アットマークマキアート物語ラブライフハック企画 『アットマークX'mas-森村編-』◆12月21日 シュンミン日和◆
クリスマス特別企画・ IT業界の恋愛模様を描く集中連載。 ITエンジニアたちよ、恋愛していますか? 毎回、ちょっとしたライフハックネタも紹介。12月20日から12月24日まで、毎日更新!
◆ ◆ ◆
社内ビルの入り口一角が、なにか灰色というかアイボリーです。
その空気をつくっていたのは……朝田さんでした。たとえていうなら、明日のジョーのラストシーンみたいでした。
「あぁ、俺は燃え尽きたよ……」
なんてせりふがとても似合います。
「あのー、朝田さん?」
「あぁ、森村さん……」
話しかけてもあんまり応答せず。
「なにかあったんですか?すごく哀愁漂ってますけど」
「そんなに哀愁漂ってる?」
「はい。とても……」
「そっか。僕はもうだめだー!!」
いまにでも泣き出しそうな顔でため息をつく朝田さん。
「あの、なにがあったのかわからないけど元気だしてください、ね!!」
わたしは思わず持っていたコンビニ袋から暖かいコーヒーをだして朝田さんに渡しました。
「あたたかいものを飲むと、心が落ち着きますから!」
「え?」
「あ、やばい。9時になっちゃう。じゃ!!」
それだけ言って、わたしはオフィスにはいりました。あー、かっこよくコーヒー渡しちゃったけど、わたし朝コーヒー飲まないと眠くなっちゃうんだよなぁ。
そんなわけで絶賛眠いです。
うとうとしながらのお仕事はつらい。こんな日に限って自販機壊れててコーヒー買えないし、マグカップ忘れてコーヒー注げないし。最悪です。
「ねもーい!!」
そう訴えながらの仕事です。今日の仕事は請求画面の作成です。テストデータを打ち込んで……えーっと……。なんだかディスプレイの英語が日本語に見える。
昼休みはもちろん爆睡です。
「ちょっと森村さんおきて!!」
昼休みをちょっとすぎても寝ていたわたしは阿須さんに起こされました。
「あぁ、すいません。ふわあああ」
「ふわあああじゃないよ。ちょっとこっち!!」
眠い頭のまま阿須さんに引きづられて会議室前へ。会議室に入ろうとしたら、阿須さんにとめられました。
人差し指を立てて「しっ!」と。会議室の会話を聞け! ということでした。
「このデータ、例外処理の観点からはあってますけど、今回は正常値ケースですよ?」
この声は……テストリーダーの梅尾さんです。
「正常値ケースで請求コードの桁数と取引会社の社名が英語から日本語になっているのはおかしくありませんか?」
「おっしゃるとおりです」
「これを作ったのは誰なんですか? こんなテストデータはありえないです」
「わたしの部下の森村です」
わ、わたし!? わたしがつくった画面のことを言ってるの!?
「社内だからまだいいですけど、今後このようなことが続くようなら……」
「申し訳ございません!!」
思わずドアをあけて謝ってしまいました。
鋼野さんにご迷惑かかちゃってるから!! と思ったら、そこにいたのは朝田さんでした。
「あれ? なんで朝田さんがここに?」
「いや、なんで森村さんがここにいるの?」
「いや、阿須さんにつれてこられ……」
と、横を見ると、阿須さんすでに姿はなく。
「どっちでもいいから。森村さん」
会議室の中にいたのはかなり青筋が立っている梅尾さん。
「今後、こういうことがないように気をつけてくださいね」
怖い顔でにっこりと笑いながら、梅尾さんは去っていきました。
「はい、申し訳ございません!」
会議室にわたしと朝田さんが残されました。
「今、鋼野さんは来客中で僕が代わりにおしかりをうけたんだけど……」
「申し訳ございません!!」
「はい、これ。飲んでないから飲んでいいよ」
朝田さんは会議室にあったコーヒーを勧めてくださいました。
「申し訳ございません……。穴があったら入りたいです」
「今後気をつけてね」
「はい」
そういって、朝田さんは会議室をでていきました。
残されたホワイトボードには正常値と今回わたしが入力した値がのこされていました。
「仕事をいい加減にやったわたしが悪いんです」
「まぁ、今回はちょっと森村ちゃんが悪いかなー」
帰り道、紅さんと久実さんに愚痴ってしまいました。
「でも、若いんだからそれぐらいの失敗はあるわよー」
「リンちゃんもそんなに怒ってなかったでしょ?」
「梅尾さんには確実に青筋たってましたけど。でも、今回はわたしがまじめに仕事しなかったから悪いんです。お2人は眠くなったときってどうしてますか?」
「うーん」
いっせいに考え込む2人。
「わたしはとりあえず体を動かすかなぁ」
「気晴らしに誰かとしゃべるとか」
「そうですか」
「プログラマって常に眠いからそうやって発散させないとかくんといっちゃうよ~」
「で、居眠りしていると怒られる、と」
「あぁ、そうですよね……。はぁ」
さらに落ち込むわたし。
「ほら、まだ一週間長いんだから、がんばって!!」
「そうだ!! いいこと教えてあげる!!」
紅さんが思いついたように手をたたきました。
「正面にすわっている森田さんいるでしょ?」
「あぁ、いますね。あの人静かだから何喋っていいのかわからないんですけど」
「あの子ね、ネット番組やってるみたいよ」
「ね、ネット番組!?」
驚くわたしにサラさんは手帳から一枚の名刺を渡してくれました。名刺には「森田姫子」と書いてあります。裏返すとなぞのUstreamのURLが!!
「それ、貸してあげるからアクセスしてみて!!」
帰宅して、さっそくアクセスしてみると「おひとりさまお勉強会参加ストーリー」が!!
べ、勉強会ってなに!? そこになにがあるっていうの!?
こういうの見ていると眠気が吹っ飛びます。あぁ、こうやって眠気って覚ますんですね。
コメント
第3バイオリン
森姫さん
こんばんはー。第3バイオリンです。
森村さん、梅尾リンに叱られてしまいましたね。ずいぶんおっかないキャラですね(笑)。
しかし私は、わざわざ森村さんを会議室に連れて行っていつのまにか消えている阿須さんが気になります。
また出てくるかな?とひそかに期待しています。
森姫
第3バイオリンさん
おっかないというか、梅尾さんは個人的な妄想で
クールビューティーです。
阿須さんはさりげなくでてもらいましたー(笑)
この小説の野望は「とりあえず人をいっぱいだす」ことです。
森姫
第2回目。
とりあえず前作に引き続き森村は失敗が多いです。
第2回目のテーマは
「眠気の覚まし方」
です。
とりあえず毎日が眠いです・・・。コーヒー飲んでもだめです。
だれかどうにかしてください・・・。
と思ったら久実さんに答えていただきました。
2話のゲストは
第3バイオリンさんとあずKさんでしたー!