いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

クラウドの先を創造する者

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■事実上、ほぼ出揃った感がある

 最近では、PCだけでなく、タブレット端末やスマートフォンも使われている。1人で複数台のデバイスを使用するようになったので、クラウドコンピューティングが急速に広まってきた。

 EvernoteやDropboxなどのサービスもかなりメジャーになってきたし、最近では、ウイルスソフトにも取り入れられるような概念(?)にもなったようで、市民権を得てきたのではないだろうか。サービスの内容も充実し、出るべきものはほぼ出揃ったように思う。

■ただ空に雲は流れる

 出揃ったのはいいが、出すぎてる感もある。バリバリのビジネスマンならいざ知らず、普通の生活をしてる人が使うのは、せいぜいメールとWebくらいだ。これ以上サービスの種類がいっぱい出ても、持て余すんじゃないだろうか。

 いろんなサービスがボコボコ増えていくと、結局は何を使えばいいのか分からなくなって使わない。そんな傾向がWebの世界でも見られる。IT業界では熱く語ってはいるが、それ以外の人からみれば、空の雲を眺めてるような他人事として見えてるのかもしれない。

 コンピュータは、普通の人には高度過ぎるレベルで進化を遂げた。ExcelやWordにしても、本来持つ性能を存分に活用できている人はごく僅かだ。コンピュータの進化の速度に、人がついてこれていない。というか、そもそもついてく気がないように見える。

■空の雲を見て、人は飛んだ

 WebとメールとExcelが出た時点で、大半の人は満足しきってしまったのかもしれない。今、ITの進化に必要なのは、そんな満足しきった人たちにサービスをねじ込むことではない。冒険心を持つことだ。

 冒険心とは、挑戦し続ける情熱と考えている。当然、道なき道を行くので困難や危険も伴う。そういうものに対しても前向きでいれる精神的な強さも含まれる。冒険心を持って何度も挑戦し続ける。そんな情熱をベースに、人類はいろいろなものを創造してきたはずだ。

 飛びたいと思う人に冒険心があれば、雲を見て、あのくらい高く飛びたいと思う。そして、人類は飛行機を作り雲より高く飛んだ。ITという世界でもそういうことは起こるはずだ。

■冒険心を掻き立てるためには

 この冒険心だが、追い詰められた人の方が冒険心が起きやすい。冒険心を抱く人は、逆に厳しければ厳しいほど燃える。

 便利なものを提供して、利用者を増やす、という手法で発展する経済活動からは、もう新しい技術や発想は出ないだろうと考えている。クラウドの先にあるもの。それは、困難に立ち向かおうとする人達が悶絶しながら生み出していくんじゃないかと思う。

 最近何かの記事で読んだのだが、原発事故のあった地域の復興事業で、ITを推し進めようという動きがあるようだ。新しい流れを作るのは、ビジネスの達人ではなく、そういう明日を望む人たちではないだろうか。

 復興ではない。それを越えた躍進があることを切に願う。

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