ヒットコラボ代表。地頭力にて、IFRSを業務視点より考察する。

第3回 仕訳やセグメントの役割とマネジメント(1)

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 前回、業務改革とベクトルが合うようにIFRSを仕向けなければならない旨を説明した。

 今回から2回にわたって、各業務システムにIFRSの思想を取り込むスタンス(フレームワーク)を提言する。業務システムと財務連携システムを構築するにあたって考慮すべき点がうまく伝われば、本コラムの目的は達したと言えるだろう。

 IFRSは、企業の「総合的な実力」を計測する尺度を国際標準化する。これは、「入金」する流れ(どのような商品や労力によって対価を得たのか)と「出金」する流れ(何のにどのようにして支払う必要があるのか)について、会計上の仕訳データに内在している曖昧さを排除するものだ。

 在庫リスクがないビジネスモデルを取る企業は、商品を仕入れてから即、販売する。売り上げは販売するための「手数料=付加価値」であり、コストとの差額が利益となる。

 材料を仕入・加工して販売する製造業と、商品を左から右へ動かす流通業、それぞれ異なる業種の企業があったとする。例えば、両社の売り上げが同じだった場合、IFRS導入後は著しく財務諸表が異なって見える。売り上げは、より「企業が持つ付加価値」に近づくと思う。

 商品を出荷した時、製造業の売上計上は「出荷基準」であるが、実際は得意先が検収しないとその対価をもらえない。従ってIFRS導入後は「検収基準」に変化する。すると、取引先の間で基準が異なるといったことがなくなり、より透明性と会社間の整合性が増す。不動産や証券などは時価で評価され、評価損益や資産の減損処置がされる。

 一言で言うと、セグメント単位(ex:自動車事業、電機事業……)の売り上げと費用、利益のフローが透明化される。上記をまとめると、以下の3つとなる。

  • 各業務プロセスから発生する「ものの動き」「人の動き」「金の動き」を可視化する
  • 情報を捉える計上タイミングや曖昧さをなくし、各企業の共通化を図る
  • 本業以外の事業も包括し、実態に即した事業単位の資産・企業価値・売り上げ・利益を開示する

 投資家にとっては、韓国のサムスンとパナソニックの財務諸表比較が、容易かつ公平にできる、と考えれば分かりやすい。

 また、他のメリットとして、グローバル展開している企業内の標準化が図られ、情報基盤の確立ができ、経営判断上の誤謬(ごびゅう)回避ができる。 筆者はこのメリットを訴求したい。

 抽象的で、かつ財務担当者向きの前置きはここまでとし、次回はタイトルにあるとおり、各業務システムにおける「仕訳とセグメント」に触れてみたい。

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