ヒットコラボ代表。地頭力にて、IFRSを業務視点より考察する。

第10回 情報の使い方革新――「共通コードを一元管理する」

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 日々の業務また報告書作成また現場実態等の分析において、ITに蓄積したデータ活用を図ることが一層の情報化戦略として重要なファクターである。当たり前に叫ばれているが、十分に機能していないのが実態だ。

 販売情報の分析であれば、販売システムからのデータをBIツールへ連携すれば、事は足りるかもしれない。ただ、錯綜した多次元の分析を行う場合、システム間を跨ってデータ収集を行う必要がある。

 ここで壁となるのが、コードである。システムにより、同じモノをさしているにも拘わらず、コードが異なっているなど、システムが多い会社ほど日常に発生している。コードが異なっていては、コード変換など非常に煩わしいプロセスを必要とし、現実的ではない。

 すべてのコード体系と保守プロセスをグループ全体で標準化し、一元管理することが求められている。

 IFRSにて話題になる有給や固定資産を例にすれば、社員コードや設備コードなどはあちらこちらで、頻繁に使用されると思うが、社員コードは給与システムで管理し、設備コードは固定資産システムで管理している。

 だが、生産管理などの基幹システムとかけ離れて、独自のコードにて管理しているのが実態ではないだろうか? 従って、一元管理ができていない。コードが統一されるメリットとして、設備に配置された社員との関係と勤怠との関係など、設備稼働管理と労務管理が同一データ上で「見える化」される。また、固定資産の稼働状況が見え、固定資産管理の精度も向上する。

 モノ、設備、人にかかわる基本的な情報を「共通情報」として管理していくのが理想の姿ではないか。極論を言えば、コードと名称のみ共通情報内に管理し、業務として必要とする詳細情報は固有業務システムにて管理すればいい。従って、業務システム間を跨った分析用ビューを作成する事が容易になる。 そうすれば、「現場分析・現場改善手法とリンクした情報管理」が実現するのではないだろうか。

 では、固定資産の仕組みを検討する中で、生産管理システム内(BOM)で定義されている製造設備と固定資産管理マスタをマッチングしてみてはどうだろうか? 潜在化している運用課題が発見されるかもしれない。 

 乱暴な言い方かもしれないが、生産管理システムに於いて、設備名称等の表示を、固定資産マスタを参照する変更を行ってみる手もある。 ここで、いつの間にか廃却された設備や遊休資産が発見されるかもしれない。また、品目のコード体系が拠点工場毎またグループ会社間で、異なって定義されていないか、問い直すことから始めてもよいのではないかと思う。

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 上図では、製造業のDNAというべき部品表をコア情報とする共通情報群と、それを取り巻く各業務プロセスが存在する。

 そして、業務プロセス間の連携情報層が存在する。各トランザクションを構成するすべてのコードは一元管理された共通情報で構成され、自由にビューを構成する事が可能となる。このコンセプトは、クラウド化を検討する中で、避けて通れない課題と思う。

■運用上の課題は、発生源で登録できるか?

 往々にして、システムを利用する部門と、システムの基本となるマスタ情報の発生源また変更する部門が異なっている場合がある。すると、利用部門が使用する時点でマスタ未登録また、変更処理がタイムリーにされていなく、出力される情報品質に問題が生ずることが起こりえる。

 例えば、製造BOMの場合、骨格となる構成・工順情報は生産技術部門で決定される。しかし、製造BOMを保守する部門は生産管理部門である場合に生まれる。結果、部材の所要量計算結果が異なっていても、生産管理部門は気づかない実態がある。

 よく言われるが、BOM精度が一因だ。解決する方法は、設計・生産技術部門がBOMを保守せざるを得ない仕掛けを作ること。それは、当該部門の主要業務である技術情報管理や原価企画を仕組み化し、設計BOMと製造BOMの連携をすれば、BOMは正確で整合性が取れた運用できる。

 なお、BOMはセグメント等を管理する主たるマスタである。項目レベルから保守する責任部門と利用部門そして、登録と検証プロセスを標準化しなければならない。

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