書籍「われわれは仮想世界を生きている」を読んでみた。脈々と繋がる意識の夢【第67回】
平岡麻奈です。10月に突入してもまだまだ暑い日が続いています。さて、私がこの文章をどこで作成しているのかと言いますと、何を隠そう、大阪・関西万博にて公式キャラクター【ミャクミャク】と写真を撮るため、2時間半待ちの列に並んでいる真っ最中に作成中です。並ぶ、待つ、という経験は避けて生きてきたものの、この列を並べる自分が存在するのであれば、家近くの定食屋の人気店に並ぶことなんぞ、今後容易くなるのかなと見込んでいます。
【待ち時間】と聞けば、なんだか気持ちが遠退きますが、日々流れている時間とは変わりなく、その先に目的がある時間を使えているのならば申し分ないかな?と考えます。また万博に限らず、皆どのようなことをして【待ち時間】を過ごしているのでしょうか。
私が憧れている待ち時間の過ごし方は、【ゲームをしながら待つ】ことです。小さい頃から苦手意識があり、今だに克服出来ていません。なにが苦手なの?と聞かれた際、いつも【敵と出会いたくないから】と答えています。一向にゲームが進まないわけです、キャラクターが進む道の中央付近で敵(物語が進めば味方になるかもしれませんが、出会いは敵!)が現れる、画面が切り替わることを経験してしまえば、画面スレスレの路肩あたりを歩きます。争いごとを避けたいのですが、キャラクターは成長しない、物語も進みません。これは小学生の思い出であり、そこから20年以上経過。こちら(現実)の物語は進み続けており、出会いに対する予知能力も皆無な為、免疫はついてきたかもしれません。そろそろ【現実以外の物語】も進めてみたい気持ちになりましたが、なかなか一歩を踏み出せていない状況です。
小学生の頃の思い出をもうひとつ。育成ゲームのようなものだったか、【ゲームの中でペットを飼う】という内容でした。一定期間ゲームを継続していましたが、数日触らない日々が続き、久しぶりにゲームを開始すると、ペットが【寂しい表情】をしていました。理由はログアウトから時間が経過していたに過ぎませんが、そこに別世界を感じたことを覚えています。
【ゲームをしながら待つ】ことは、ふたつの世界を並行させていると感じてなりません。とても魅力を感じつつ、ゲームの中のキャラクターにとっては見えているものが【現実】であるのだから、私達が【現実】と信じている世界も、ゲームなのでは?と立ち止まることがあります。エンジニアライフコラム「平岡麻奈のちょっと一息」の第67回は、遠くはない未来を知る一冊をご紹介します。
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自分たちが〈現実〉と呼んでいるのは、実際には超高度なビデオゲームであるーーこの考え方を、一般に〈シュミレーション仮説〉という。(P,21 パート0 概観)
本書は、ビデオゲームの進化や、情報科学とコンピューター計算の進化と共に、ほとんどの科学者によってSFだと思われていた【シミュレーション仮説】を説き、『VRとAIが現状の洗練度に達したことにより、すべて包含したシュミレーションを開発する可能性が見えてきた』と示しています。ビデオゲームとグラフィックスの高度化と急速な進歩こそ、【現実でありながら現実とは異なる世界に近づく】仮想世界への可能性を促します。また【シュミレーション仮説】は、説明不可解な数々の謎に始まり、東洋の神秘的な伝統や西洋の宗教などの概念を掘り下げる中、これまでの謎を解き明かす答えを導く可能性を説いています。
本物の現実と区別がつかない仮想世界を創るには、『マトリックス』の作中世界のように、プレイヤーがその世界を完全に本物だと感じるようにする方法を見つけなければならない。(P,110 第2章 パート1 マトリックスの作り方)
私達は夢を見る(眠りにつく)ことで、【現実と区別がつかない】実体験をしています。目が覚めて、なんだ夢だったのか、、と気づくことは多くあるけれども、これは夢だ!と感じながら夢を見ることはなかなか難しい。私自身、怖い夢を見ていたりすると『起きたい』と念じて起きたり、夢の中で夢を見ることもある(?!)のですが、基本起きると同時に全て忘れてしまいます。VRゴーグル装着、ゲームコントローラー操作等の動作なく【仮想世界へ没入する】ことが体験できる未来まで、生き長らえていたい気持ちです。
もし私たちのコンピューターテクノロジーによって、シュミレートされた人工知能(SAI)をアンドロイド型のボディに搭載できるようになったら、知性と意識に関する問いは、コンピューターサイエンスの概念、そして「生」の概念とともに、徐々にぼやけ始める。(P,378 第12章 パート4 諸説の統合)
私達は【選択を積み重ねながら、意識の中でつくりあげているのだと思い込む】人生を歩むけれども、物理的な現実世界は、情報とその処理によって構成されているに過ぎず、【私たちを取り巻く世界は、意識と何らかの形で結びつけられた一種の幻想】の中を進み行く。本書では、意識をダウンロードするデジタル不死(バーチャル不死)が存在する世界を予測することで、心ある生命とは何か?と問いかけます。
ようやく待ち列も終盤に差し掛かりました。これほどまでに人々を魅力する【ミャクミャク】の人気には意味があると推測します。ここからはあくまでも私の考察ですが、【ミャクミャク】は細胞と水で出来ている、その為結局は人間自身であり、皆自分を愛でているのではないかな?と。個人の優劣など比較せず、皆細胞と水から形成された個体として意識を持ち(ダウンロード)、【人生】と名付けられた時間を歩んでいる。私らしさが意識として生き続け、今後キャラクターの性格として紹介されていくのであれば、このキャラを使いたい!と思ってもらえるように生きていこう。さてさて、ではミャクミャクに会いに行ってきます!
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