思うような結果が出せたらという観点から逆に辿る仕事の取り組み方
もし君の思うような成果が出せたらどうなるだろう
自分の思うように仕事で結果を出せたら。この質問をすると、その人の仕事観というものがよくわかる。例えばエンジニアなら、質の高いコードを書くことに重きをおいているのか、それとも立場か、収入か。たまに世の中の何かを変えたいという人もいる。
あと、周りの人間のどの範囲をみているかもよく分かる。自分個人のことしかみていないのか、それとも組織なのか、それとも半径十メートル以内の人なのか。広さと深さというものが、答えから察しをつけることができる。
どういう理想を持つかというのは非常に重要なことだと考えている。基本的に人間は、理想に向かって生きていく生き物だ。どのような理想を持つかが、その人がどう考えるか、どう行動するかを大きく影響する。
大概の人は、理想を叶えるために仕事に奮起する。今回は、その理想が叶たらどうなるだろうか、という結果から逆算して今の仕事のやり方を見直してみるアプローチをやってみようと思う。エンジニアのみんなが大好きな、「結果からの逆算」というやつだ。
理想を検証する
巷で「〇〇を〇〇させるための〇〇の法則」なんて本をよく見かける。これは断言できることだが、あの手の本を読んだら必ず失敗する。実践する上で試行錯誤する段階で失敗するのだ。何回か失敗して本に書かれている本質を理解して、次のステップを踏む。最終的に成功するか失敗するかは、その後の行動次第だ。
ここで考えてみよう。「間違えを侵さずに成功する」ことを理想としている人と、「最後に成功すればいい」と考える二人がいたとしよう。同じ本を読んで実践したとしよう。間違えずに成功したい人は、試行錯誤の段階で失敗して「この本に書かれているのは嘘だ!」とプンプン怒るだけだ。
「最後に成功すればいい」くらいに考えている人は振り返ると思う。別の本を選ぶかもしれない。もう少し、深く本を読むかもしれない。どういう手段をとるかはともかく、試行錯誤を繰り返すことだろう。目的が「失敗しないこと」ではなく「最後に成功すること」だからだ。
つまり、高い理想を持つことが成功する条件ではない。意識が高い人が侵す、最大の間違いだ。凄くなくてもいい。得たいと思ったものが得られればそれでいいのだ。それまでにかかる、時間や手段を制約しすぎていないだろうか。ここで、実現する可能性が大きく変わってくる。
その理想が叶ったらどうなる
あなたが一つのプロジェクトを担当していたとしよう。これを三か月で完成させたいと計画を立てたと。いろいろ頑張って目標を達成したと。この後どうなるだろうか。たぶん、同じレベルのプロジェクトを同じ期間で達成すると周りは思い込むだろう。
そこで、会社の偉い人は「同じ仕事を二か月で完成して欲しい」と思う。頑張って三か月で完成させていたものを、二か月で完成させて欲しいと要求される。そこであなたはどう思うだろうか。肯定的に考えて奮起するかもしれない。無茶を言うなと投げやりになるかもしれない。
どう考えたとしても、相手の希望を叶えるほど、より多くのものを求めてくるのが現代というものだ。どこかで耐えきれなくなって、潰れてしまうだろう。理想を叶えることで最終的に誰かが幸福になるとは限らないと断言できる。むしろ、首を絞める結果になることが多い。
人間は失敗しなければ学ばない。成功し続けると振り返らなくなる。日本の大企業が伸び悩んでいるのは、失敗を認めないので、ことごとく学ぶ機会を逃しているのではないだろうか。伸びているところは、必ず失敗を失敗と受け止めて学んでいる。
失敗する覚悟をもって仕事をする
自分の思うよう事を進めようとするのは、失敗したくない気持ちの裏返しだ。そういう気持ちを高めても、仕事がうまくいくはずは無い。もし、自分の思う方法が間違えていたらどうだろう。また、自分が思いもよらない良い方法があったらどうだろう。自分の思う通りにしたいとしか考えていなければ、そういう事に気づけない。
理想というのは、自分に都合のいいように組み立てられる。放っておくと、エスカレートしてただのエゴでしかなくなる。どこかで歯止めをかける必要がある。そうしないと、仕事を達成することとエゴを満足させることが混同されてしまう。こうなるともう、仕事の結果なんてどうでもよくなる。自分のいう通りに動いたかどうかだけしか見なくなる。
いろいろと話は長くなったが、タイトルに対する答えを言うなら、「うまくいかそうと躍起になるからうまくいかないんだ」ということだ。真面目というのは半面、歪み易いという欠点がある。何でもかんでも上手くやろうとするが故に、失敗が許せなくなり、エゴに突っ走ると。出来の悪いビジネスマンは、この失敗例を忠実に再現していると思う。
何かを成し遂げようとするなら、ある程度の試行錯誤は必要だ。その間、一定量の失敗はつきまとう。もし、この試行錯誤が許されない状況なら、既に詰んでいると考えた方がいい。仕事の結果云々いう前に、既に詰んでいないかチェックしよう。不都合な現実を見つめるのは苦痛を伴うが、意外とチャンスが潜んでいるものだ。
コメント
仲澤@失業者
コラムの「未来から遡る」的内容に反応して別のことを考えみました。
物理的事実として死ぬことは決定しているので、この時の自分の年齢を70歳と仮定し、
現在までさかのぼって考えてみました。
残りの日数は5000日弱、プロジェクトはあと数個はやりたいのですが、無理かもしれません。
ご飯はあと1万数千回は食べるでしょうが、「夏を過ごす数」について考えると、
自分にはあと10数回程度しか夏が来ません。
案外少ないですね、がっかりです。