プログラマ、テスター、SE、PMなど、いろいろやってるオヤジです。

コラムニスト対談 -リーベルG vs あべっかん(後編)

»

前編の続きです。リーベルGさんとタブレットでオンライン対談を進めています。

 

ゾンビや異次元の世界も描く

あべっかん「リーベルGさんの小説では、IT開発の世界を細かいところまで描写していますね 」

リーベルG「昔の小説、たとえばSF なんかだと「○○理論」とか「××金属」「△△ドライブ」でよかったわけですが、今どきは、技術的・科学的な裏付けがないと、読み手に飽きられてしまうし、書く方も自己満足的な文章で終わってしまうんじゃないかと思うんですね。別に商業的な意味で書いているわけではないので、そこまでこだわることもないんじゃないか、と思われるかもしれませんが、逆に趣味だからこそ、細かい部分を描写してみたい、というのがあります」

あ「技術的な裏付けが読者を引きつけるんですね」

G「IT業界は、自分の仕事の業界なので、実体験としてわかっている世界は書きやすいです。
書いているツールや言語を、全部使ったことがあるか、というと違うんですが、それでも仕事の延長線上にあるので、あまり外れたことは書いていないんじゃなかと思っています」

あ「一方で、ゾンビや異次元の世界の敵が出てくる話もある。SFを取り入れることでレパートリーに幅を持たせていますね。だけどゾンビや異次元の敵に対しても、コマンドを打って戦うことでITの世界から外れない」

G「一応、エンジニア小説という形で書いているので、主人公はプログラマか、それに準ずる職業の人にする、という自分で勝手に決めたルールがあります。だけど、プログラマの仕事って、基本的にデスクに座って完結することが多いので、必然的に舞台が室内で、PC の前か会議室、せいぜいスタバに行くとかに限定されてしまいます。たまには、外で動き回る話を、と思ったのが、『ハローサマー、グッドバイ』です」

あ「横浜のみなとみらいがゾンビのエリアになっていましたね」

G「あと、たとえば自衛隊や米軍では、様々なITシステムが使用されていますが、それだって誰かがどっかで作っているわけです。そこには、要件定義や仕様策定や納期やデバッグやテストにまつわるあれこれがあるはずですよね。そんな裏側で苦労しているエンジニアの話もありかな、と思ったりもしました」

zonbie_98422.jpg

あ「ちなみに私がプチ小説を書いたときには、話に著者を登場させることで異次元感(?!)を持たせていました。
>> 『いや、待てよ。この話の筆者はabekkanだ。どうせハッタリだろう。山にプロジェクションマッピングで城を投影しましたとかいうネタに違いない。』これとか(笑)」

G「スティーヴン・キングも「ダークタワー」シリーズで、やってますね。私もいつかやろうかな(笑)」

 

IT小説はこうやって書く

あべっかん「リーベルGさんは最初から最後までのストーリーを決めてから書き始めている、ってどこかで書いてましたよね」

リーベルG「少なくとも大まかな流れと、ラストは決めてます。あと、途中のポイントをいくつか。それはセリフになることが多いです。
たとえば「冷たい方程式」だと、

いや、だめだ。この仕事を失うわけにはいかない。ぼくのした単純作業が、この世界を回り回って
あたりだったりします。そのポイントをマイルストーンとして、そこにつなげる形で話を作っていくって感じです」

あ「場面ごとのシーンとか、キャラクターの設定などを1つ1つ細かく書き出してから小説を書く人もいるようです。リーベルGさんは書くときにどんなことをしていますか?」

G「キャラクター設定は、名前とか簡単な性格とか年齢あたりを決めるぐらいです。あとはあまり細かく考えないです。考え出すとキリがないので。
仕事でもそうなんですが、最初から細かく設定を決めてしまうのは苦手というか面倒で、書いているうちに何とかなる、と信じて書いています(笑)」

あ「たしかに。細かくやりすぎると面倒になりますね。登場する人物にはモデルが実在するんですか?」

G「いる場合もありますが、その人をそのまま描写するのではなく、複数の人を繋ぎ合わせたり、独自の設定やエピソードをプラスマイナスしています。これも、書いているうちに、思いついて足したりします」

あ「昨年『校閲ガール』というドラマをやっていました」

G「見てました!石原さとみちゃん、可愛かったですね」

あ「そこでは、校閲で書いてあることに矛盾がないかをチェックします。○○公園から本当に富士山が見えるのかとか。リーベルGさんの場合は、こういうときに本当にそのツールやコマンドが使えるのか?ってとこでしょうか。下調べのようなことをしっかりやっているんですか?」

G「やれる範囲でやります。自宅にも開発環境はあるし、Linux もWindows もあるので、自分が仕事でやっていることは、確認します。確認結果は、たまに挿絵として使ったりしますし。
ただし、技術的な内容を紹介するコラムではないので、物語的に差し障りのない範囲で、現実とは異なる設定を使ったりもします」

あ「その姿勢が話のクオリティを高めているんですね。このサイトの読者は厳しくチェックしますから、それを楽しんでいるというか。そこを突っ込まれないようにするのって大変でしょう?」

G「厳しくチェックしてくれる、というのは、ちゃんと読んでいただいている、ということなので、突っ込んでいただけると嬉しいですね。突っ込み大歓迎です」

 

コメントについて

あべっかん「リーベルGさんにはコメントがたくさんつきます」

リーベルG「ありがたいことです。私は誤字脱字を指摘してくださった方へのお礼以外、ほとんどコメントにお返事たことがないのに」

あ「一時は誤字の指摘ばかりついてましたよね。あら探しをされてるようで嫌じゃなかったですか?」

G「いえいえ、誤字脱字の指摘もありがたいですよ。それだけバグのない文章に近づける、ということなので」

あ「コードをレビューされるのと同じ感じですかね」

G「どのように読まれるかは、読んでくれる方の自由なので、鵜の目鷹の目でミスを探してくれても、それはそれで一つの読み方だと思います。テストエンジニア、という職種もあることですし。「愛の反対は無関心」という言葉がありますが、少なくとも関心を持っていただける、というのはやはり書いていて嬉しいものです」

 


キャラクターの暴走?

あべっかん「小説の中のキャラクターが勝手に行動する、ってことを感じたことはありませんか? 私がプチ小説を書いていたとき、そういうことを感じました。キャラを明確に打ち出していると、彼ならこう言うだろうなというセリフが勝手に聞こえてくる、というか思い浮かんでくる。キャラが筆者を越えて暴走するレベルに達するなんて『俺ってプロじゃん』と思っちゃいました(笑)」

リーベルG「さっき言ったことにも通じますが、プログラムでも小説でも、書いているうちに勝手にふくらんでくれる、というのはよくあります。「罪と罰」だとマサルが、それでした。元々、マサルはぼーっとしてるだけの若い男として書き出したのですが、何気なく、クミと付き合うことにしてから、キャラクターがちょっと変わってきました。

クミは誰からもモテるのに、なんでマサルと付き合うことになったのか、実はマサルには隠れた才能があり、近くで見ていたクミはそれに気付いたのではないか、その才能とは何なのか......というように」

あ「そういうことがあるから小説を書くのって楽しいんですよね!」

 

IT小説家の休日

あべっかん「20年くらい前からネットに長編小説を書いていましたよね?」

リーベルG「あはは。あれは若気の至りで(笑)。まあ、今のリーベルG とは別人格だと考えてください。私は、これまで2回転職しているんですが、2回目はいわゆるベンチャー企業でした。そこにいる間は、全く何も書いていませんでした。忙しすぎて(笑)」

あ「休みの日は何をしてるんですか? タイトルによく洋画の題名をつけてるから洋画好きでしょ」

G「洋画、というか映画は好きですよ。若い頃は、洋画ばかり見ていたのも確かですね」

あ「私は洋画は去年、『Shin・Godzilla』と『Masked Rider 1』を見た以来見てないなあ」

G「ゴジラと仮面ライダー1号って、洋画じゃないでしょ!

『シン・ゴジラ』は私も見ましたよ。石原さとみちゃん、よかったですね」

 

他のコラムをどう思う

あべっかん「エンジニアライフの他の人のコラムって読んでますか?」

リーベルG「一通り読んでますよ。あべっかんさんのコラムも、楽しく読ませていただいています」

あ「私がリーベルGさんのをパクったのも気づいてましたか? これとか」

G「懐かしいですね。気付いてましたよ、もちろん。思わず、笑ってしまいました」

あ「どーもすいません_(^^;)ゞ」

G「あはは。どうぞどうぞ」

あ「リーベルGさんは自分の意見をコラムとして書く気はないのですか?」

G「ないですね。というか、無理です。論理的に思考を展開させていくのが苦手で。本当にプログラマか、と言われそうですが。他のコラムニストの方が、きれいに起承転結にまとめているのを読むと、つくづく感心してしまいます」

あ「起承転結と言いますけど、Webの記事やコラムを書くときは起承転結ではダメなんですよ。先に「転」を匂わせて読者の気を引かないと読まれません。そこが小説とは違いますね。

リーベルGさんは、コラムニストではなくて小説家だってことですね。今後はこういうものを書いてみたいとか、物書きとしての野望はありますか?」

G「うーん。一話完結のショートストーリーとかやりたいんですけど、どうしても長くなってしまうんですよ。長編書くのは、それほど難しくないというか、途中でゴチャゴチャしても、最後で辻褄を合わせればいいので何とかなるんですが。短い話をきれいに書けるのは、才能が必要ですね。ジャンルで言うなら、ファンタジーは惹かれるんですが、プログラマが登場する余地があまりなさそうで」

あ「なるほど。これからも面白いエンジニア小説を期待しています」

G「ありがとうございます。気長に待っていていただけると嬉しいです」

G「あと、注意しておきますけど、そのタブレットは...zzz」

あ「もしもーし。あれ?、聞こえなくなったぞ」

タブレット「Time Over.Time Over. コノ タブレットハ、自動的ニ消滅シマス

あ「んっ?」

タブレット「Three,Two,One,Zero!」

 

ドッカーン!!

yokohama_bom.jpg

あ「やられたー!(+_+)」

タブレットが消滅してしまいましたので、コラムニスト対談を終わりにします。リーベルGさん、ありがとうございました。

リーベルGさんの小説を書くときの気持ちと、石原さとみがタイプだということが分かりました!

 

これをもちましてコラムニスト対談を終了します。またそのうちに気が向いたらやるかもしれません。ご協力いただいた、キャリアコンサルティング高橋さん、Anubisさん、ひでみさん、リーベルGさん、ありがとうございました。

 

※関連小話「絶対に押すなよ!で必ず押されるダチョウの法則」

Comment(3)

コメント

仲澤@失業者

・・・おはようフェルプス君。
田舎の小学生にはストレイカー司令官とそっくりに見えたのだが、
のちにまったくの別人と知ることになる。
多分TVの解像度が低かったせいだと思う(外人見慣れてないし)。
いや、なつかし。

ksiroi

ありふれすぎて社会問題(?)化した伊勢回転性者…異世界転生モノをあえて今書くとか
魔法は全てコマンドで説明できるんだ!みたいな
誰かが絶対に先に書いているだろうなぁw

abekkan

>仲澤さん、ksiroiさん、
いつもコメントをありがとうございます。

難しいコメントでしたので、3日間徹夜で回答を考えていましたw

リーベルGさんとは今回初めて対話をしたのですが、持っていたイメージのままという感じを受けました。こういった対談もやってみると面白いですね。テレビや雑誌のインタビューをしているような気分になれました!

コメントを投稿する