いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

年配者へのパソコンの教え方

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 ■年配者はパソコンができないのか

 私の中では、“年配者=パソコンが苦手”というイメージがある。人は全盛期を過ぎると新しいことを覚えられないのだろうか。若い頃でなければスキルを身に付けることができないのだろうか。

 年齢による身体能力の低下がネックになるのでは? という方も多いと思うが、意外と劣化は緩やかだ。バーゲンセールに押し寄せるオバちゃんのエネルギッシュさや、パチンコ屋に並ぶ老人のタフさは、決して若い人に引けを取らない。ヤル気のベクトルの問題だ。

 思考能力自体もあまり落ちないと思われる。頭の回転自体はそんなに鈍くはならない。思い込みが激しく思考パターンに無駄は多くなるので、思考能力が劣化しているように見えるだけだ。考え方の根本からたたき直せば、それなりには覚えられる。

■年をとると動けなくなる本当の理由

 人は経験を重ねることで、立場や経済的に余裕を手に入れたり、楽にこなす方法を覚える。そうなると、わざわざ苦しい方向を選択しなくなるし、新しいものをわざわざ覚えなくても楽ができる。

 こういった状況的な要素や問題に対峙する姿勢が、学習への熱意に影響すると思われる。いろいろなものを手に入れることで満たされてしまい、本気が出せなくなってしまう。本気で新しいことを覚えようとするより、既存のもので済まそうをしてしまうのだ。学習とかそういうものは若い人のやる事で、自分たちにはもう必要ない。という思い込みもあるかもしれない。

■必要なのは既存へのアプローチ

 年配者にものを教える時に一番大事なのは、既存へのアプローチだ。年配者の頭には、山ほど固定概念が詰まっている。しかも、その固定概念はかなり都合がいいものだ。大概、事実をねじ曲げている。新しい事を覚えるには、この固定概念を取り除くところから始めなくてはいけない。

 特にパソコン等では、テレビで間違った情報が山ほど流れている。「こんな簡単な操作で、いろいろな事ができて、あなたの生活を豊かにします♪」みたいな謳い文句で宣伝されるが、実際はただの電算機械だ。しかも、電化製品と設計思想が大きく異なる。この時点で大きな認識のズレがある。

 業務で使うにしろ、趣味で使うにしろ、この既成概念を崩さないと情報を正しく理解できない。ここをすっ飛ばして操作方法ばかり押し付けると、いつまでたっても苦手意識が募るだけだ。

■現実と想像のギャップ

 もう一つ重要なのがショックへの抵抗力だ。年配者ほど自信満々に間違える。多少の間違いは経験でごまかせるので、自分が正しいと思いたがる。それ故に、自分の知識や考え方が間違えていたときに大きなショックを受ける。

 ガラスのように繊細なプライドだが、ガラスほど奇麗な訳ではない。むしろ、破けそうなくらいにウンチを詰め込んだゴミ袋のようなものだ。年配者には、教える内容も大事だが、プライドが出てこないようなシナリオを考える必要がある。

 こういう対策が適切にとれれば、年配の人でもすんなりとパソコンを覚えることができると思う。事実、夜のオカズを目的とした年配の方々は、一定のレベルの操作を難なく覚える。

 まだ会社で働いているにも関わらず、パソコンの習得をあきらめてる年配者や、システムによる改善を頑に拒む年配管理職も多い。自分が負の遺産にならないためにも、年配者に向き合っていく必要があるのではないだろうか。

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