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Publish or perish(発表しないなら去れ)=成果は「書く」

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■"Publish or perish"

 研究者の間では"publish or perish"という言葉があります。「論文を書け。さもなくば滅びよ」ですが、多少言い換えれば「発表しないなら去れ」というところでしょうか。成果に対するプレッシャーに関しては批判もあるところですが、ある程度の頻度で発表を求めることは、研究活動の推進に役立つと言えるでしょう。

 Wikipediaの記事によると、この言葉の初出は1932年で、すでに80年以上が経過しています。

■成果は「書く」

 何でも書きさえすれば成果になるという訳ではありません。しかし、アウトプットしなければ、成果とは言えません。口頭での発表も重要ですが、多くの人に伝えるには、昔も今も「書く」ことがより重要だと思います。

 英文に限らず、日本の学校教育では「書く」ことを教えたり指導したりすることが少ないように思います。もちろん学校によって差があると思いますが、筆者が文章の指導を受けたのは、大学時代に研究室に入ってからでした。このときは、パラグラフライティングを教わることはありませんが、当時指導を受けた教官(残念ながら50代の若さで亡くなりました)には詳細にチェックいただき、伝える内容を整理して構成を考える習慣が身についたように思います。

 パラグラフライティングを学んだのは就職してからで、現在も時折参照する「理科系の作文技術」でした。最初の上司が文章をきちんと見てくださる方で、日本語でも英語でも詳細なレビューを受けたので、大変勉強になりました。

■明快な日本語を書くための魔法の言葉

 最近は文章を添削する機会は滅多にありませんが、整然とした文章を書くのが苦手な方にアドバイスするのは「あとから英語に訳すつもりで日本語を書くとよい」ということです。

 日本語らしい文章を書いていると、たとえば主語の省略が多くなります。読者と共有できていることを毎度書いていると、「分かりきったことを書くのはくどい」と感じられ、日本語としてこなれた文章にならないことがあるからです。

 しかし、主語がないことに無感覚になると、省略していけない場合にも主語を省いていたりします。母語でない英語に訳すことを考えると、いろいろな角度からチェックするようになり、不用意に主語を省略してしまう事態が避けられます。

 もうひとつ例を挙げましょう。英訳を意識すると、つい使いがちな「考えられる」の意味をチェックできます。

 論文に書く場合は、「考えられる」とは「誰がどう見ても、そうである」という自発の意味であるべきです。「考えられる」には「考えることもできる」という可能の意味での解釈もあり得ますが、その意味では論文で使用にはあまり適切な表現ではありません。推測であれば、そう書くべきですし、それが正しいことの裏付けも必要です。

 これら2つの「考えられる」は英文では全く異なる表現になるので、英訳を意識すればチェックできる訳です。

 伝えるべきメッセージを母語である日本語で明快に考えることができれば、英文でも素直に書けるでしょう。

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