いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

ほこ×たて -- 客の要件 vs 現実 --

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■いまさら ほこ×たて

 ほこ×たて。ハッカー対決なんて以前やっていたが、なかなか盛り上がった番組だったと思う。実力者同士の真剣勝負にはなかなか熱いものがあった。ただし私はこの番組は見た事がない。真剣勝負は日常だけで充分だ。番組を見た人の話がおもしろかったので、きっと番組もおもしろかったのだろう。

 エンジニアをやっていると、いつも繰り広げられる真剣勝負。それが 客の要件 vs 現実 だ。ただ、この勝負はいつ見ても面白くない。むしろ勘弁してほしい。元々、顧客の要件と現実は対決すべきものでもないと思うからだ。

■番組担当者の方、おつかれさまでした。

 当のテレビ番組の方だが、ヤラセが発覚して放送がストップしてる。まぁ、何となく予想はついていたのだが。そりゃ、毎週対決してたらいつかはネタが尽きて当然だ。しかも、実力の並ぶ者が対決しても接戦になるとは限らない。毎週やるのも大変だったろうと思う。

 そうは言っても、テレビの都合としは見て面白くする必要がある。企画としては面白そうだったが、実際はあっけなく勝敗が決してしまい演出に悩んだこともあったろう。どんな対決が面白いか、苦しみながら企画を考えた事もあったろう。番組でヤラセが発覚したとしても、裏で頑張ってた人にはエールを送りたい。

■勝負以外のものもよく見よう

 ちなみに、ほこ×たて のタイトルをよく見てみよう。実は結論が出ているのだ。ほこ×たて → ほこ×(かける)たて → ほこ かける たて → ほこ欠けるたて。タイトルで ほこ が欠けてるので たて の勝ちだ。あらかじめ、ほこ が負けるシナリオがある。ということを暗示していたのかと、無駄に深読みしてみる。

 勝ち負けばかり見ていると肝心なものを見落とし易い。客の要件 vs 現実 にしても、客の要件を突き通す以外にもやり方はある。客の要件を越える提案で、お互いに win : win な関係だって目指す道だってある。無謀な要件を提案する客を断ることが負けとも限らない。

■対決した時点でお互いが負け

 ボクシングだと、実力の逼迫した二人が対決すればお互い無傷で勝つことは難しい。勝負とはそういうものだと思う。圧倒的に勝つにしても、事前の準備から見ていくと膨大な努力や才能が必要になる。戦うことを前提に考えると、思うより膨大な労力やリスクが求められる。

 いかに勝負に勝つかを考えるのもいいが、いかに勝負をせずに目的を達成するかを考えてみてはどうだろう。利益は勝たなければ得られないとは限らない。現代人は勝つことに拘り過ぎている。勝負というフィールドの外にも、大きな利益が転がっていることもあるのだ。

Comment(3)

コメント

ardbeg32

あの番組、最初は私も面白いと思ってたのですが(超合金vsドリルとか鍵vs鍵師とか)、企画考える人が良くも悪くも普通の人すぎたんじゃないかなぁと思います。
あんなの、子供が考える俺最強とか、ウルトラマンとガンダムってどっちが強いのとか、突拍子もない、個人では試すことの出来ない企画を実現するところに面白さがあるのであって、変に最初からストーリーを決めてかかって無理やり結論に持って行こうとするから捏造になるのではと。

客要件vs現実ってのは、客か業者かどちらかが、自分だけの都合を押し付けようとするから発生するんじゃないですかね?
やりたいことを広げてみて、プロの言うことをよく聞いて、社内のキーパーソンをきっちり参加させて、予算と期限の現実に当てはめてみてお互い削るところは削り合って、と互いにすりあわせ合うという気持ちがあれば対決という図式にはならないはず。
どちらかが無理やり結論に持って行こうとするから対決になるという意味では番組と同じ構造ですね。
だからこそ、第三者の立場で両者のすり合わせをするファシリティのプロ的なコンサルが流行るのでしょうけどね。

hage

やや肯定的な意見だけど、
バラエティだからって、ほこたての捏造を放送するなら
放送された内容を「○○って○○より硬いの知らなかったね!」とか
子供に嘘の内容を教えることになると思うのですが、それでいいのですか?

少なくとも捏造するくらいならアニメにして放送しろって話です。
現実の対決なら、普通に勝敗の内容をいじらないで放送するべき。
勝負なのだから放送してる内容は八百長みたいなものでしょう。
今回発覚した捏造だって出演者のリークから発覚したものなのだから
勝手にテレビ側が都合のいい内容にするべきではない。

Anubis

>> hage さん

意見として目を引いたので返答させて頂きます。

まず、このコラム自体「ねつ造はよくない」というスタンスで書いていない。
「ねつ造は起こるべきしておきた」というスタンスで書きました。

視聴者からの「面白いものを作り続けろ」という圧力で、
スタッフもねつ造せざるを得ないところまで追いつめられたな。
というのが私の見解です。
追いつめられたエンジニアとやってることが似ている。

一度番組を終わらせて、何年か待てなかったのだろうか。
金属対決にしても、再対決で熱くなれたと思う。

有終の美を許さない視聴者が番組を使いつぶしたなぁと、
納得するかどうかはそれぞれだが、そういう見方もできると思う。

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