ヒットコラボ代表。地頭力にて、IFRSを業務視点より考察する。

第4回 仕訳やセグメントの役割とマネジメント(2)

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 「仕訳」というと、簿記を思い浮かべられるかと思う。仕訳とは、発生した取引を貸借の勘定科目に分類することである。

 話はそれるが、私が学生だった時、一番苦手かつ興味のない授業が簿記だった。「借方」「貸方」という言葉自体から「ハテ何者? どんなお方が出てくるのか?」という感じだった。科目という、お金を持ったお方が右に出てきたりて左に出てきたりする。

 財務管理のパッケージに出合ってから、その意味を解した。科目という金勘定の在庫品目に対して入庫と出庫があり、現金ならば左に出現したら入庫、右で出庫と覚えた。

 仕訳データは、事務・会計担当者が振替伝票を記入する。プロセスは大きく分けて2つある。

  • 財務管理システム上の振替伝票や入出金入力画面で、仕訳データを作成するプロセス
  • 各業務システム(例えば給与、固定資産、生産管理などの業務)から、トランザクションデータ、連携システム(自動仕訳処理)を通じて、仕訳データを作成するプロセス

 ※振替伝票:金銭の出入や取引内容などを記入(仕訳)するための伝票の一種。

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 自動仕訳データが、IFRSと管理会計(以下、マネジメントとする)の両方を満足させる必要十分条件について、仮説レベルではあるが検討したい。あくまで仮説なので、諸君のご意見をうかがいたいところだ。ここでは、IFRSコンサルタントの立場でなく、業務改革をテーマとしたITコンサルタントとしての立場からアプローチしたい。なお、固定資産業務はIFRS対応の重要課題ではあるが、焦点がぼけるためここでは論じない。

■マネジメント指標は、仕訳内に設定される事業セグメントで決まる

 セグメントは、収益を得る単位とそのために費用が発生する単位を指す。ここで言う「単位」とは、次の事項を考慮している。

  1. セグメントの種類として、モノ、地域、取引先と取引先の性格(得意先、サプライヤー、エンジニアリングパートナーなどの分類)が分かり、かつ集計単位の階層を定義する必要がある
  2. IFRS上で表現される単位は、売上合計の10%以上という定義があるが、これは集計結果であるため発生時には分からない。できる限りモノをイメージできる単位とし、「その他」などの表現は避ける
  3. 日々のマネジメントを行うために必要な最小の集計単位とし、IFRS上また経営判断のため、上位の集計単位へ集計しなければならない。よって、集計単位の階層を定義する必要がある
  4. 経営層が経営判断できる情報源として定期的に報告、過去との推移ならびに未来予測に使用されることを考慮する

 グローバル企業がローカル色の強い製品を販売している場合、考え方のバラツキが容易に想像できる。そのため、管理目的別に見るなど、集計方法が柔軟に対応できる仕掛けが必要だ。

■原材料費や為替変動、労務費増の影響度を計るセンサー能力が、経営力の基盤

 現在、世界中で余ったマネーの流れや需要動向により、為替変動や原材料費の高騰を招いている。経営は、このような変動予測から企業内の影響度を予測し、手早く対策を講ずる必要がある。また、これは利益変動に対する結果分析や仮説検証においても同様である。

 以上の「センサー能力」を高める基盤作りも、IFRSの必要条件とされる。より具体化するためには、事業モデルのバリューチェーンを精査し、どのチェーン(プロセス)のリスクが高いか検討する。経営のPDCAサイクルのシナリオを作る際の巧拙が、経営力の差となる。
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 次回は、上記の実現イメージを探ってみたい。

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