ドキュメントを見て分かる現場のこけ方 Part1 パワポ大好きな現場
--ふれこみ--
ExcelやWordのような難しい機能が無いので直感的にかけるというのが触れ込みだ。説明を求められることの多い現場、サポートの現場でよく見られる。また、簡単というふれこみが大好きな、おじいちゃんの多い会社で見ることも多い。
--実際--
パワーポイントが使われる理由は、もともと営業でパワポ使ってたのでその延長戦で使っている。とにかくITが苦手なので、対応策として使っていたら定着したというケースが多い。パワーポイントを使っている現場は、総じてスキルを重視しない傾向が強い。
実はパワーポイントほどレイアウトを整えるのが難しいソフトは無い。パワーポイントでドキュメントを作る場合、大概テキストボックスを自分で作成する。マウスでグリグリ位置を揃えるので、このテキストボックスの位置が中々定まらない。
そのため、パワーポイントで作ったドキュメントの90%は、ページごとにミリ単位のズレが発生している。どうやって判別するかというと、ページをパラパラ進めていけば簡単に分かる。文字の枠がプルプル震えて見える。プレゼン資料作るときも気をつけよう。
ともとプレゼン用のソフトなので、そんなに画像作成の機能は高くない。ましてや、ワープロでもないので改ページすらままならない。更新の際、文言がページに収まらなくなったら、地道にテキストボックスの行数を確認して対応するしかない。
ドキュメントを作るときは直感でなんとかなるのでいい。だが、見た目重視でやたら細かく描き込んだシステム図は本当に勘弁して欲しい。修正するときは発狂しそうになる。パワーポイントにはレイヤの機能が無いので、位置ずれの修正、書き足し等の作業がかなり面倒くさくなる。
そんなことで、作った時はきれいだが、更新する度に崩れて汚くなっていく傾向が強い。パワーポイントで作ると、絵本みたいなドキュメントになるか、細かく書きすぎて先鋭美術の作品になるかのどちらかだ。
--現場のこけ方--
パワーポイントの構造上、ドキュメントを早く書くための機能が皆無なので、ドキュメントの作成に時間がかかる。ドキュメントの修正にしても、ミリ単位の間隔をマウスでプルプルしながらやることも多い。実はこれが肩こりの原因になりやすい。
ドキュメントを作る速度が遅い上に、変にレイアウトにこだわるので、一つのドキュメントを作るのに時間がかかる。ドキュメントの更新も遅れがちになる。これによって、マニュアル通りにやっったはいいが、「あ、実はここ、こうやるんだよ!」というのが多くなる。
ちなみに、パワーポイントを使うと図を書いたり空白が多くなる。しかも、字のサイズがでかい。一ページに含まれる情報量は以外と少ないのだ。また、改ページが効かないので、一枚のページに何もかも詰め込もうとする。この両極端になりやすい。
パワーポイントでドキュメントが書かれている現場を見たら、ドキュメントを真面目に作る気が無いと判断している。また、お客さんに出した説明資料をでそのまま仕事をするので、エンジニア目線の発想が抜けやすい。わざわざそういう資料は作らないから。
パワーポイント自体、けっこう力技のツールだ。技術がなくても、強引にそれっぽい物が作れてしまうからだ。現場もそれに準じた失敗をしやすい。あと、肩こりを煩わす。
--対策--
パワーポイントで書くと情報が薄くなりやすい。パワーポイントに直接書き込むのではなく、最初にテキストエディタで内容を書いていこう。こうすると、改ページに対しての対策を打つことができる。
レイアウトのズレは、ガイドやグリッドの機能を使おう。ガイドやグリッドへのスナップを使うと、数ミリ単位のマウスプルプルをしなくてすむので、肩こりが解消できる。ちなみに、グリッドの間隔は大きめにした方が作業しやすい。
パワーポイントのドキュメンントは場当たりでファイルを修正すると、どこをどういじったかわからなくなりやすい。また、オペミスでオブジェクトの位置がずれると分からなくなる。できるだけ元の状態のものがわかるようにする、修正点をはっきりさせておく。これがポイントだ。
ドキュメントによっては、修正するより一から作り直した方が早い場合もある。特にパワーポイントで作るドキュメントはメンテナンス性の確保が難しい。これを無理に使い回そうとすると、余計な手間がかかってしまうからだ。
--総括--
パワーポイントはあくまでプレゼン用のソフトだ。ドキュメントを作るなら、相手を説明、説得するための資料であれば効果的なものになると思う。だが、あくまで説明、説得のための道具だ。情報の管理や分析とは用途が違う。
この、ドキュメントの要素を踏まえたフトを選び方を覚えると、パワーポイント現場での炎上を回避できるかもしれない。こういう現場は説明、説得は上手いことが多い。問題は、その先が無いということなのだ。
コメント
渋滞実況
パワポが使われる理由はwordやexcelで見られるちょっとた修正でも大きくレイアウトを崩してしまうというユーザのことを考える以前に製品として甚だしい欠陥(決して、バグではありません!本来、どうあるべきかが全くわかっていない!)が幾らか弱いからです。
仕様書などのドキュメントであれば本来、文書作成プログラムと言われているwordを使うべきですが、「文字を書く」ということに注力してしまい(文書を書くではないところが味噌)、図を入れた時点で文字との関連性をどう持たせればいいのかという問題について何の合理的な解決策も提示できず、その場しのぎの対応しかしていません。excelは表計算ソフト。文字はコメント的付随データと割り切って、いや、割り切らざるを得ない状況です。
さて、パワポのテキストボックスですが、マイクロソフトはDTPでは当たり前の”流し込み”という概念を知らないため、文章の連続性という問題をユーザがテキストボックスの管理を行うということで責任放棄しています。
>パワーポイントで作ったドキュメントの90%は、ページごとにミリ単位のズレが発生している。
>レイアウトのズレは、ガイドやグリッドの機能を使おう。
おっしゃる通り、画面上の見た目は一見、揃っているように見えますが、プリンタードライバのバグのために印刷するとミリ単位でのズレが生じます。特にE社のビジネスプリンタのA3対応のものは数世代前からのバグがマイクロソフトのガイドライン通りだというE社の主張(ごり押し)として残ってしまっています。他社はこんなことありませんので、このガイドラインってのはなんなのでしょうか?
ズレの原因の要因はもう一つあります。office製品の位置合わせの単位はピクセルです。操作上はcmとかmmという単位が出てきますが、内部処理はピクセルに換算されて処理されます。ご存知の通り、ピクセルとmmは余り無く換算することはできませんので、2つの単位の間の換算が行われるたびにどんどん誤差が累積されてきます。
Anubis
> 渋滞実況 さん
コメントありがとうございます。
印刷がズレるのは知っていましたが、こういう理由でズレるのは知りませんでした。
確かに、〜書とつくものは、本来はWordを使って作るべきだと思います。しかし、Word自体のソフトウェアの性能が、えらく中途半端です。最近、Office系のソフトは最後の仕上げにしか使っていません。ソフト自体が考えながら書ける構造にはなっていないです。
ゆずる
エンジニア向けの情報はEXCELで書くのが一番良い。
どれも一長一短ではあるが、EXCELが無難。
WORDは英文ワープロがベースなので、日本語の処理はちょっと苦手。
WORDは一度90年代にソフトウェアとして完成されてしまったのに
商売のためにいらない機能をつけたし過ぎて使い物にならなくなった。
WORD97で打ち止めにしておけばよかったのに。
Anubis
>ゆずる さん
> エンジニア向けの情報はEXCELで書くのが一番良い。
確かにそうですね。
情報なら一番だが、ドキュメントを書くには適さないと思います。