リアルでネットと同じことが言えるか
コラムという虚構
何百本とコラムを書いていると、けっこうダレます。こういう時はこう書けばいいとか、アホみたいに騒ぐ人の捌きかたやら、どうでもいいようなノウハウが溜まってきます。ここで率直に聞きたい。私のコラムを読んで「コイツ、口だけだろ。どうせスキルは大したことねーんじゃないか?」と思ってる人、けっこうな数いるんじゃないだろうか。
というより、私がそう思ってた。コラムでは一丁前なことを書けてはいるが、はたして自分の技術ってどうなんだろうかと。少なくとも、名前を出せば人がひれ伏すようなレベルのスキルは無い。登壇すればそれなりの集客はあるが、名前を出してセミナー開けば人が集まるというレベルでもない。
そういう現実を踏まえた上でコラムを読み返すと、自分の書いたコラムっていうのも虚構だと感じることもある。偉そうなことを言っているが、エンジニアとして具体的なスキルについてはほとんど触れていない。情報発信といっても、なんとなしに納得させているだけの美談でしかない。自分の言葉で本当に人を納得させることができるのだろうか。
そう考えたら、もうリアルの世界でガチに勝負を挑むしか無い。確かに、定期的にこれだけの量の文章を書き続けるというのは、誰にでもできることではない。それなりに誇れることなのだろう。しかし、そういう実績に安住してもその先が無い。いろいろとあった末にエンジニア辞めようかと思ったが、なんか盛り返したはいいが、このままコラム書いてるだけでいいのか?と最近まで自問自答していた。
リアルの世界に挑むということ
リアルと言えば「仕事」だろう。ただ、単に仕事で稼ぐとかそういうのも違う気がする。なぜなら、私の務めているのはSESだ。確かに素晴らしい人に囲まれて仕事をしていて、学べることは多い。だが、絶賛炎上中だ。人情や絆なんて甘ったるいものでは炎上は回避できない。エンジニアなら、スキルという実践できる武器が無くては話にならない。
ぶっちゃけ、SESのプロジェクトを成功させる気は無い。炎上する理由が山積み過ぎて、現実的に一人で対処できる代物ではない。よく炎上の原因は自分にある。みたいに考える人を見るが、その考え方が本当ならプロジェクトに関わる全員に原因はあるはずだ。誰に何が欠けているか、美辞麗句でごまかさずにちゃんと見よう。そして、お互いにフォローし合おう。
SESで失敗が多い原因は嘘ばかりついていることだ。分からなくても分かるように振る舞う、間に合わない進捗を間に合うと報告する、自分の責任を人の責任だと押しつける。やっていることは完全に現実逃避だ。こんなことをやり続けているから現実を正しく認識できなくなっている。だから問題解決能力がゼロなのだ。
リアルの世界に挑むというのは現実と向き合うことだ。言ったことに対して行動で示すことが現実と向き合うということだ。嘘をつきまくるというのは事実をねじ曲げている。現実と向き合っていることにならない。失敗も失敗と認めることこそ、現実と向き合うということだ。私に当てはめるなら、コラムで言うだけ言ったなら何かやってみろということだろう。
言葉は行動を作っていく
私も数多くコラムを書いてきたが、自分の発言について考えることがいろいろとある。今振り返ると、コラムを書き始めたころからIT系のコミュニティー活動に参加するようになっていた。地味ではあるが、ドキュメントという一つのテーマを決めて技術や手法、考え方などを深めていた。コラムを書き続けていてネタが尽きなかったのはこのおかげかもしれない。
結果から言えば、単に何の努力もせずにコラムを書いているコラムニストさんは、だいたい十回コラムを書くと消えていく。普通に仕事しかやっていない人が語れるネタはそんなもんです。ただし、何らかの努力や行動をしている人は長くコラムを書くことができている。分かりやすいのはあべっかんさんですかね。彼の場合は、行動しているからネタがあるのか、ネタのために行動しているのか、たまに分からなくなる。ただ、彼のコラムを読むとネタの量と行動は関連していると思える。
行動した人は多くのことを考える。多く考えることで、豊富な言葉やアイディアがわき出るようになる。豊富な言葉やアイディアがわくから行動の幅が広がる。こういうサイクルで言葉と行動が広がっていく。ただしこれは良い方向だけではなく、悪い方向へも広がる。嘘ばかりつくと悪い方に行動が広がっていく。嘘が嘘を呼び、とんでもない行動を起こすのはそのためだ。
良い言葉と良い行動のサイクルを繋げていくことが自分の成長に繋がり、他の人の利益に繋がれば最高だ。私も是非そうありたいと思う。今まで散々コラムを書いてきて、個人的に言いたいことはあらかた言い尽くした。これからは、他の人の成長につながるような、そういう活動に繋げていければと考えている。
コラムよりリアルな登壇に重点を置きたい
こういうことを言うと編集の方に怒られそうだが、コラムを見る人はかなり軽いノリで見るだろう。そんな血眼になって真剣に読む人はいないと思う。情報発信のステップの一つとしてはとても良いと思う。しかし、コラム以上のことがしたいと思ったら、コラムを書くより他の行動を起こす必要がある。
コラム以上に何かを言おうと思えば公衆の面前で話すのが一番だ。OSCに登壇する際、本名も顔も明かしてしまった。ただ、そこまでして話すので伝わる度合いも違う。登壇の準備にしても、ちゃんと技術的な裏付けと取ったり、ロジックを綿密に調整したりと、コラムを書くのとは比較にならないくらい大変だ。
長いことコラムを書いてきたので、そろそろ次のステップがあってもいいだろう。自分でも、口だけなのか行動で何かができるのかを試してみたい。確かに、スキル自体は飛び抜けて凄い訳でもない。平均的なエンジニアを基準にするなら、自分にしかできない分野は確立している。ただ、それを身につけたのも色々な人から学んだ結果だ。
今まで、散々コラムで偉そうなことを言ってきた訳なので、そろそろ有言実行しようと思う。自分が人から学んだ分くらいは、登壇を聞きに来てくれた人に還元できればと考えている。そんなことで、11/10(土)に関西オープンソースフォーラムでまたPowershellネタで登壇する。登壇する機会があれば、都合が許すかぎり登壇していきたいと考えている。
正直、いろいろとしんどくはあるが、次のステップのために全力で挑んでいきたい。
コメント
仲澤@失業者
自分は職業プログラマとして30年飯を食い、
某雑誌の記事を十ウン年の間書いてきましたが、
最近は「継続は力なり」よりも、やっぱ「力ないと継続ってば無理」
などと感じるようになりました。
もっとも、力の指し示す意味は色々で、一言では言えませんけど。
にせな
Anubisさんのやりたいことを整理しない限りずっとこのもやもやは解消されないはず
・IT技術で他をリードしたい
・収入では誰にも負けたくない
・コラムニストとして成功したい
・IT業界を辞めたい
・IT業界を改善したい
・他人から敬われたい
・ビジネスで成功したい
・有名になりたい
これらのうち、Anubisさんの夢・目標ってなんだろうか。
登壇しようがコラム書こうが、目標が定まっていない限り、何もかわらないはず。
登壇したって収入が増えるわけでもIT技術が高まるわけでも人望を集められるわけでもない。
Anubisさんが何をしたいのか、どこに行きたいのかちょっときになる。
Anubis
> 仲澤 さん
確かに「継続は力なり」というが、力が無ければとても継続できない。核心を突いた感があります。
> にせな さん
逆に問います。今までパンを食ってきて、その理由を都度考えてきたでしょうか?ウマそうだから食う。腹減ったから食う。そんなものでしょう。コラム書くのも登壇するのも似たようなノリです。
・IT技術で他をリードしたい > リードした分野があるのでOK。
・収入では誰にも負けたくない > 現状の収入でOK。
・コラムニストとして成功したい > 十分成功した。
・IT業界を辞めたい > と、思ったことはある。
・IT業界を改善したい > やってる。
・他人から敬われたい > むしろ誰かを敬いたい。
・ビジネスで成功したい > ビジネスを語るのは時代遅れ。
・有名になりたい > そこらへん歩いている人よりは有名になったので満足。
と、いろいろなものが得られて、自分でも非常に恵まれていると思う。コラムを書き続けたことで、素晴らしいことがたくさんあった。コラムではやりたいことは全部やったし十分に満足した。むしろスッキリしている。「行きたい」ではなく、「行っちゃった」です。だから、「次は登壇だ!」と繋がる訳です。
にせな
>逆に問います。今までパンを食ってきて、その理由を都度考えてきたでしょうか?
うん、きちんと考えているよ。
今回のこの仕事では、Linuxの構築をマスターする、この仕事はコンテナ技術を学ぶ、今度の仕事はAWSを学ぶ・・・と行動や仕事の意義みたいなものや終着点はひとつひとつ確認しながら暮らしてきた。
だから、Anubisさんがどこに行って何をしたいのか、登壇した先に何を期待しているのか・・なんてのに興味があります。
私はエンジニアとして優秀になりたいという思いとITビジネスを成功させたいという強い思いがあります。
たくと
大きなこといって恥かかないでね…
話の流れが繋がってないように感じます。
Anubis
> にせな さん
・・・揚げ足とりをするつもりはありませんが、あくまでパンの話です。
ただ、人の価値観は文面だけで伝わる部分は限られている。特に私の場合、一般的な思考からかけ離れている部分もある。実際のところ、本当に「ノリ」だったりする。
> 私はエンジニアとして優秀になりたいという思いとITビジネスを成功させたいという強い思いがあります。
実現することを祈っております。
> たくと
何か私がでかいこと言ったかい?登壇に関しては、過去何年もやってきているので、今さら大きい話でもない。年二回くらいやっているのを四回くらいにしようかというだけだ。十分に実現可能な範囲だ。それとも、コメントを適当に解釈してそう思ったのかな?範囲を限定して、できたことをできたと言っているだけです。たいしたことは書いてませんよ?
これで「大きいこと」と捉えたなら、逆にあなたのレベルが低い。話の流れが繋がっていないのはあなたじゃないですかね?発言が軽薄です。出直せとは言いません。二度と私のコラムにコメントを付けないでください。
user-key.
たくとさんは、Anubisさんじゃなく、にせなさんに言いたかったんじゃないかと。
Anubis
> user-key. さん
・・・言われてみるとそうかも。気づかなかった。ご指摘ありがとうございます。
たくと
いや、にせなさんでもなんでもないですよ。コメントの流れでもないですよ…。本文読んでです。 コメントもこれっきりです。他の人に飛び火しそうなのでコメントしましたが…。
少し書くとすごく叩かれそうなので…
あなたの世界をじゃましてすみません。コラムニスト様
Anubis
> たくと
誤解している人がいる以上、既に飛び火してます。状況判断ができていません。何をかっこつけて「あなたの世界をじゃましてすみません。コラムニスト様」ですか。関係の無い人へ誤爆しているんですよ?あなたが早急にやるべきは、にせな さんへの謝罪です。
本文読んでも具体的な指摘は皆無。説得力ゼロです。ただのポエムです。論理的に話したら勝てないのが分かっているから、何も具体的な反論ができませんよね?恐れるに足りないから誹謗中傷でも公開を許可しています。
いかにも良識派みたいな書き方してますが、かなり残念なことをやっている自覚はあるのでしょうか?「大きなこといって恥かかないでね…」なんて言ってますが、相当恥ずかしいことになってますよ。常に状況の把握が一歩遅れています。
Anubis
> にせな さん
コメントを頂きましたが、私の誤読で、"たくと"の付けたコメントをにせなさんへの批判と勘違いしてしまいました。失礼な表現になったことをお詫びします。
> user-key. さん
"たくと"のコメントに主語が無いので、コメント頂いた解釈になるのもいたしかたないかと思います。
nai
コラムが虚構に感じるというのは、コラムというものがそもそも深く読み込むものではないという性質からではないでしょうか。
専門書のような内容でしたら読み手を限定してしまいますし、そもそも読者が求めているものはお手軽さや短時間で得られる満足感なように感じます。
私はAnubisさんの視点や解釈の仕方に大変興味を持って読ませていただいていますし、いろんな発見に繋がったことに感謝しています。
コラムと登壇とを比較してどちらかを選ばなければならないというのも寂しいですし、手段の異なる1つの手法ということでどちらも継続していただければと思います。
こーへい
はじめまして。
いつも興味深く読ませていただいております。
わたしはanubisさんの記事に含まれる価値観に共感・影響受けてきた(そしてこれらも受けるでしょう)9年目サラリーマンSEです。
これからのご自身のステップアップ、是非頑張ってください。
※明日が関西での登壇とのことで是非拝聴させていただきたかったのですが、予定があわず大変残念です。
そして今回初書き込みさせていただいた理由は、一anubisさんのコラムのファンとして、これからもご自身のペースで構わないのでコラムも続けて欲しい、と今一度お願いしたくなったからです。
というのも虚構と現実についての言及がありましたが、この長きに渡るコラムは決して虚構などではないと感じており、きっとanubis様にとってもそのはずだと考えるためです。
例えばわたしは今回の記事にて「あべっかん」様という素晴らしい発信者も知ることができました。
また先の記事などでは、アクシア社長様のブログの存在を知ることができました。(米村様は書籍を拝読したことがありましたが、ブログの存在は知りませんでしたので、おかげさまで著者の最新の考えなどを吸収できました。)
他にも実例は書ききれないのですが、このように当コラムはわたしにとっては価値観の探索・形成のみならずリアルなアクションに確実に繋がっております。
そしてそれはわたしだけではないと思います。
このアウトプットによって、影響を受け、アクションが発生しているというリアルな事実を、伝えたくなりました。
あくまでファンなので、誤解されると悲しいので念の為謝っておきますと、「別にコラムは止める気ねーし、そんな記載してもないよ」「コラムの影響くらい、それくらい分かってるわ」と思われたならすみません。
あくまでエールかつ、でもブログは読みたいですよ!っていう念押しでした。
そして最後になりましたが明日の登壇頑張ってください!
Anubis
> nai さん
私の書くコラムが虚構だという理由ですが、もっと具体的に書くとエビデンスが乏しいからです。@ITなどで書かれている記事は、綿密な取材の元、校正をとおして公開されています。私の書くコラムは、個人の経験を元に一気に二時間くらいで書き上げてそのまま公開です。
インパクトや面白さについては、ある程度のレベルで達成できていますが、エビデンスが乏しいという事実は事実です。面白い、インパクトがあるからといって、それを真実と勘違いしたら、私は情報発信する人としては失格だと思います。コラムを書いていて、いつもこのことを気にかけていました。
なんだかんだで月一くらいでコラムは書くと思います。ただ、普通に仕事をしている人がエビデンスをそろえて質の高いコラムを書くというのはなかなか大変だと感じています。できる範囲で挑みつづけていきます。
Anubis
> こーへい さん
> 価値観の探索・形成のみならずリアルなアクションに確実に繋がっております。
マジか。あまりその自覚はありませんでした。誰かが新しい価値観を得られたとするなら、私が書いたコラムは成功です。
地味にうれしいです。
昨日、登壇頑張ってきました。個人的には、納得ができるところまでできました。