いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

エンジニアに向いてないと思った人へ

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■向き不向きなぞない

 「オレ、エンジニアに向いてないんじゃないか?」――そうこぼす人をよく見かける。きっと、これを読んでいるあなたのプロジェクトにもいるかもしれないし、あなた自身がそうかもしれない。

 エンジニアに向き、不向きはあるのか。確かに性格や考え方の傾向としてはある。しかし、その傾向は自分の行動パターンの積み重ねで作り出したものだ。努力による実力の差はあれど、根本的な向き不向きはないと考えている。

 結果に結びつかないから、向いていない。それだけの理由で自分を否定すべきではない。自分がエンジニアに向いていないと落ち込む前に、見直すべきポイントは多い。

■正しい勉強方法で勉強したか

 例えば、微分積分を例に挙げる。小学校の算数からきちんと勉強して中学、高校と勉強した人と、いきなり微分積分を見た人がいたとする。両者とも知能の高さが同じだとして、同じ難易度に見えるだろうか? いきなり微分積分を見た人の方が、圧倒的に難しく見えるはずだ。

 これを業務に置き換えてみる。いきなり難しいことを突きつけられてはいないか? 仕事である以上、高度な技術を求められる。業務に対応するからといって、基礎をすっ飛ばして応用に入ってはいないだろうか。

 今、自分の分かる技術を固めよう。1つ1つ確認していくと、意外と基礎をすっ飛ばしてます。そういう簡単な穴埋めをしていくことで、しっかりとした技術を乗せる土台が固められる。まず、確固たる土台があるかを見直してほしい。

■とにかく繰り返す

 自分の分かる技術を固めるって何なんだ。それは、ただ知っているのではなく、ぱっと思い浮かぶくらいまで繰り返す事だ。例えば、同じ本を何十回読む、同じ作業を何十回も繰り返す。ということだ。

 分かり切ったことを繰り返すのは無駄な行為だなんてことはない。繰り返すことで確実に基礎が固まる。ただ知識として覚えただけでは、必要な時にパッと出てこない。繰り返すことは、誰にでもできるもっとも簡単で確実な方法だ。必要なのは時間と根気だけだ。

 また、繰り返さないと分からないことは多い。どんなに優れた本でも、言葉で書ききれない内容がある。これが、技術の核心だ。ここは、何回も読んで意味を考えなければ分からない。そもそも、一度読んで分かるレベル物は技術とは言わない。手順だ。

■そして状況を見る

 エンジニアに向いてないんじゃないか? そう思う人の方がエンジニアに向いていると思う。なぜなら、きちんと自己分析できているからだ。単に無茶を押し付けたり、指示が間違っていて実力が発揮できていないだけかもしれない。

 Bさんのごまかしが、めぐりめぐって「Aさんが無能だからだ」という結論に行き着いたり、Cさんの間違えた知識がゆえに「Aさんは知らない」ということになったりと。そういう理不尽はよく見かける。しかし、理不尽を嘆いても仕方がない。自分のやるべきことをやって自己解決していくしかない。

 自信を取り戻すための方法。まず、基礎的な技術を何度も繰り返して固める。そうすれば、人の嘘やごまかしが分かるようになる。それができるようになったら、自分が嘘やごまかしをしないこと。これで確実に自信は回復できるはずだ。

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