いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

童話-人魚姫に学ぶキャリアプランと、リア充への警告

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--あらすじ--

 人魚の王の6人の娘たちの内、末の姫は15歳の誕生日に昇っていった海の上で、船の上にいる美しい人間の王子を目にする。嵐に遭い難破した船から溺死寸前の王子を救い出した人魚姫は、王子に恋心を抱く。その後偶然浜を通りがかった娘が王子を見つけて介抱した為、人魚姫は出る幕が無くなってしまう。人魚は人間の前に姿を現してはいけない決まりなのだ。だが彼女はどうしても自分が王子を救った事を伝えたかった。

 人魚姫は海の魔女の家を訪れ、声と引き換えに尻尾を人間の足に変える飲み薬を貰う。その時に、「もし王子が他の娘と結婚するような事になれば、姫は海の泡となって消えてしまう」と警告を受ける。更に人間の足だと歩く度にナイフで抉られるような痛みを感じる事になるとも・・・。王子と一緒に御殿で暮らせるようになった人魚姫であったが、声を失った人魚姫は王子を救った出来事を話す事が出来ず、王子は人魚姫が命の恩人である事に気付かない。

 そのうちに事実は捻じ曲がり、王子は偶然浜を通りかかった娘を命の恩人と勘違いしてしまう。

 やがて王子と娘との結婚が決まり、悲嘆に暮れる人魚姫の前に現れた姫の姉たちが、髪と引き換えに海の魔女に貰った短剣を差し出し、王子の流した血で人魚の姿に戻れるという魔女の伝言を伝える。愛する王子を殺す事の出来ない人魚姫は死を選び、海に身を投げて泡に姿を変え、空気の精となって天国へ昇っていった。しかし、王子や他の人々は人魚姫が空気の精となって天国へ昇っていった事は誰一人も気付く事はなかった。

--By Wikipedia

■人魚というキャリア

 人魚姫の物語は度々キャリアプランを語る上でのたとえ話で引用される(私限定)。まず、人魚姫には王の娘という確固たるキャリアがあった。それを捨てて人間という道を選ぶ。これは、確固たる技術を習得したエンジニアが、ほかの分野へ転身することに例えられる。

 どうだろう。転身するのは必ずリスクと伴う。それが魔女の警告だ。そして、人間の足と引き換えに声を失う。どうだろう。転身した時に、スキルというのは一旦清算されてしまう。そして、声を上げることができなくなるのだ。

 この人魚姫という物語は、キャリアの転身を計ったエンジニアとダブるところが多々ある。しかし、結局は目的を達成できずにバッドエンドだ。これでは教訓というより警告だ。この物語をハッピーエンドで終わらせるにはどうすればいいのだろうか。

■悲劇をハッピーエンドに捻じ曲げるパワー

 そんな悲劇の物語を覆す力がある。そう、ディズニーという力だ。人魚姫の悲劇の物語も、ディズニーの魔力にかかればハッピーエンドの大活劇に早変わりだ。そう、答えを物語の中だけに求めてはだめなのだ。味方は必ず外にいる。

 実際どうだろう、スキルが通じない世界でものを言うもの。それは外圧だ。たとえば社長の息子とか、親戚、親会社からの出向など立場を使ったもの。その他、権力により捻じ曲げることができる。これは確実である。

 ただし、このコラムを読んでいる諸君にそれを良しとする輩はいないだろう。では、ディズニーのようなねじ曲がった力を使わずに物語を変えるにはどうすればいいのだろうか。簡単だ。ここに私がいる。

■もし私が人魚姫だったら

 もしかして人魚姫は、魔女に薬の納期をせかしたのかもしれない。早く王子さまに会いたくて、王の権限をちらつかせることで納期を前倒しさせたのかもしれない。もしそうだとしたら、巷にあふれているデスマ案件と同じ構図ではないか。

 現に渡された薬は副作用てんこ盛りの粗悪品だ。その上、姉たちが魔女に髪という追加料金を払って欠陥を補おうをしている。まさに火のついた現場そのものではないか。まず、このずさんなやり取りをきちんと整理すべきだ。

 私が人魚姫なら、魔女にきちんと薬を検証させる。そして、副作用が無い状態まで薬の完成度を高めてから地上に出る。しかし、それだけでは終わらない。いくら恋する王子様とはいえど、結婚するにはメリットがあった方がいい。

 魔法とは言っているが、きっと沈んだムー大陸か何かの超古代のテクノロージーを受け継いでいるのだろう。高度なバイオ・テクノロジーだ。この技術をもって王子に交渉を持ちかける。

 もし私が悪人なら、そのテクノロジーで兵士を改造して、隣国を征服する。もし私が善人なら、戦争で腕や足を失った兵士を元通りの体に癒す。人魚の足を人間の足に作り替える程のテクノロジーだ。このくらいのことは簡単にできるだろう。

 王子と結婚できるだけでなく、いや、王子なんてもうどうでもよくなる。世界が手中に入るのだ。ただの結婚を超えたハッピーエンドだと思わないか?

■そして最大の戒め

 しかし、この人魚姫の物語で一番重要な戒め。それは、異性にうつつを抜かしすとキャリアを棒に振るということだ。

 実際に、そのキャリアを崩すものは、仕事の中にだけある訳じゃない。異性に心奪われると、たちまち思考なんて吹き飛んでしまう。「仕事と私、どっちが大事なの!!」と迫られて、理論的に説明して納得させられる人がどれだけいるだろう。実際は、それを言ってる当人の一番大事なものがお金だったりすることもあるのだが・・・。

 恋焦がれた時、人は知性を棒に振る。どうだろう。雪の舞うクリスマス(24日現在、博多にてコラムを執筆中に雪を観測)に肩を寄せ合う恋人たち。君たちは知性と引き換えにときめきを謳歌している。そのことを忘れてはいけない。

 クリスマスを一人さみしく過ごしている君。それはリスクを背負い込んでいないということだ。君の身は羽のように軽い。君の理性がさみしさを乗り越えた時、クリスマスに交わすストロベリー・トークなんかより、ずっと素晴らしい境地にいたれるはずだ。

 クリスマスというものはお金がかかるのだよ。それがリア充のはらむ最大のリスクなのだ。

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