いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

えせプロ

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■えせプロとは

 プロとして求められる水準の技術が無いのに、プロとして働いてる人を、えせプロと呼んでいる。例えば、ネットワークエンジニアなのにルーティングとNATの違いが分からない人、サーバのエンジニアなのに、DNSの役割を知らない人、プログラマなのにクラスの使い方が分からない人等だ。

 求められた技術水準を満たしていないので、どこかに皺寄せがきてしまう。手際良よく済ます技術が無ければ残業過多、技術が足りなければ品質の低下や想定外のトラブル等、いろいろなトラブルの原因になってしまう。

■求められるもの

 しかしどうなんだろう。お金の価値が上がったのか、人の努力の価値が下がったのか、プロに求められるものが多くなった気がする。納期、スキル、品質、経歴、実績、云々と。ドラえもんのポケットをひっくり返したかのごとく要求は尽きない。

 条件が厳しくなってくると、全部叶えることがどうしても難しくなる。そうなると、条件を満たせなくても、食べていくためにプロを語らなければいけない人たちが出てくる。実際、ITでプロと名乗る人にもそういう立場の人は多いと思われる。

■相対的なえせプロ

 私はきちんとやっている。そう思い込んでいても、実はえせプロだったりする。むしろ、えせプロな人ほどそう思い込んでいる。また、組織内でうまくやっていても、その組織自体のレベルが低ければ、相対的にえせプロになってしまう。

 なら、どこまで条件を満たせば本物のプロなのか。という話になると思う。そこについては、それぞれ基準で判断すればいいと思う。人によって基準の変動が大きいので、これという基準を統一するのは難しい。

 自分がえせプロかどうかをチェックすること自体にはあまり意味は無い。どんなエンジニアでもえせプロに成りうる要素を持っている。自分はえせプロじゃないかと仮定して、常にチェックする習慣をつけてる方が賢い。

■えせプロは個人の問題か

 えせプロと言っても、必ずしも努力を怠ったり、能力が低いとは限らない。求められる要件が厳しすぎて、えせプロになるってしまうことも多い。経験上、社員に求めてくるものが多い会社ほどえせプロが多い。

 現代社会で顧客や会社の要求を制御する仕組みは無い。「最大限の欲求を引き出して、それを叶えていくのが経済じゃないか。」と反論がくるかもしれない。しかし、会社や顧客がそれを実践したので、えせプロが大量発生したように思う。

 えせプロな人が、露骨にごまかしていたり駆け引きに走っているのを見ると、心情穏やかならぬものがある。しかし、その原因を個人にばかり求めても何も始まらない。その人の周りの環境、社会的な要因も視野に考えてみてはどうだろう。原因にはたどり着けなくても、特定の個人に対していらつきをぶつけずにはすむのではなかろうか。

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