いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

イノベーション?伊野部さんの何なんですか?

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■頑張ってるとこは頑張ってます

 iPhone 5が発表された。多くの人が予約の段階で並んだそうだ。ふと頭に浮かんだ言葉は、「ドラゴンクエストの発売日」だ。最近、Apple関連でイノベーションという言葉が使われることが増えたように思えるが、ドラクエの発売。あれもイノベーションだったように思う。

 あれをきっかけに、コンピュータが計算機というイメージから、楽しい物に変わった人もいるんじゃないだろうか。日本に留まらず、世界にも広く影響を与えた。そういう見方をすれば、日本発の大きなイノベーションとも言える。もっとも、たかがゲームの話と思う人が多いので、一般的にそう考える人は少ないと思うが。

■インパクト・スルー

 確かに、AppleやAmazonのような派手な成功を収める事例は、日本には乏しい。ただし、地域単位のイノベーション、業界単位、会社単位のイノベーション。このくらいの範囲でみたらどうだろう。そこそこの事例はあるのではないだろうか。

 小さい事例というのは、インパクトが小さいのでスルーされがちだ。インパクトが小さいが故にスルーされてしまうことを、私はインパクト・スルーと呼んでいる。私はここに問題があると思う。日本のビジネスマンは、もっと小さいことで喜んでもいいのではないだろうか。ITエンジニアでも同じだ。「いや、まだまだだ」とか「もっと努力」もいいけど、小さな成果にも目を向けよう。

 小さなイノベーションを積み重ねてこそ、大きなイノベーションが生み出せる。インパクトの大きさだけがイノベーションじゃない。小さいものなら、意外とそこら辺に転がってるものだ。

■模範解答で通用するイノベーションなんて無い

 プランを繊細に立てる。そのプラン通りに行くことを重視する。偶然や例外、失敗をマイナス要因としてし見る傾向が強い。現代のビジネスマンに、このような思考パターンの人は多い。このようなタイプの人が新聞やテレビ、ネットでイノベーションと頭に付いた記事を読んで、自分もそれを実現したいと思ったとする。

 ここで一つ注意したい。必死にプランばかり練っても無駄だ。イノベーションにたどり着けるプラン。そんなものは存在しないだろう。プランも大事だが、アドリブで対応できる能力も問われるからだ。一般的な理論には意外と抜けが多い。どこかに型破りがあるからイノベーションは実現する。

 模範回答を連発したいと思うなら、イノベーションは程遠い。なぜなら、模範解答を覆していくことがイノベーションだからだ。

■ちょっと戦線布告したくなる気分

 模範回答を覆すというのは、頭の良さだけでは実現できない。やはり度胸は必要だ。間違えると非難は五割増し、どころか数倍になることもある。そう考えると、イノベーションを目指すことは、一種の宣戦布告をすることに似ている。

 ここからは私の個人的な考えだが、イノベーションとははみ出し者が優等生へ逆襲するための手段だと思う。一種の革命だ。高い順応性を持つ優等生なら、イノベーションなんか生み出さなくても順風満帆に過ごすことができる。むしろ覆ってしまったら困ることも多いので、本気でイノベーションを目指せなくなる。

 以前いた会社で、伊野部さん(仮名)という人がいた。絵に描いたような優等生だった。君の語るものはイノベーションではない。集団への甘言だ。私は君に挑みたい。覆したいものがある。それが私のイノベーションだ。

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