【火に水を注ぐ】
■原典:火に油をそそぐ
■意味:
一見、事態の収拾に協力しているように見えて、実は、大惨事を招く行為を無自覚に行うこと。火に油をそそぐよりも、無自覚なだけに性質(たち)が悪い。
■解説:
天ぷら油火災が発生した場合、水をかけて消火しようとすると炎が急激に拡大し、周囲に油が飛び散って大やけどをする場合があり、大変危険です。
また、ナトリウム火災の場合、水をかけると、さらにひどいことになります(まあ、ナトリウムの場合は、燃えていなくても水をかけると大変なことになりますけど)。
例えば、システム開発の現場では、納品間近かになると、プロジェクトが「火を噴く」ケースが出てきます。そんなときに、よく分かってっていない人を投入するとさらに訳の分からないことになり、それこそ「本格的に炎上」します。
それが、「炎上」させようと思ってしているのではなく、良かれと思ってしている行為なので、なかなか説明しても分かって貰えないケースがあります。
●用例:
古株部長。今、開発中のヨソノ工業様の生産管理システムの件なんですが、お客様からの仕様変更の要求が激しくて、納期どおりにできそうもありません。
なんとか、仕様を固めるように働きかけていただけませんか?
そんなのだめだよ。あそこの部長は、元うちのOBで、その関係で受注してんだから。納期も遅らせたら駄目だよ。そうだ、代わりに、現木君と、川伊さんをそちらに回すから、なんとかしてよ。
今、部外者を突っ込まれても、それこそ仕様の説明だけで時間を取られて……。
じゃ、今のメンバーのままで、いいね。
いえ、いただきます。
…………
あ、現木君。ヨソノ工業様の物件に応援に回ることになったんだけど、何をすればよいの?
いや~、僕も知らないよ。僕ら2人を投入したって、あの物件は、どうにもならないよ。本当に、古株部長は、「火に水を注ぐ」人だな~。