Kindle Keyboard 3G (その2)
■Kindle Keyboard 3G (その2)
前回のコラムから、しばらく時間が空いてしまいました。今回も、Kindle 3Gの話題を続けます。
ガジェットに対する評価は、下表のとおりです。
ガジェット | 読む | 書く | 聴く | 話す |
---|---|---|---|---|
Kindle 3G | ☆☆☆☆☆ | ☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ☆ |
ラジオ付きICレコーダー (ICR-RS110M) |
― | ― | ☆☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ |
電車辞書 (ワードタンクC50) |
☆☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ― | ― |
iPhone 3G | ☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆ |
■Kindle(E-Ink)のウリ
現在は、KindleラインナップにFireという液晶モニタの製品がありますが、Kindleと言えば永らくE-Ink(電子ペーパー)でした。
Kindle 3や、現在のPaper Whiteのような、E-Ink版Kindleの特長は、
- 直射日光のような明るいところでも読める
- 画面への映り込みがない
- いつ充電したかを忘れるほどバッテリーが持つ
ということです。
電車の中など、意外に日光が差し込むところがあるものです。Kindle 3はバックライトがないので暗いところで読むには本体だけでは難があるのですが、通常の使用ではほとんど問題になりません。それより、明るいところで読めるということのメリットが大きいのです。
また、通常の使用方法では1カ月くらいバッテリーが持つと言われており、使ってみた感じでは、実際にそのくらい持ちました。スマートフォンやタブレットのバッテリーが持つようになってきましたが、それとは桁が違うタフさなので、安心して長時間使い続けることができます。
勉強道具としては、これらの特長は心強い限りです。周囲の明るさやバッテリーの持ちなどを気にせず、勉強に専念できます。
■「自炊」で教材を用意する
Kindleで気に入っている機能の1つが、自分でコンテンツを用意する、いわゆる「自炊」が可能なこと。それも、とても簡単にできます。
WordやPDFをaccount@free.kindle.comに送ると、Wi-Fiで受信する分には無料で、Kindleで受信できます(逆に言うと、3Gで受信すると通信料が掛かります)。accountはデバイスe-mail addressの@の前の部分で、自動的に割り当てられます。My Kindleの「端末の管理」で変更できます。
KindleをPCとUSBケーブルで接続してPDFを直接Kindleに格納することもできますが、当然ながらページを基本にした表示(固定レイアウト)になります。Kindleの画面でPDFを見るのは、解像度、表示の大きさ、応答速度で、結構つらいものがあります。そこで、文字の拡大縮小、文字サイズに応じたページ割り付け(リフロー)が可能となるよう、一旦Wordに変換するのがお勧めです。Wordへの変換には、PDF to Word Converterが便利です。
■Text to Speech機能でオーバーラッピング
この自炊を利用し、私は通訳案内士の試験勉強を乗り越えました。通訳案内士試験で圧倒的な実績を誇るハロー通訳アカデミーのテキストをWordで打ち込み、上記の機能を利用してKindleに取り込みました。Text to Speech機能でオーバーラッピングを行い、定期的にICレコーダーで録音して、自分の発音をチェックしました。Text to Speechはスピードが3段階で指定できるので、発音が追いつかないうちはゆっくりにし、口が回るようになってきたら通常の速度で再生しました。
自分が話すのを聴くのは恥ずかしく、英語を聴くのはなおさらです。正直なところ、自分でやっておきながら、「もうやめてくれ」と言いたくなります。しかし、これをぐっとこらえて冷静に分析すれば、確実に効果があります。苦手な発音、つい早口で言ってしまうところ、アクセントの位置がおかしいところなど、改めるべき点が分かります。弱点が見えさえすれば、対策のしようがあります。
■MP3再生機能でオーバーラッピング
Kindle 3には、実験的(Experimental)な機能としてMP3再生があります。機能がプアで思うように再生をコントロールできないのですが、それでも使いでがあります。テキストを読み上げたMP3がある場合には、スクリプトを見ながらネイティブの発音に合わせてオーバーラッピングできるからです。
(余談)
Kindle Paper Whiteのブラウザには(体験版)という修飾が付いています。Kindleの言語設定を英語にすると分かるのですが、これはExperimental Browserの訳です。翻訳担当の方がexperimentとexperienceの区別が付いていないとも思えません。それに、「体験版」は機能制限されたお試し版を指すことがふつうで、機能制限のない製品版が別にあるように受け取られます。どうしてこういう訳になってしまったのか、私には謎です。
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なお、案外知られていないことですが、Kindleを始めとする電子書籍リーダー向けのコンテンツは、PC、Mac、モバイル機器(iOS、Android)のアプリで読むこともできます。安くなったとはいえわざわざ端末を買うのはちょっと、という方にはアプリがお奨めです。