いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

システムの自動化がうまくいかないたった一つの理由。

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■早速煽りタイトルで書いてみました

 こんにちは。煽りタイトルについてのコラムが執筆されていたので、反骨精神を発揮して、あえて煽りタイトルでコラムを書いてみました。コメントでごめんなさいを連呼しといてこれかよ。己の性(さが)を感じずにはいられない。

 タイトルにあるように、 IT系の仕事をしていると自動化というキーワードをよく耳にする。自動化に関する勉強会なんかも開かれている。そのくらい関心があるのだろう。だが、あまり上手くいっているのを見たことがない。

 自動化の話題で、少ない工数で、簡単に、多くの作業を省くという目的がよく語られる。ここら辺を突き詰めていくと、自動化の究極目標は人件費をかけずに仕事ができるようにすることではないだろうか。

 私としてはこれは建前だ。私が自動化を推し進めるとしたら、理由は一つ。動いてるの見て楽しいからだ。ピタゴラスイッッチみたいなものだ。あれがパタパタ動いて、最後に旗がピコっと上がった時、にんまりしてる人は多いと思う。システムの中にああいうのを作って動かすのが楽しい。それだけだ。

■自動化の失敗する理由

 システムの自動化がうまくいかない理由は簡単だ。遊び心が無いからだ。自動化なんてうまくいかなくていい。楽しければそれでいい。つまらない自動化された仕事より、楽しいルーチンワークやってた方が幸せだろう。

 だいたい、やってて楽しいルーチンワークを誰も自動化しようと思わないだろう。楽しければ、自動化されていてもわざわざマニュアルでやる。やってる本人が満足しているなら、自動化という考えすら起きない。むしろ、そのままにしておいてくれと怒られる。

 ニーズが無いのに自動化しようとするから失敗する。ごちゃごちゃと効率が悪いことをやるのが楽しいと感じる人は、想像するより多い。勉強して能力を底上げするより、ダラダラ仕事をして頑張った感を満喫したい人もいる。業務を効率化するなら、自動化より、そういう人をクビにするか役割を変える、他のやりがいを提供するようなアプローチの方が先だ。

 自動化がうまくいくには、自動化するための下地が必要だ。自動化すれば業務が変わるので、それに伴う人や仕事のフローの整理も必要だ。システムだけの話ではない。現行踏襲大好きな日本の会社の構造には、相性の悪い条件だと思う。

■ツールオタクには自動化は無理

 システムの自動化のために、いろいろなツールが存在する。ただ、こういうツール大好きな人に自動化は向かない。自動化より、そのツールを使うのが目的になってしまうからだ。勉強会などに行くと、一定数こういう人がいる。

 ツールオタクの注意すべき点は、新しいツールが出ると目移りすることだ。なので、いつまでたっても一つ一つのツールに対する修練度は低いままだ。自分の持つ弱点は、ツールを変えるたり増やすことでは克服できない。

 ツールオタクと同じように、ワークフローオタクや現行踏襲絶対主義者も同じだ。考え方が固定化している。自分の思うものを貫けば目的は達成できると思い込んでいる。それで実現できるなら、とっくに目的は達成できている。現実は、それぞれがそれぞれの意見の下で、100年戦争みたいなのを繰り返している。

 人の話を聞いて整理するのは、自動化に対して有効なアプローチだ。そもそも、人を納得させないと、すぐれたシステムを構築しても使ってくれない。特にエンジニアにはこういう観点は必要だと思う。

■自動化の実際

 業務の効率化というのは団体戦だ。突き詰めると、意外とITの出る幕は少ないような気がする。そもそもな話で、業務のフローが安定していなければ、自動化以前に業務の安定化を図るべきだろう。

 自動化を指示する人から末端の作業する人まで、そういう意思疎通はうまくいっているのだろうか。コミュ力重視な世の中だが、こういう意思疎通ができる人は少ない。感情を共有しようとする人は多いが、情報や事実を共有しようとする人は少ない。

 そういう意味で、自動化に携わるエンジニアにも同じことが言える。エンジニアの考える自動化と世の中の人の求める自動化は大きな隔たりがある。技術も大事だが、そういう隔たりを埋めていくアプローチも必要だ。

 私が思う最大の自動化の成果。それは自動販売機だ。あれが世の中の人が求めている自動化だと思う。エンジニアが思う自動化とは全然違う。自動販売機ほど世の中に浸透した自動化システムは稀だろう。

 自動販売機が普及した理由はいろいろあるだろう。技術だけでなく、販売経路や商品の補充の仕組みを整えたり、いろいろな要素があっただろう。何より、自動販売機が置いてあっても、破壊してお金を取ろうという人が少なかったということも大きい。

 自動化は、エンジニアの技術だけでなく、いろいろな要素が必要だ。技術だけに突っ走らず、多くの人の話を聞こう。そして、放っておいて欲しい人は放っておく。何も、エンジニアだけで背負い込むことはない。できる範囲のことをやれるだけやって、あとはピタゴラスイッチのノリで楽しめば十分だ。

Comment(3)

コメント

仲澤@失業者

昔々、山梨と長野の県境に「オートレストラン岳」という名の店がありました。
国道20号線沿いのこの店は、数機の自販機とわずかなテーブルに椅子といった、
まぁ要は自販機コーナーなわけです。
ここには今ではほとんど見かけなくなった「ライスカレー」の自販機があったのですが、
この自販機の透明な取り出し口から覗いていると、まずは皿がでてきて、
上からライスがポトッと落ちてきて、最後にカレーがザッとかかるという。
ちょっとしたピタゴラスイッチ的な動きが評判でした。
さて、驚くべきことに、その隣には「カレーライス」の自販機が並んで設置されていたのでありました。
この自販機、「カレーライス」のボタンを押すと、皿が出て、それにカレーがザッと出てきたかと思うと
最後に上からライスがボッチャン・・・・。

まぁ、しばらくするとこの店はすぐに客が来なくなってしまい、閉店したのですが、
客が自販機のボッチャン攻撃に激怒したためではありませんでした。
箸とスプーンが「ご自由にお取りください」状態だっため、いつ行っても
持ち去られた後で、食べる方法が無かったのですね。

という話をノリで書いてみましたが、信じる?、信じない?。

ksiroi

ホイホイ釣られてやってまいりましたおっぱい。

徹底的に軽量化かつ安定化ができる人材が損する社会は間違ってると思うんですよおっぱい。
不興を買うことになったとしても「ダメな奴は何をやってもダメ」ってのを信義とし排除して、とことん突き進むのがエンジニアとしての本懐なんじゃないかなあおっぱい。
モノも、ヒトも。ダメなもんは要らない。
おっぱい。

非現実性AR

自販機が巷に溢れてる国は日本だけですってよ奥様。

他国に皆無かというと存在はするものの、100mおきにあるような国は日本だけだそうで。

まあ諸々事情が異なるんでしょうが、自動化突き詰めても打破できない普及の壁があるってことなんですかねー。

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