いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

プロジェクト遂行不能

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■成功の条件

 プロジェクト成功の条件。それは、的確にニーズを拾い上げること、ニーズを実現できる技術力、実行に必要な時間。この三つだと考えている。これらが揃えば、どんなプロジェクトでも成功するんじゃないだろうか。

 しかし、実際はこれに不確定要素というのが加わる。例えば、技術的に欠陥が見つかるとか、急な状況の変化、突然のトラブル等だ。どんなに万全に準備しようとも、こういう事が起こる可能性をゼロにはできないので、プロジェクトの成功率は100%にならないのだろう。

■条件から考えた成功方法

 条件がわかっているなら、そこから逆算すれば成功率は確実に上げることができるのではないだろうか。ここら辺のアプローチは、本やらネットでいろいろな方法が論じられている。それらを読めば適切な方法は浮かぶと思う。

 しかし、どんなに頑張っても100%の成功は保証されることはない。それが現実だ。「それでも成功させるのがプロだろう!」そう言う方もいると思う。しかし私は逆にそういう人の方がプロ意識が低いと思う。100%でないものを100%で見積もるな。という発想だ。

 プロジェクトは失敗しても、次への足がかりになればそれは無駄ではない。失敗しても、うまくフォローできれば、大きな損害を回避することもできる。100%の成功は無理だが、失敗から学ぶことは自分次第でいくらでもできる。つまり、失敗しても何らか学べるような備え・・・次につながる布石というのだろうか。そのような運用方法みたいなものは必要だ。

■実際のプロジェクトの成功率

 実際のプロジェクトの成功率はどうなんだろうか。まぁ、何をもって成功と言うのかは微妙だ。ただ、私のいたSIer系の大型プロジェクトでは、失敗率はほぼ100%だった。納期過ぎたり妥協案で完成にはこぎつけているが、予算と時間の割にえらく品質は貧相だった。

 たとえ条件通りにはできたとしても、実質失敗のプロジェクトになってないだろうか。受注した会社はかろうじて利益を上げたが、納品された成果物のほとんどがやっつけ仕事な品質だったり、条件は満たしたがメンテナンス不能な代物がだったりと。

 このようなやり方では、一時の成功と引換に借金を繰り返すようなものだ。成功の引換に、負債を積み重ねていくことになる。まぁ、まだ数年程はこのやり方でなんとかなるとは思うが。しかし、この方法が通じなくなった時、リアルに”プロジェクト遂行不能”という現実がのしかかるだろう。

■最大の障害はビジネスという思考だ

 ビジネスという考え方もそろそろ限界な気がする。ビジネスはお金の流れを中心に物事を考える。願望とか要求を中心に考える傾向がつよいので、問題解決の方法が雑になりやすい。早く、安く、高品質に、常に何かのメリットが無くては動けない。そういうビジネス的な思考では、どうしても思考に死角が生じる。現実はそんな無謀な要件を満たし続けられるほど甘くはない。

 これに対しての私の答えは、ビジネス・プラス・ワンです。ビジネス以外の分野でも何等かの社会貢献を行うことだ。そうすることで、ビジネスでばら撒いた負債を解消するというやり方だ。ボランティアで地域活動を活性化するのでもいい。何らかの啓蒙活動に参加するのでもいい。IT系でいくなら、自分の持っている情報を発信して誰かの役に立てるのでもいい。

 ビジネスを否定する気は無い。ただ、ビジネスしかできない人では、これからの世を生きていくには不足だろう。見つめるべきは人間の都合ではなく、事実だからだ。そろそろごまかしの利かない時代がくるんじゃないだろうか。自分たちの成功と引き換えにしたものを、一つ一つ清算しなければならない。そのことには気づくべきだ。

Comment(2)

コメント

Kt

コラム、すごく共感しました。

ビジネス思考でもぎりぎりの線で踏み止まってくれればいいのですが、
炎上しているような現場に対しても、平然と人件費を削除しようとするので、
人手不足→疲労困憊→品質低下→バグ多発→より炎上→より赤字
のサイクルをひたすら繰り返していることがありました。

「それでも成功させるのがプロだろう!」というような人は、
最終的にはランニングコストは「0円」になる(=SEなんていなくていい)と
勘違いされているんじゃないかと疑うぐらいです。

ちなみに私自身の社会貢献としては、
WEBで無料の求人情報サイトを運営することです。
※まだ準備中、、、というか勉強中ですが。

自分の勉強がてらに、就職や転職という行為が
もっと手軽にできるようになればいいなと
軽い気持ちで考えています。

Anubis

>>Ktさん

共感いただけて、非常に嬉しいです。
無料の求人情報サイト、うまくいくといいですね。

応援させて頂きます!

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