いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

次の時代のパソコン

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■イノベーションが壊したもの

 実はスティーブ・ジョブズさんにちょっとした逆恨みがある。

 AppleがMac Book Air出したおかげで、他のノートPCが一斉に真似を始めた。おかげで、軽量ノートPCの裏が一枚板になって、HDDやメモリの交換ができなくなった。1.5kgくらいの頃安モバイルPCの部品を交換して、変態モバイルマシンに改造できなくなったのが悲しい。

 AppleがiPad出したおかげで、やたらタッチパネルのディスプレイが流行った。流行りすぎたおかげで、パソコンにまでタッチパネルのディスプレイが搭載されるようになった。しかも、ディスプレイが分離したり、タブレット型に変形するようなノートPCが市場にあふれた。一時期のガラケーを彷彿させる。

 そんなことで、Appleの起こしたイノベーションは、個人的に望まない変革のトリガーとなった。もし、Appleがウエアラブルデバイスなんて普及させたら、フンドシにまで電子機器が搭載されるようになるかもしれない。

■イノベーションで明るみになったこと

 こういう変革がいろいろ起きて気付いたことがある。案外みんな、パソコンなんてどうでもいいんだなと。関心の無い人に無理矢理ものを売ると、変なものができるんだなと。この二点だ。

 パソコンというのも奇妙なものだ。大半の人がインターネット見る程度の性能しか使わないのに、処理能力はアホみたいに高い。メーカー品を買うと、要らないソフトが山盛りでインストールされている。使う用途もないのにExcelとWordがついてくる。そもそも、Windowsの設定メニューがにわかユーザ殺しだ。とても買ってきたままの状態で使えない。こんなものがよく普及したものだと不思議でならない。

 売る方も売る方だが、使う方も使う方だ。買ったはいいが、ノリで買った人が大半だったと思う。いや、売る側が変な物だしたからノリで買うような流れになったのだろうか。ただ、変な物を売ったので、変な使い方する人が増えた。そういう自然な流れがあっただけかっもしれない。

■イノベーションの裏にあるもの

 個人的な意見だが、今はいろいろと変なものが露呈した状態だ。こういう時にイノベーションといっても、ロクな物が出ないだろうと思っている。

 イノベーションは商売のネタとしては非常に美味しい。だが、そればかり狙っても簡単にネタは尽きる。イノベーションの裏には、長年蓄積された消費者の不満が必要だからだ。ある程度不満がたまるからこそ、解決された時にスッキリ感がある。

 なので、スッキリした後に似たような物をだしても同じスッキリ感は無い。周りがこぞって流れに乗ろうとすると、元から満足してた人にとっては、逆に迷惑な場合もある。その不満が蓄積して、新たなイノベーションに繋がっていく。そういう繰り返しだと思っている。

■イノベーションの次にくるもの

 イノベーションが起きると、他が追従する。追従した人たちが横道にそれて、変な物を作り出す。それが不満を溜める。やがて新たなイノベーションへと繋がる。パソコン界隈は現在、流れに追従した人たちが変な物を作り出している段階だと思う。

 家電量販店のPC売り場のPCは、タッチパネル搭載や変にモバイルにこだわるが故に、以前よりスペックが落ちている。タブレットのように使うにしても、1kg近くもあるデバイスでは片手で支えて使うには重すぎる。実質、そのような用途では使えない。モバイルPCは退化したと私は思っている。

 従来のモバイルPCとしての用途で考えると、Mac Book Airあたりが妥当な選択になってくる。実際、エンジニアやデザイナのようなコンテンツを作成する人にはMacは人気がある。

 今後、コンテンツを作る人と消費する人とで、使用するデバイスが別の物になっていくのではないだろうか。XPのサポートの終了で、パソコンの終焉は感じていない。感じたのはWindowsの終焉だ。この先、どのようにパソコンが変わっていくか非常に楽しみだ。

Comment(1)

コメント

ハーモロディ

>タッチパネル搭載や変にモバイルにこだわるが故に、(中略)
>タブレットのように使うにしても、1kg近くもある

同感。500~1000gレベルの端末なんて、片手に支えて作業するのはいやですね。

先日久しぶりに量販店のPC売り場に立ち寄りましたが、ULTRABOOK系薄型ノートはイーサネットポートが無いか、あっても変形コネクタだったり...。
ストレージはUSBやクラウドで解決できるにしても、出先でがっつり作業するのに使えないなと思いました。

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