いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

新人「俺はExcelのプロになりたくてSIerになったんじゃない!」 ← 君、Excelのプロ舐めてるでしょ。

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■希望と現実の狭間で

 五月と言えば、希望に胸を膨らませた新人君たちが現実を直視し出す季節だ。新人君たちに問いたい。どうだ。思ったより現実ってクソだろ。社会には君らの活躍するステージなんてない。欲しけりゃもぎ取るしかない。

 一ヶ月も同じ会社にいると気づかないか?会社って、意外と加齢臭がしんどい場所なんだよ。汚物は消毒しておかないと、いつの間にか加齢臭が移るぞ。物理的な臭さってのもあるが、考え方から加齢臭が漂うと精神が年老いる。

 SIerに就職した学生さん達は、こういう現実を思い知っていることだろう。会社説明会で聞いた美辞麗句の裏側ってこんなものだ。一流の技術を身に付けて、最先端の技術で世界に通用する自分になる。なんて、青臭い希望なんてくちゃくちゃに踏み潰されたことだろう。

 あー。ここではっきり言っておく。SIerの会社で言われたこと忠実にやっててもそ成長なんてできないから。使い潰されて終わるだけだ。とりあえず、目の前の上司を技術でぶん殴ってみよう。技術でなく、立場や義務で押し切ろうとするなら、さっさと転職しよう。その方が無駄な時間を過ごさずに済む。きちんと技術をもって返り討ちにあったなら、その人に教えを請おう。きっと成長できる。

■Excelなめんな

 まず、SIerとして現場に配属されたらExcelでスクリーンショットとポチポチ貼っていく仕事を任されると思う。周りの人も、みんなExcelでポチポチとスクリーンショットを貼り付けている。

 読んでおいてと言われたドキュメントは、やたらと意味不明な図形が並ぶExcelファイル。印刷を頼まれて刷ってはみたが、何やら枠がずれている。印刷したドキュメントを渡すと「直しといて」と指示を受ける。ゴチャゴチャしたファイルと格闘した挙句、時計を見るともう定時。今日も残業決定。

 ファイルサーバには訳の分からないExcelファイルばかり。どこに何のファイルがあるかもよく分からない。ファイルの在り処を聞くと、「そんなことも分からないのか」みたいな顔でファイルのパスをわざわざメールしてくる。パスを開いてみると残念なことにリンク切れ。

 こんな扱いに業を煮やした新人君であれば、「俺はExcelのプロになりたくてこの会社に来たんじゃない!」と訴えたくなると思う。だが、それは間違いだ。少し考え直して欲しい。なぜなら、ろくにドキュメントも書けないような現場にExcelのプロはいない。Excelなめんな。そして君は間違えている。

■目の前にいるのはExcelさえ使いこなせないただの社畜だ

 まず勘違いの一つ目。相手の実力を正しく見抜けていない。Excelの使い方を間違えている人をExcelのプロと思い込んでいることだ。「Excelのプロ」と言わぬまでも「Excelで仕事やってる」くらいの認識かもしれない。だがそれも違う。正解は「Excelの使い方すら分からずにゴチャゴチャやってる」だ。

 そして二つ目の間違い。それを見た自分自身がExcelを使いこなすための勉強をしただろうか。もしやってないなら、そのゴチャゴチャやってる人たちと大したレベルの違いは無い。だから、何をやったところでうまくいかないだろう。

 間違いの三つ目。何が問題なのか理解しているだろうか。Excelを使うのがなぜ効率が悪いか説明できるだろうか?それができなければ、単に面倒くさいから文句を垂れているに過ぎない。多分、他のことをやっても面倒くさくなって続かないだろう。

 ただの社畜ごときに翻弄されているようでは、どこに行っても通用しない。自分に正しさがあると思うなら、それを実証しよう。万人に通じなくてもいい。自分の知らない他人を一人、納得させられれば十分だ。きっとその人が次のステップに導いてくれるだろう。

■Excelでも使いこなせれば決定打になる

 SIerにExcelを使いこなせるとアピールしても、「あっそう」の一言で終わる。だが、実際にExcelを使いこなそうと思えば、操作とデータ処理の技術が必要になる。日本のSIerはExcelを舐めくさっている。なので、データ処理の技術というのが抜けおちている。

 Excelの操作に関しても、関数を使いこなせないレベルの人は多い。そもそも、関数を書くレベルの知能が無い。一般的なSIerのExcelのスキルは、中学生が学校の授業で弄ってるくらいなものだ。つまり、社会に出たての新人君でも抜こうと思えば抜ける。

 SIerなんていうと、サーバの構築やらコードが書けるやら、そういう技術が必要と考えるかもしれない。しかし、実際はデータを整理して道筋を立てる方が重要だ。サーバを弄ったりコードを書いている時間より、ドキュメントを作ったり、人に説明をしている時間の方が長い。

 ドキュメントを作る必要があるなら、ドキュメントの作り方も徹底的に勉強すべきではないだろうか。これをやらないから日本のSIerはレベルが低い。たかがドキュメントと侮るなかれ。ExcelでもWordでも、突き詰めればコードを書くのと同じくらいに奥が深い。

 とにかく、Excelは舐められまくっている。むしろベテランほど舐めている。こんなもの使いこなせて当然と思っていて、実は使いこなせていない。だからこそチャンスだ。会社に理不尽を感じたら、辞める前でも辞めた後でもいい。ベテランがないがしろにしたものを見直しておこう。大きなアドバンテージになるだろう。

 Excelでも、使いこなせばプロジェクトを変えるくらいの手段になり得る。

Comment(9)

コメント

仲澤@失業者

最近、リストされた人への郵便による文書の送達確認を行うVBAを書きましたが、
ひとまとまりのシステムとして何か作るときに、Excelってのは結構難しいと感じました。
途中で、「リストごとC++で書きなおした方が早くね(↑)・・・」
といった妄想を打ち消しながらやりました。
その点、Wordはスタイルの使いこなしと、図が上手に書ければ自分の場合はOKなので気が楽です。・・・他に選択肢もないし。

lav

excelさんはデータ突合によく使わせてもらいますねー。
とは言いつつも、元データはsed、awkなり何なりを使って加工してから、
ペコリとはっつけてゴニョゴニョと。


マクロさんも楽になれるための子ですしねー。
ただ、方眼紙はあまり好きじゃなさげです。
方眼紙用のマクロとか作ればいいのか!
でも、大変ですわー。

ふむ

今まで色々なところでexcelで資料とか作らされたけど
もうちょっと頑張ってDBに突っ込んだ方が結果的にデータの
再利用がしやすくなって良かったです。
Excelだとデータ引っ張ってくるの大変なんですよねぇ

Noih

>>ふむさん
そりゃExcelはあくまで表計算ソフトですからね
専用のソフトには負けますよ
でもWordより汎用性が高いのは確かですよね
Wordの方が自信がないです…

匿名

てめー、Sierなめてんのか?
可能な限り関数で、できなきゃVBAでぐらい、ふつーにできるわ!

Anubis

逆だ。匿名でこういうこという人がいるからSierの品格が下がる。
己を恥よ。ちなみに私もSierやってったんだがね。

深名線

きちんとしたフォーマット(セル結合を使わない、見出しは1行、1行1レコードの原則を守る等)でデータ入力していれば、簡易的なBI環境を構築できる。そのくらいにはExcelに実装された統計処理関数・データ分析機能(ピボットテーブル等)って幅広いですよね。
恐らくそのあたりが「Excelのプロ」たるための糸口だと思います。

ExcelはAPI CallできるんだからVisualStudioでできることは、すべてできますよ。
Oracleのテーブル定義を引っ張ってドキュメント自動作成とか。データベースの定義しときゃ、SQL自動作成とかもできる。LANだってつながるし、計測もできるし、Excelなめんなですよね。

Anubis

> え さん
君はExcelの使い方間違えてる。


SQL文やコマンドラインの自動生成なら、Excelでやるより Shellスクリプト か Powershell でやった方が簡素な構造でサッサとできる。Powershell なら Import-CSV からパイプラインに渡して文字列に -f でサクッと生成できる。パイプラインの間にフィルタをかませば、条件分岐もできたりする。いちいちExcelでやってることが、ワンライナー100文字以下(ロジック該当箇所)でも実現できる。


SQL云々やりたいなら、Excel じゃなく DBeaver を使おう。


-- TeamSQL もいいけど、 DBeaver もいいぞ --
https://qiita.com/nanasess/items/609c7cda4adee344221c


申し訳ないが、君は勉強不足だ。ただ、挑んでくる姿勢は嫌いではない。
たかだかコラムのコメント欄でわめくより、ちゃんと情報発信という形で挑んでくれ。
そうでなければ、読む人に価値も無いし、君の成長も無い。


今後の健闘を祈る。

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