新米武装派フリーランスプログラマ男子(0x1d歳)

孤独のエンジニアめしばな 第1めし「カレー」

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竹金「本日はお集まりいただき、まことにありがとうございます。わたくし、『&IT』編集部の竹金と申します。皆様、顔合わせされるのは今回が初めてかと思いますので、まずは簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか?」

Tさん「コラムニストの『T』です。俺はシステム開発会社で数年間の開発・運用・保守とひと通りやり、現在はWeb系開発会社で、まあ、プレイングマネージャの真似事のようなことをしてます」

Iさん「コラムニスト『I』です。私は大学卒業後、SIerで数年仕事をした後に、ベンチャー企業に転職しました。その後独立して、現在はフリーランスのプログラマとして働いております」

Jさん「コラムニストの『J』や。わては工専卒業後、通信系の会社に入社して、まあ、ローレイヤからハイレイヤまで、ネットワークの構築・保守・運用と、ひととおりやってますわ」

竹金「ありがとうございます。今回、さまざまな背景をお持ちの皆様をお呼び立てしたのは、実は皆様には、『ある共通点』があるからなのです」

Jさん「……共通点、やと?」

竹金「はい。それは「食べ物」です。“食べ物”について並々ならぬこだわりを持っているコラムニストのお三方に、「これぞ『エンジニアめし』」という食べ物は何か? というお題で、是非、お話をお聞かせ願いたいと思いまして」

Tさん「『エンジニアめし』……」

Iさん「なるほど。お二方のコラムは拝見させて頂いていますが、たしかに食べ物に関しては、なかなかのこだわりをお持ちのようだ」

Jさん「たしかにな……あんたらの書いたコラムの食べ物の描写で、今すぐ仕事を放り出して飯屋にいきとうなったこと、1回や2回やないわ」

Tさん「俺も同じです。しかもそれが『エンジニアめし』となれば、これは『エディタ戦争』、『言語戦争』に続く、第三の『宗教戦争』になる可能性も高い……&ITさんも、挑戦的な企画を用意されたものです」

竹金「いえいえ。私はただ、読者の皆様が喜んでくださるような記事を提供したい、ただそれだけですよ」

Iさん「いいでしょう。そういうことなら、普段のコラム同様、いやそれ以上に、本気でいかせてもらいましょう」

Jさん「ええ心意気や。わても食べ物に関しては、ちとうるさいで。ガチンコで食いもんの話ができるとあらば、断る理由など、どこにもあらへんわ」

Tさん「皆さんノリノリですね。そういうことなら俺も異存はないです。うまいものの話をするのは、ぶっちゃけ開発方法論やマネジメントを語るより、得意でしてね」

竹金「ありがとうございます。皆様なら間違いなく、そう言っていただけるものと思っておりました。 では形式ですが、こちらに簡単なクジを用意いたしましたので、その順番に従い、これぞ『エンジニアめし』という食べ物について語っていただきたいと思います。よろしいでしょうか?」

Tさん「OKです」

Jさん「了解やわ」

Iさん「承知しました」

竹金「では皆様、クジをお引きください」

……

Tさん「……どうやら、俺がトップバッターのようですね」

Iさん「私は二番手ですか」

Jさん「わいはトリか……こりゃ盛り上げたらんといかんな」

竹金「それでは、Tさん。Tさんの『エンジニアめし』について、よろしくお願いいたします」

Tさん「はい。では結論から……俺の考える『エンジニアめし』は、ズバリ『カレー』です」

Jさん「『カレー』か……!!」

Iさん「『カレー』とは……!! さすがTさん。核心を突いてくる」

竹金「お二方のリアクションを見るかぎり、高評価のようですが……どのあたりが『エンジニアめし』なんでしょう?」

Tさん「理由は3つあります。まず重要なのは『速い』こと。 エンジニアというのは基本的に忙しい人たちが多い。納期に追われ、飯をゆっくり食べていられるような余裕がない場合が多いのです」

Jさん「そやな……その点『カレー』なら、基本的にメシの上に出来合いのルーをかけるだけやから、注文してすぐにメシにありつける。忙しい中、合間合間を縫って食うには、これ以上のものはあらへんわな」

Iさん「ええ。しかもカレーにはさまざまな野菜が含まれており、栄養バランスも良い。スパイスの刺激も体温を上げる効果があり、栄養が偏りがち、運動不足がちなエンジニアにはもってこいの食べ物だ」

Tさん「はい。そして2つ目の理由。それは『どこでも食べられる』ことです。カレー専門店というのはなかなかないかもしれませんが、ファミレス、ファストフード店、はたまた喫茶店でも、視野を広げればいくらでもカレーを扱っている店はあります」

Jさん「たしかに、近頃ではどこの牛丼屋にもカレーがあるくらいや……カレーはもはや国民食ゆうてもよいかもしれん」

Iさん「立ち食いそば屋のカレーというのも侮れませんよ。あの独特のとろみの効いた黄色いドロッとしたカレーが、なぜか無性に食べたくなるときがある」

Jさん「そやな。定食を食べに定食屋に入ったのに、なぜかようわからんが、気がつくと『カレー丼』を頼んでいること、あるわ」

Tさん「そして最後の理由。それは『汎用性』です。一口に『カレー』といっても、店によって基本となる味わいはさまざま。しかもその上、鳥、豚、牛、シーフード、さらにはトッピングまで考えると、その組み合わせはまさに無限大。極論すれば『2週間は毎日カレーで生きていける』といっても過言ではありません」

Jさん「かけらのような肉片がかろうじて入っているような庶民的なカレーでも、その上にコロッケを乗っけるだけで、とたんにご馳走になるからな」

Iさん「上に載せるだけがカレーの可能性ではありませんよ。ライスかナン、そういう選択肢も立ち上がってくる」

Jさん「ナン……? あかんあかん! ナンなんて、あんなピザみたいなもんはあかんわ! カレーつーたらやはり飯の上にこう、ドバーっとかけてなんぼやろ」

Tさん「いえ、一概にそうとは言い切れませんよ。俺の最近のオススメは、昼時にカレー専門店でやっている『カレーバイキング』です」

Jさん「『カレーバイキング』やて?」

Tさん「ええ。その名の通り、一定の料金を払えば好きなだけライスもカレーも取り放題。それもカレーの中身は日替わりで、野菜中心から肉中心まで、さまざまな味のカレーが用意されています。ナンも注文を受けてすぐ焼いてくれるし、食べ放題の店でありがちな、時間制限といったものもありません」

Jさん「なんちゅうことや……そりゃまさに、カレーの天国やないか……」

Iさん「カレーというものが、基本的にローコストだからこそできるサービスですね。補足すると、私が特に嬉しいのは、『ルーとメインのバランス』を自分好みにカスタマイズできる点にあります」

Jさん「『バランス』? どういうこっちゃ?」

Iさん「Jさん。あなたはカレーライスを注文したものの、『ルーとライスのバランスを取るのに失敗して悔しい思いをした』ことはないですか?」

Jさん「あるわ!! めっちゃあるわ!! 思ったより辛めのカレーが出てきて、辛さをやわらげるためにライスを多めに口に入れとったら、最後にルーだけ残って悔しい思いをしたり、逆にルーが足りなくて飯だけ残って憤死しかけたりとか、めっちゃあるわ!!」

Tさん「そもそも『ルーとライスのベストバランス』というのは、皆がそれぞれ違っていて当然だと、俺は思うんです。ちょっと水っぽいルーが、ダボダボとご飯に染みこんでいるような……まるで小学生のときに出た給食のようなカレーが好みという人もいれば、逆にドライカレーのように水分が少なく、具をたっぷりと載せた、濃厚なバターライスを掻きこむように食べるのが好きな人もいる」

Iさん「そうですね。その点セルフサービスのカレーバイキングなら、自分でルーとライスのバランスを調整することができます。私も以前行った時には『おおっと、ちょっと今回はルーが多かったな、よしナンを頼もう』『今度はナンが残ってしまったぞ、あちらの豆のカレーはまだ試していない……よしこれに使おう』『今度はルーが多すぎた、次はターメリックライスと合わせてみるか』」というライフサイクルを3回ほど繰り返しました。おかげで腹は、はちきれそうでしたよ」

Jさん「いかん!! めっちゃカレー、食いとうなってきたわ!! わいは盛りの良さで有名な、金沢発祥のカレーチェーン店の、カツにソースがかかった揚げ物盛りだくさんのカレー、あれがめっちゃ好きやねん!!」

Tさん「おお!! あれはいいですよねえ。あれはまさしく『ご馳走』のカレーですよ!! 二種類のカツ、エビフライ、そしてウインナー!! 『オトコノコの夢』、そのものです」

Iさん「ええ。揚げたての、ロースカツとチキンカツの2枚が乗っている光景は、まさしく『メジャー』の名にふさわしい。 さらに素晴らしいのは、豚と鳥という、まったく世界が違う2つを、カレールーが『1つにまとめあげている』というか……」

Jさん「『世界が違うものを、1つにまとめあげる』か……たしかにカレーには、どんなものでも『調和』してしまう力があるように思えるわ……チーズや納豆なんていうトッピングまで受け入れる懐の広さは、他のものではなかなか、真似できんわな」

Iさん「そう考えると、われわれのやっている「いろんな機器やソフトウェアをつないで、1つの『システム』や『サービス』として作り上げる」という、エンジニアリングという仕事そのものを、『カレー』という食べ物が体現しているようにも思えてくる」

Jさん「まさに『エンジニアめし』として、こりゃ文句のつけようがないわ! 最初から一本取られたで!」

Tさん「いえ、そんな大層なことではありませんよ。単に『カレーが嫌いなエンジニアなんていない』、ただそれだけのことです」

竹金「初回からとても良いお話、ありがとうございました。お二方も活発に論議に参加していただき、非常に有意義な議論になったと思います。……続きまして、Iさん、あなたの『エンジニアめし』について、お話いただけますでしょうか?」

Iさん「ええ。私は正直、迷っていたのですが、先ほどのお話を聞いて決心が固まりました。……私の『エンジニアめし』は、『寿司』です」

Tさん「『寿司』……!?」

Jさん「『寿司』やと……!?」

つづく

参考文献: めしばな刑事タチバナ

Comment(3)

コメント

embedor

いかん!! めっちゃカレー、食いとうなってきたわ!!

OZ

カレーの定義が間違ってますよ。
残念ながら体を温めるための食べ物ではないです・・・
元々は暑い土地の食べ物で、発汗作用を促して体温を下げるための食べ物です。

寒くても食べたくなるのはもちろんですが

terukizm

そうなんですか。なんか基礎体温が高いと病気になりにくいとかで各種スパイスが体をあっためてくれるものだと。ご指摘ありがとうございます。でも多分この3人の場合は、健康とかそういうの1mmも気にしなさそうですね

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