費用対効果とかボヤく前にやっておくべきこと
できるようになってから出直そう
会社というのは、もうちょっと気軽にボコボコ潰れてもいいような気がする。アメリカはそこら辺をよく分かっている。社会的なシステムから、個人の能力が活かせるように設計されているように思う。できなかったら会社が潰れる。個人だったらクビになる。結果、できるかできないかを認識した上で行動するようになる。
一方日本では、できないのにできると言って、無茶で解決する流れが主流だ。無料で従業員に圧力をかけて目標を達成することが多いので、本来の自分たちのキャパシティを認識していないように思う。こんな状態で計画を立てるので、まともな計画が立つはずも無い。まさに、狂気の沙汰としか言いようが無い。
すごく基本的な話だが、普通にやって達成できるようになってからでないと、費用対効果など検討したところで無駄だ。一週間い一回しかギターを弾かないのに、「俺はプロになってビックになるんだ」とホラを吹くなんちゃってアーティストと大差が無い。まず、基礎力を確保しよう。
アジャイルやらスクラム等でも同じことが言える。開発の基礎もできていないのにそんなものを議論しても、ろくな結果がでる訳がなかろう。あれは崩壊したチームを立て直す手法ではない。また、最低限のコーディング能力があって、統制が取れている上での話だ。そこら辺が崩れているなら、取るべきアプローチは別のものだ。
アプローチの種類から見直す
IT系のサイトやら、意識の高い人たちで取りざたされるのは、上手くいってる人が更に先を目指すための手法だ。上手くいっていない人に限って、こういうのを話すと楽しいと感じてしまうように思える。意識高い系の人と、実際にできる人は話のポイントが全然違う。実際、うまくいっている人たちは意外と淡々とやっている。
どんな状況でもそれぞれにあったアプローチはある。だが、うまくいっていない状況で取るべきアプローチというのは地味だ。そして味気無い。勉強会やイベントで登壇してこう言う話題を話すことがあるが、あまり人は集まらない。意識高い系より、人生疲れてる系の人に対してウケがいい。
誰しも、自分はできる人だと思っていたい。実際、自分はできる人だと思い込んだ方が、伸びるところは伸びる。長所を伸ばすには良いアプローチだが、欠点を克服するには一手足りない。欠点を克服するには、自分の欠点を認識する必要がある。これが痛みを伴うので、やりたがる人はなかなかいない。
そもそも、「自分はできない人でした!」と認めてしまうと、会社人的には死ぬ。仕事ができない人に対して会社は厳しい。言いたい放題言われて、最悪、会社を去らざるを得なくなる。本当は自分に不利な点を認めた上のアプローチが必要なのだが、環境がそれを許さない。なので、実質的に選択されるのは、実質的な改善のアプローチではなく、言い訳をつけるためのアプローチになる。
費用対効果というより人事対効果
そんなことで、費用対効果の話を仕事でやると、だいたい前提から破綻している。実行して本当に効果があることは希だ。効果があったとしても、別の問題を抱えることになることが多い。実際のところ、効果があったのは費用ではなく人に対しての説得効果だ。誰かを説得するために、一番強力な言葉がたまたま「費用」と言うだけの話だ。
仕事するにも、説得しなければいけない人が多いというのはマイナスだ。説得というのは、非常にエネルギーを使う。本来であれば、自分の上司くらいは理解者であって欲しい。多くの人を説得することでエネルギーを使い、本業をやる頃には精魂力尽きているケースはよく見る。
費用対効果というが、説明をするために浪費するコストがバカにならない。本気で費用対効果を考えるなら、相手を理解するための基礎知識くらいは抑えておこう。一から説明を求められて、ナンセンスな質問を連呼されてはたまらない。実際、説明のための業務の量もバカにならないので、本業にも支障が出る。
結局のところ、賢くなることが一番費用対効果が高い。賢くなると言っても、人より優れることではない。必要な知識と技術を押さえておけばいいだけだ。手元に技術なり情報なり無ければ、何ができて何ができないかも判断がつかない。判断がつかない状態で議論しても、何ら得ることもなく時間だけを浪費することになる。当然、その時間に対して多くのコストがかかる。
一番のコストは人
よく、製品やらサービスに費用対効果という言葉を使うが、決定的な差を生み出すのはそれを使う人間だ。製品のコンセプトを理解して使うのと、自分のやり方に製品を合わせようとするのと、活用の度合いが全然違ってくる。使う人が賢くなければ、どんな素晴らしい製品を入れても費用対効果は望めない。
費用対効果を考える上で、人を育てることでは重要な項目だと思う。ただ、人が人に何かを与えるというのは、非常に大きな心理的抵抗を覚える。だから、外部のサービスやら怪しげなコンサルやらを頼るようになるのだろう。こういう心理的な抵抗が判断を鈍らせている大きな要因と考えている。
手っ取り早く結果を得たいなら、人を教育するより頑張らせる方がやりやすい。何も考えなくてもできるので簡単だ。しかも、頑張らせている立場の人は、権力を行使する快感も味わえる。ソリューションあれこれ言うより簡単だし、短期的な結果は上がってしまう。多くの人は考えることを止めて、頑張らせるという手段で満足しているように思う。
人が頑張るにもコストがかかる訳だ。残業すれば残業代もかかるし、オフィスの電気代もかかる。その残業の内訳が、仲間内での牽制やら説得というのも浮かばれない。こういう問題に、やれアジャイルやらスクラムとか意識が高い系のアプローチは無意味だ。また、最新技術やソリューション云々もアプローチとして的外れだ。最大の費用対効果を生み出すアプローチは、小学生レベルの道徳の授業をやり直すことかもしれない。
コメント
ほ
「できないのにできると言って、無茶で解決」できればいいんだけど、だいたい悪化するというか、自分で地雷ばらまいて自分で踏んでるように見える。
できないことはできないって言えれば良いんだよな。
医者だったら自分の専門以外は、他の医者紹介するやん。
エンジニアもそれでいいと思うんだよなぁ。
頑張らなくていいよホント。後始末が余計大変になるから。
愚痴になっちゃったorz
u_zu
お久しぶりです。素晴らしいですね。もしかして同じ社の方ですか?(冗談です)