いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

いや、やっぱり資格は必要だよ!

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■自分で言った意見に対して反論してみる

 前回、資格についてコラムを書いてみた。いろいろなコメントを頂きましたが、ちょっと視点が行き届かなかったところもあったように思う。そんなことで、話題を資格に絞って、反対ではなく賛成という観点からコラムを書いてみようと思う。

 自分としてはやはり資格は必要無いと考える。しかし、もし自分が必要あると考えたとしたらどうなるだろう。もちろん世の中には、資格を肯定する人も沢山いる。両方の立場に立って考えてみるのも面白いかもしれない。

■プランとしての資格

 大きなプロジェクトを実行する時、必ずプランを立てる。同じように、高いキャリアを築こうと思えば、プランが必要になる。プランを立てる時には、必ずマイルストーンというのを設定する。何時までにどれだけのものを達成する。そういう小目標だ。

 この小目標の立て方がうまい人は、大きな目標を達成しやすい。誰もが無理と思うような目標でも、小分けにすることで実現までのプランが立てられる。小さな成功を積み重ねることで、モチベーションも保てる。自信を付ける事もできる。そんな小目標として資格を活用することはできないだろうか。

■適切な資格の選び方

 目的達成のための足がかりとして資格を取る場合、どのような資格を選べばいいのだろうか。基準としては、ちょっとがんばれば取れそうなもの、自分の興味があるものを選んでみてはどうだろう。自分の力量に合った資格を目指すことで、最大限の恩恵を享受できる。

 普通に技術を勉強していても、なかなか形として残りにくい。形にあるものが残らないとモチベーションを保てない人には資格は有効だ。また、目標を見失い易い人もいる。そういう人が、一定の技術を身につけるのに資格は有効だ。

 ただし、資格を取っても発想力自体は伸びない。また、最大公約数的な知識なので、具体的な問題に直面した時は、資格所得の際に得た知識、プラスアルファが要求される。なので、資格は最終地点でなく経過点として活用しよう。

■実際に資格は役に立つか

 私自身、MOS(Microsoft Office Specialist)の講師をやったことがある。この資格は結構お勧めだ。きちんとテキスト通りに勉強すれば確実に受かるからだ。そして、受かった人の話を聞くと、「こんな操作があるとは知らなかった」とか「Officeの操作に自信が持てた」という声は多く聞いた。実際、操作方法の効率も良くなり、一定のスキルの上昇は見られる。

 だが、現実は厳しい。まず、MOSを取って就職に役に立ったかといえば微妙なところだ。資格を取ったという事実だけを伝えても決定打にはなり得ない。いろいろな話を組み立てて、「〜という目的でこの資格をとりました」みたいに持って行かないと、アピールとしては役に立たない。

 そして残念なことに、MOS取ったくせに堂々とExcel方眼紙を使ったり、WordでEnterを連打して余白調整する人がいる。スキルは上がっても、こういう残念な人は多い。実務に活かすところまでたどり着けていないのが実情だ。

 資格も重要だが、その先の目標や、資格取得で身につけたスキルをどう活かすか、そういったビジョンはあるだろうか。このビジョンが資格を有効活用できる鍵になる。ビジョンがあれば、資格をスキルアップの踏み台にできる。就職活動でも、資格取得の先にあるビジョンを伝えないと、決定打にはなり得ない。

 資格取得が目的になると、このビジョンが見えずらい。こういったビジョンを提供できる仕組みがあれば、もっと資格の真価は発揮されるのではないだろうか。

Comment(4)

コメント

そういったビジョンは当然自分自身で持つべきもので誰かから提供されるようなものではないと思うのですが…。
資格を取ることが目的になってる人には会ったことがないのでよくわかりませんが、資格はただのマイルストーンで、
自分が得た知識のレベルを公的に証明するものに過ぎないので、取ることが目的というのはおかしいですね。

ただ、技術者を他社から提案してもらったりする立場から言いますと、同じくらいの経験年数で、資格持ちと持たない人の経歴書が来てどちらかを選べと言われれば資格持ちを選びます。
そういった意味では資格に意味がないことはないですね。

資格自体の意味を云々するのではなく、
資格を取ることが目的になってる変な人(そんな人に会ったことはないですが)はおかしいというなら多数の賛同を元記事を書いた方も得られたと思いますがいかがでしょうか。

ヨシ

きっとIT業界においてはあまり公的資格の必要性はないのかもしれませんね。
きっと仕事の打ち合わせ中に「私は○○の資格を取っているので××の仕事はできます」なんて言わないでしょうから。

ただ「資格」って知識があることの「証明書」であると思うので、
それが無いから即却下ってことでもないでしょうし、あるからといってガンガン仕事につながるという訳でもない。
むしろ実際の技術の方がはるかに大事であることも分かります。

ただ、(動機はどうあれ)資格を取ろうとすること自体は悪いことではないと思います。上記のコラム中にもあるように、スキルを身に着けてもうまく生かし切れない方々もいますが、何かしらのきっかけをつかもう、としていることは決して無駄ではないと思います。結果として無駄だったというのは、その本人のみ判断すればいいことのように思います。

なので、僕自身は資格を取ること・持つことを否定するのは違和感があります。
だらだらと長文ですみません。まとまりがないですね…。

Anubis

>kazua さん

どうも。Anubisです。

>そういったビジョンは当然自分自身で持つべきもので誰かから提供されるようなものではないと思うのですが…。

コレについては、確かに自力でビジョンが見い出せるというのは素晴らしいと思う。
能力が高くなければ難しいので、評価の対象になると。ここはズレていないと思います。

ただ、こういう頑張り方をすればこうなれる。という指針を人に示して影響を及ぼす。そういう方法でビジョンを提供できれば、それはそれで素晴らしいのではなかろうか。私の思うのはそこです。

もちろん、ビジョンを見い出す事を放棄している人もいるので、そういう人にはkazua さんと同じ意見です。

>ただ、技術者を他社から提案してもらったりする立場から言いますと、同じくらいの経験年数で、資格持ちと持たない人の経歴書が来てどちらかを選べと言われれば資格持ちを選びます。

非常に参考になります。ただ、私はオリジナリティを武器にするタイプなので、資格取ってる労力と資金があるなら、自分にしかできない事を追求します。

 確かに僅差で差を付ける手段として資格は有効な気がしますが、資格取得に費やした労力と資金を別方面に使ったらどうなるだろう。費用対効果の程はいかがなものかが気になる。

私の周りには資格を活かせない残念な人が多かったです。その立場からの意見です。なので、違う立場のkazua さんの意見は興味深いです。

>多数の賛同を元記事を書いた方も得られたと思いますがいかがでしょうか。

ちなみに、私はコラムを書いて賛同を得ようという気は毛頭ありません。賛同を得ようとしてコラムを書くと、ありきたりな事しか書けなくなり、すぐにネタが尽きます。そしてコラムが書けなくなる。滑ろうがアホと言われようが、自分の意見を元にした問題提起です。常に挑戦です。

ご意見、非常に参考になりました。

Anubis

>ヨシ さん

>僕自身は資格を取ること・持つことを否定するのは違和感があります。
>だらだらと長文ですみません。まとまりがないですね…。

資格が役に立つか立たないか。私としては、この答えをYes、Noで出す気は無いです。
答えは、How to だったり Why への回答です。
Yes、Noの答えを期待している人の期待はあえて裏切っています。

それぞれの立場や意見があるので、Yes、Noのどちらも否定しません。
ただ、ヨシ さんが何かを考えて、新しい発想が出てきたら私のコラムは成功です。

コメントありがとうございました。

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