢が見えてくると思うのですが、やろうとする人は本当に少ないですよね。
最近は理解というものが酷く軽く扱われているように思います。

コメントを投稿する