いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

虎穴には トラではなくて ワニがいた

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■リスク管理の盲点

 そういえば昔、「なんでだろ~♪なんでだろ~~♪」と歌っていた、ハイテンションなジャージの芸人がいた。リスクという地雷を踏んだプロジェクトにいると、なぜだかあの歌が頭に浮かぶ。偉い人たちがあらゆるリスクに対策を立ててるはずなのに、失敗するのはなんでだろ~♪と、どうも斜めから見てしまう。

 虎穴に入らずんば虎子得ず。そんなことわざがある。相応の利益を得る為には、リスクは必ず伴う。プロジェクトの際には、必ずリスク管理も含まれているはずだが・・・。なぜか炎上してしまう。昔流行ったあの歌を口ずさみながら、リスク管理について冷静に考えてみるとしよう。

■虎穴ではなく墓穴だった

 プロジェクトを達成したところで、初めから利益が望めない。そういうことは無いだろうか。無理すぎる条件なので、採算が合わない。そういうプロジェクトだ。対面上、ギリギリ大丈夫と言われているが、実質実現不能なプロジェクトだ。

 偉い人が、ここに虎の子がいる!とばかりに出した指示。それが一番のプロジェクトの敗因になった。そういう経験をお持ちの方は多いのではないだろうか。虎穴なら虎の子もいるだろうが、墓穴にはそんなのいる訳がない。リスク管理以前に、自らリスクを生み出してしまうケースだ。

■虎子とは実は誇示だった

 偉い人の頓珍漢な指示。これは確かに迷惑だ。しかし、理由も無くそういう指示を出してる訳ではない。何らかの意図で自分の意思を通そうとしているだけだ。仕事の目的は、質の高いシステムを作ること。しかし、個人個人の目的は一致するとは限らない。

 虎穴に入らずんば虎子得ず。このことわざでいけば、虎子は成果物だろう。でも実際は虎子ではなく誇示だったりしないだろうか。虎穴に入ったよー!という誇示だけで終わってしまっては意味がない。虎穴に入ったなら、きちんと虎子を探そう。虎穴の図面を書いて安全対策するのが仕事じゃぁないんだ。そこを勘違いしてはいないだろうか。

■そして最後の言い訳が「ワニがいた!」

 失敗したプロジェクトでは必ず理由が問われる。ここで素直に理由を述べられる人はいないだろう。でも、何らかの理由を説明しなければならない。そこで登場するのが苦しい説明だ。「虎穴に入ったらワニがいました!」例えるならそんな感じの説明だ。そこで真実が明るみになることはない・・・。

 それなりの理由は付けてはくるが、何かが変だ。そういう状態で論議するので、出てくる答えが的を得るはずが無い。むしろ、対策を練れば練るほどおかしくなっていく。そういう歪みが積み重なっていって、大きな歪みが生じてくるのだろう。

 意外と私たちは適当にものを見ている。真のリスク管理は、事実をきちんと認めていく勇気がなければ成り立たない。妥協とごまかしが一番のリスクだ。まず、ここを解消しないとリスク管理なんてできるはずがない。当時のマネージャーに言ってやりたい。

うんこしたら流せ!蓋をするのがリスク管理じゃないんだ!

 さっきツイッターをやっていたら、メンズナックルの話題が上がっていた。そんな事で、メンズナックル風のキャッチコピーでコラムを締めくくってみようと思う。

「偽りで構築されたお前の"プラン"とやらを、真実の天使は嘲笑っているぜ!!」

 

Comment(2)

コメント

真っ赤なレモン

現場の人間ならすぐに、「それは、墓穴に入れということと同じだ!」と分かるようなプロジェクトでは。
現場は全力で実力行使して、可及的速やかにプロジェクト自体を葬って差し上げる。
それが現場の腕の見せ所なんだぜ。
そんな腕は、見せたくないけど。

Anubis

>>真っ赤なレモン

・・・そうか。今の時代、「虎穴入らずんば虎子得ず」ではなく「墓穴入らずんば虎子得ず」なんだなぁ。

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