いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

老後の楽しみとしてのパソコン --Part1 通常編--

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■老人は嬉々としてパソコンを買った

 街のちょっと大きな家電量販店に行くと、店員さん相手に老夫婦がなにやら相談している。パソコン始めたいんじゃが、どのパソコン買ったらよかとでしょうか。まぁ、安い物でもないし、何をやるにしても、自分に合った道具を選びたいものだと。

 最終的には国内の有名どころのPCを買う。国内の有名どころのPCって、要らないゴミソフトがてんこ盛りだ。スタートメニューからすべてのプログラムを開くと、三行くらいびっしりアイコンが並ぶ。これは失笑ものだ。これからパソコンをやろうかという老人には酷だ。何かの嫌がらせとしか思えない。

 余談だが、おじいちゃんってMac買わないよね。国産PCよりは安いし、余分なソフトが入っていない。説明も分かりやすい。意外と年配者に勧められる要素は多いと思うのだが。

■公民館でパソコン教室

 「はーい、それではマウスを動かして、スタートボタンをクリックしてくださーーい♪」(Windows 7 時代までの話。8になってからどうなったか、想像すらしたくない)公民館とかでやっているパソコン講座で講師をやっているのは、だいたいちょっと詳しいくらいのオバちゃんかオジさんだ。まず、この人達がパソコンを使いこなしてるとはお世辞にも言えない。ちょっと詳しい程度だ。

 たどたどしい手つきでパソコンをいじっているのを見ていて、いつも思うことがある。いっそ、Playstation 3、いや、ファミリーテイストあふれるWiiの方がいいか。ゲーム機でパソコンで使うようなソフトを動かせるようにした方が早いんじゃない?任天堂さん、そういうの作ってあげてよ。Wiiで作る年賀状、とか。

■そして使うのは年に二回

 現役を引退したご老人がPCを使う機会はほとんど限られている。暑中見舞いと年賀状くらいだ。住所の記入も、キーボードで人差し指一本打ちするより、手書きの方が早い。作る図柄も、センスの悪いクリップアートを組み合わせるか、ありあわせの素材集を貼り付けて終わりだ。

 おじいちゃん:  「今年は頑張ってパソコンで書いてみたんじゃーーー。」

 鬼嫁: 「あーらおじいちゃん、すごいわねーーー♪ほら、マー君おじいちゃんパソコンで打ったんだってーー!すごいでちゅねーー!!」

 マー君(息子):  「わー、すごいすごーい!」(棒読みで、視点は明後日の方向)

と、こういう光景が目に浮かぶ。

 ネットを活用すれば、新聞とるより安くて多くの情報が得られるのに、変なページを踏むことを恐れて活用されない。しかし、どこから拾ってきたのかIEには変なツールバーばかりがちゃっかり増えている。

■本当にニーズに合ったITは展開されたのだろうか

 こういう光景をみていると、日本はITを展開する方法を間違えた気がしてならない。そもそもパソコンって業務用機器ですよね?よく講座をやっているWordやExcelだって、バリバリの業務用ソフトだ。あれを老後の楽しみにって・・・目的と用途が噛み合ってないのではないだろうか。ファミリー向けのパソコンにはOfficeソフトは要らない。むしろ邪魔だ。

 Microsoftや日本のメーカーを見ていると、シェアを広げるために手段を選ばなかったな。と、つくづく思う。その点、Appleは正攻法だったと思う。どういう人がどう使うかというビジョンがあった。これがあったからこそ、iPadやiPhoneでイノベーションが起こせたのだろう。

 ビジネスやら戦略やら、いろいろとこねくり回して稼ぎたいのは分るが、消費者を置いてけぼりにしてはいないだろうか。売り方のコンセプトを考え直さないと、本当に消費者のニーズに合った製品は出ないのではないだろうか。

・・・そんな事で --Part2 パンドラの箱は開かれた-- に続く。

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コメント

仲澤@失業者

父は60歳になってからワープロ(専用機)を始めました。
理由は町内の小さな区(なんたら町なになに区といいます)の区長になったため、
予算書、決算書、会議報告書等を書く必要があったのです。

ある日、自分のところに電話がかかってきて、型番を告げ、
壊れたので代替機を買ってきてほしいと、依頼されました。
自分は既に絶滅していたNEC文豪の中古を必死に探して郷にとどけましたが、
ついでにパソコンとワープロソフトへの切り替えも提案しました。
父は「あと2年しかやらないし」といって断りました。

中学はおろか、尋常小学校もろくに行っていない老人が専用機とはいえ
キーボードの付いたコンピューターらしきを使っていることを
このとき初めて知りました。

その手の専門家でもある息子には何も頼らず、何も質問せず、
ひたすらマニュアルを読んで作成した決算書の原稿はなかのものでした。
出来上がった感熱紙の原稿は、近所の農協でコピーしてもらってから、
皆さんにお配りしていたようです。

彼は今80代も半ばになりましたが、たぶんMacでも操れるでしょう。
ただし必要が有ればの条件付で、かつお前なんかに教わらないといわれそうです(笑)。

とおりすがり

私の母(一応女性なので年齢は割愛)は、パソコンですね。

バザールなどのチラシをWordで作ってます。
ボケ防止に、ローマ字打ち。
あとは、ソリティア。

ここまでは、手とり足とりでした。

CDのラベルに印刷できるプリンタを買ってから、
自分でお稽古を録音したものをCDに焼いて、ラベルも作って、仲間に配ってます。
ICレコーダーをTVにつないで、音楽番組をMP3にして、車で聞いたりしてます。
そのうち、デジカメで撮ったものをプリントしてくるでしょう。

私が苦手というか必要がない分野だったので、一度「わからない」とつっぱねたら、自分で勝手にやってました。
(CDを焼くには、それができるドライブが必要だと言ったくらい・・・)

「やりたい」って気持ちが高いなら、勝手にやりますよ。
自分で発見した方が楽しいみたいです。

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